1.日常生活における動悸の原因
動悸とは、普段は感じることのない心臓のドキドキという拍動に敏感になり、不快感や違和感を覚える状態のことをいいます。
脈の速度に関係はなく、全力で走ったときやびっくりしたとき、脈が飛んだように感じたりする場合も動悸にあたります。
動悸のおもな原因は心拍のリズムが乱れている状態です。心臓以外の疾患なども原因として考えられるほか、過労や睡眠不足、精神的ストレス、コーヒーやタバコなどの嗜好品に含まれるカフェインやニコチンの影響から動悸を感じることがあります。
心臓の動きは自律神経によってコントロールされていますが、発熱や貧血、起立性低血圧、甲状腺疾患、更年期障害、低血糖などの影響で動悸の症状が現れることもあります。
2.動悸予防の効果が期待できる食べ物
ここからは、動悸予防の効果ができる食べ物を紹介します。
2-1.ビタミンCを多く含む食べ物
ビタミンCはストレスへの抵抗力をアップさせたり、自律神経を整えたりするのに効果的だといわれています。しかし、人の体内ではビタミンCを作り出せないので、食べ物から摂取しなければなりません。
ビタミンCが多く含まれているおもな食べ物は、いちご、じゃがいも、ピーマン、ブロッコリー、キウイフルーツなどです。
ビタミンCは熱に弱い特徴があり、加熱するとその効果が薄れるといわれています。そのため、強火でも短時間でサッと炒めて調理するような中華料理や、火を通さずに生のまま食べるのがよいでしょう。
2-2.ビタミンEを多く含む食べ物
ビタミンEには、老化防止や血流促進、自律神経の調整などの効果が期待できる成分です。不足すると、神経や筋障害の症状が現れる可能性があります。
ビタミンEを多く含む食べ物は、アーモンド、タラコ、スジコ、ウナギ、ブリ、カボチャなどです。
2-3.カルシウムを多く含む食べ物
カルシウムには、イライラなどの脳の興奮を抑制する作用があります。
カルシウムを含有している食べ物を摂取しないからといって、すぐにイライラするわけではありませんが、カルシウムが不足すると骨に貯蔵されているカルシウムが血液中に供給されていきます。
そのため、貯蔵されたカルシウムが減らないようにするためにも、日頃から食べ物からカルシウムを摂取する必要があります。
カルシウムは、牛乳、小魚、大豆などの食品に多く含まれています。このような食品を摂取する際は、カルシウムの吸収を高めるビタミンD(魚介類・卵類・きのこ類など)も一緒に摂るとよいでしょう。
食生活を改善して動悸を予防しよう
今回は、動悸の予防に効果が期待できる食べ物を紹介しました。
動悸を予防するためには、自律神経を整えるビタミンCやビタミンE、カルシウムが多く含まれている食べ物を摂取するのがポイントです。
動悸は高齢者だけでなく、若い人にも現れる可能性があります。普段の生活を見直して、改善できるところを探してみましょう。
また、動悸以外の症状が見られる場合や、動悸を何度も感じる際は、早めに医療機関の受診をおすすめします。
監修者情報
氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。