1.ミネラルとはどのような栄養素?
ミネラルとは「無機質」とも呼ばれ、私たちの体を構成するタンパク質・脂肪・炭水化物のもととなる主要な4元素(酸素・水素・炭素・窒素)以外の物質の総称です。代表的なものにナトリウムやカリウム、カルシウムなどがあります。
ミネラルは、体内で作り出すことができないため、食べ物から補給する必要があります。
不足すると免疫力低下、情緒不安定、便秘や頭痛の原因となる場合があります。反対に過剰に摂り過ぎると、ミネラルの種類によっては過剰症や中毒を引き起こします。
ミネラル不足を起こしやすい原因の一つは、レトルト食品や惣菜、冷凍食品などの加工食品を使った食事です。加工食品は原材料に水煮食材が多用されており、ミネラル分が抜けています。心あたりのある人は、食事を見直してみましょう。
ミネラルには、人間の栄養素として欠かせない16種類の必須ミネラルが存在します。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」ではそのうち13種類について、一日の摂取量が約100mg以上のものを多量ミネラル、100mg未満のものを微量ミネラルに分類して摂取の目安量が示されています。
1-1.多量ミネラル
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・ナトリウム
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・カリウム
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・カルシウム
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・マグネシウム
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・リン
1-2.微量ミネラル
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・鉄
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・亜鉛
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・銅
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・マンガン
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・ヨウ素
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・セレン
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・クロム
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・モリブデン
体内では、これらのミネラルが互いに影響し合って吸収や働きに関与するため、バランス良く摂取することが必要です。
2.不足しがちなミネラルを豊富に含む食品
ここでは、不足しがちなミネラルの働きと豊富に含む食品を紹介します。
2-1.カリウム
カリウムは成人の体内に約200g含まれ、多くは細胞内に存在しています。心臓機能や筋肉機能、血圧を調節する働きがあり、不足すると脱力感、筋力低下などの症状が現れます。
食品名 |
食品100gあたりのカリウム量(mg) |
ずいき(乾) |
10000 |
きざみ昆布 |
8200 |
ひじき |
6400 |
インスタントコーヒー(粉) |
3600 |
切り干し大根(乾) |
3500 |
玉露(茶葉) |
2800 |
ピュアココアパウダー |
2800 |
焼きのり |
2400 |
きな粉 |
2000 |
炒り大豆 |
2000 |
アボカド(生) |
590 |
キウイフルーツ(生) |
300 |
参照:文部科学省「食品成分データベース」
2-2.カルシウム
カルシウムは体重の1~2%含まれており、おもに骨や歯を構成する成分です。不足すると骨の発達に悪影響をおよぼします。また、神経や筋肉、心臓が正常に機能するためにも必要です。
食品名 |
食品100gあたりのカルシウム量(mg) |
干しエビ |
7100 |
煮干し |
2200 |
パルメザンチーズ |
1300 |
いりゴマ |
1200 |
ずいき(乾) |
1200 |
スキムミルク |
1100 |
ひじき(乾) |
1000 |
わかめ(乾) |
960 |
プロセスチーズ |
630 |
切り干し大根(乾) |
500 |
ほうれん草(冷凍・茹で) |
170 |
牛乳 |
110 |
参照:文部科学省「食品成分データベース」
2-3.鉄分
鉄分は、体内に約3g存在しています。そのうち約65%は血液中のヘモグロビンを作る材料となり、全身に酸素を運ぶ役割を果たしています。不足すると貧血になります。
食品名 |
食品100gあたりの鉄分量(mg) |
青のり(乾) |
77.0 |
きくらげ(乾) |
35.0 |
あさりの水煮(缶詰) |
30.0 |
カレー粉 |
29.0 |
煎茶(茶葉) |
20.0 |
煮干し(乾) |
18.0 |
ピュアココアパウダー |
14.0 |
卵黄(鶏卵・生) |
4.8 |
参照:文部科学省「食品成分データベース」
2-4.亜鉛
亜鉛は成人の体内では約2g含まれ、その大部分は骨や筋肉にあり、皮膚、膵臓、肝臓、前立腺などにも存在します。消化や代謝、生殖に関わるさまざまな酵素を作る材料になっています。
食品名 |
食品100gあたりの亜鉛量(mg) |
牡蠣(養殖・生) |
14.0 |
かぼちゃの種(炒り・味付き) |
7.7 |
煮干し |
7.2 |
ピュアココアパウダー |
7.0 |
松の実(生) |
6.9 |
麻の実(乾) |
6.1 |
卵黄(鶏卵・生) |
3.6 |
参照:文部科学省「食品成分データベース」
3.ミネラルを含む食品を使ったレシピ
ここからは、ミネラルを効率的においしく摂取できるレシピを2品ご紹介します。
3-1.キウイフルーツとアボカドのサラダ
まず紹介するレシピは、カリウムが豊富なキウイフルーツとアボカドを使ったサラダです。
【材料】2人分
【A】
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・はちみつ 小さじ1
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・レモン汁 小さじ1.5
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・オリーブ油 大さじ1.5
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・塩 適量
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・こしょう 適量
【作り方】
3-2.コーンクリームドリア
次に紹介するレシピは、カルシウムが豊富なほうれん草、牛乳、チーズを使用した「コーンクリームドリア」です。
【材料】2人分
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・ハム 3枚
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・マッシュルーム 3個
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・ほうれん草 1/2束
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・サラダ油 小さじ1
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・塩 適量
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・こしょう 適量
【A】
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・コーンクリーム缶 1缶
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・牛乳 50ml
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・顆粒コンソメ 小さじ1/2
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・塩 適量
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・こしょう 適量
【作り方】
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1. ハムは半分に切ってから7mm幅に切ります。マッシュルームは薄切りにしましょう。
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2. ほうれん草は茹でて水気を絞ってから、4cm長さに切ります。
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3. フライパンにサラダ油を熱し、1、2を炒め、全体に油がなじんだら塩・こしょうで味を調えましょう。
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4. 【A】をよく混ぜ合わせます。
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5. 耐熱容器にごはんを入れ、その上に3を載せて、4をかけましょう。溶けるチーズを全体に散らしたらオーブントースターで焼き色が付くまで焼いて完成です。
体内で作ることができないミネラルは食事から摂取しましょう
ミネラルは細胞や臓器の働きを助け、骨や歯、血液の材料になるなどさまざまな役割を担っています。
私たちの心と体の健康に欠かせない栄養素ですが、体内では作り出すことができないため、食べ物から摂取する必要があります。今回紹介したレシピを参考にして、積極的にミネラルを補給しましょう。
監修者情報
氏名:高橋健太郎(たかはし・けんたろう)
循環器内科医として臨床に関わりながら、心血管疾患のメカニズムを解明するために基礎研究に従事。現在はアメリカで生活習慣病が心血管疾患の発症に及ぼす影響や心血管疾患の新しい治療法の開発に取り組んでいる。国内・海外での学会発表や論文報告は多数。
日本内科学会認定内科医、日本循環器学会所属。