褥瘡(じょくそう)の原因とは?予防法について解説

褥瘡(じょくそう)というものが、どのような原因で発生するかご存知でしょうか。

褥瘡は「床ずれ」とも呼ばれ、主に寝たきりの状態が続くことで皮膚が圧迫されて障害を起こした状態を指します。

いったんできると治りにくいため、予防することが非常に重要です。もし、褥瘡ができた場合でも皮膚の状態に合わせてきめ細やかに対処していくことが必要です。

今回は、褥瘡の原因やその予防法を紹介します。ぜひ、介護をしている方の状況と照らし合わせながら、ケアに活かしてみてください。

1.褥瘡とは?

褥瘡とは、寝たきり状態が長く続いたりして、皮膚が長く圧迫されることで皮膚やその下に存在する皮下脂肪組織、筋肉に血液が流れなくなってしまい、これらが壊死した状態のことを指します。一般的に「床ずれ」とも呼ばれています。

特に、骨が突出している臀部やかかとに現れやすい症状です。褥瘡が発生する範囲は、圧迫の持続時間、圧迫の強さ、皮膚のずれの程度によって変わるとされています。

2.褥瘡を引き起こす原因

褥瘡は、さまざまな原因によって引き起こされます。

手足の動きが悪くなったり麻痺が起きたりして、自分で体を動かしにくくなると、寝たきり状態になることがあります。寝たきり状態では、同じ部位に一定以上の圧力が長時間加わってしまい、褥瘡が起こりやすくなります。

また、栄養状態が悪いことも、褥瘡につながる原因の一つです。栄養状態が悪いと、体は脂肪組織や筋肉をエネルギーとして利用してしまいます。この状態が長く続くと、脂肪組織や筋肉が減少して痩せることにより骨が出っ張り、褥瘡の原因となることもあるのです。

特に、高齢者の皮膚は弾力性が低下していて圧迫やずれに弱いため注意して観察する必要があります。

3.褥瘡の予防方法

いったん褥瘡ができてしまうと治療するのに困難なことも多いため、予防することが重要です。褥瘡の予防対策として除圧や栄養状態の改善、スキンケアなどが挙げられます。
それぞれの方法を詳しく見ていきましょう。

3-1.体圧を分散する

寝たきり状態の方に対しては、体圧を分散することができる寝具の使用が効果的です。

仰向きで寝ているとき、体重は頭・肩甲骨・仙骨・足の4部位にかかっています。
これらの部位にかかる圧力を、できる限り広い面積で受けられるように、体の凹凸に合ったエアーベッドやウォーターマットレス、低反発マットレスなどを利用するようにしましょう。

3-2.寝具やパジャマのしわ・ずれをなくす

些細なことと思われるかもしれませんが、寝具やパジャマのしわやずれを解消することも大切です。

寝具やパジャマにしわやずれがあると、皮膚にもずれが生じて褥瘡ができやすくなるため、体位変換をしたあとなどはしっかりと確認しましょう。

3-3.栄養バランスの見直し

栄養状態が悪い状態が続くと、筋肉や脂肪組織が減少して骨が出っ張り、褥瘡が起こりやすくなるため、栄養バランスの整った食生活を意識することが重要です。

特に高齢者の場合は、食事をうまく食べられない、飲み込めないといったケースも考えられます。その場合は、刻み食やソフト食などに食事を変更したり、栄養補助食品を利用したりすることもできます。かかりつけの医師や栄養士に相談して、適切な食事形態を選択しましょう。

3-4.皮膚を保湿する

スキンケアをすることも、褥瘡を予防するうえで有用です。

皮膚は、乾燥して水分が不足してしまうと、皮膚のバリア機能の低下につながる要因となります。そのため、保湿クリームやローションを使って保湿しましょう。

環境や習慣を見直して褥瘡を予防しよう

今回は、褥瘡の原因や予防方法について解説しました。

褥瘡の原因は、寝たきり状態であることだけでなく、寝具などの周辺環境や食事などの栄養面も関係しています。

褥瘡はいったんできると治療が困難なことも多いため、予防をすることが非常に重要です。今回説明した褥瘡の予防法を参考に、寝具・パジャマなどの周辺環境や食事の栄養バランスに問題はないかなど、現在の状況を見直して今後のケアに活かしてみてください。

監修者情報

氏名:高橋健太郎(たかはし・けんたろう)
循環器内科医として臨床に関わりながら、心血管疾患のメカニズムを解明するために基礎研究に従事。現在はアメリカで生活習慣病が心血管疾患の発症に及ぼす影響や心血管疾患の新しい治療法の開発に取り組んでいる。国内・海外での学会発表や論文報告は多数。
日本内科学会認定内科医、日本循環器学会所属。