血圧が高いときの対処法とは?
高齢者の血圧の特徴と日常生活で心がけるべきことを解説

年齢とともに「血圧が上がってきたかもしれない」と、気になっている人もいるのではないでしょうか。実際に、高齢者が高血圧である割合は高いといわれています。

しかし、血圧が高い場合には、どのように対処すればよいのでしょうか。

今回は高齢者が高血圧になった場合の特徴や対処法、日常生活で心がけたい注意点について解説します。

1.高齢者の血圧の特徴

高血圧は年齢を重ねるにつれてなりやすく、75歳以上の高齢者で高血圧になるのは約80%といわれています。

以下は、高齢者の高血圧にみられる特徴です。これらの特徴がみられないか確認してみてください。

  • ・収縮期高血圧(最高血圧)と脈圧が増大しやすい

  • ・白衣高血圧が増える

  • ・夜に血圧が降下しないことが増える

  • ・早朝昇圧(モーニングサージ)例が増える

  • ・起立性低血圧や食後の血圧低下が増える

白衣高血圧とは、自宅で血圧を測定すると正常な数値になるものの、病院で測定すると高血圧になる症状です。原因としては、測定する環境による心理的な要素やストレス反応、その他の要因が組み合わさることが考えられています。

モーニングサージとは、朝起きて布団から起き上がる前後に血圧上昇を認めるもので、一過性のものです。血圧は、睡眠中に下がり、起床前には一日の活動に備えて交感神経が活発化していき上昇すると考えられています

そして、起立性低血圧とは、起き上がる動きや立ち上がる動きを急にしたときに血圧が低下することで、立ちくらみを起こすものです。

2.血圧の高い高齢者が日常生活で心がけるべきこと

ここからは、高血圧の高齢者の場合、生活習慣において気を付けていきたいことを解説します。

2-1.減塩

高血圧の高齢者に対しては、減塩が有効なことが多いといわれています。

日本人の食生活は塩分が多くなりやすい傾向にありますが、高血圧の場合は一日6g未満に抑えるとよいでしょう。

ただし、いきなり極端に減塩すると、食欲が減ってしまうことがあるので注意が必要です。少しずつ減らすことを意識してください。

2-2.運動

ウォーキングやランニング、サイクリング、水泳などの有酸素運動を取り入れましょう。

運動の強度は軽め~中くらいが良いとされていて、これは軽く汗ばんだり「少しきつい」と感じたりするくらいの強度です。

一日につき30分以上、少なくとも週3回以上行なうことが理想的とされています。30分以上の運動を一度に行なわなくても良いので、一回あたり10分以上の運動を、合計で一日30分以上になるようにしましょう。

2-3.減量

肥満度を表す「BMI」という指標が25以上になると「肥満」と判定され、高血圧が悪化しやすくなります。そのため、BMIが25を超えないように減量を行ないましょう。

ただし、あまりにも極端に減量すると、健康を損ないかねません。栄養バランスを考えながら、適切に進めてください。

3.高齢者の血圧が高いときの対処法

血圧は、さまざまなことが原因となって急上昇しますが、安静にしているうちに低下していくのが一般的です。

血圧が上がったときに慌てて降圧剤を服用すると、血圧が下がりすぎたり、合併症を起こしたりするおそれもあるため注意しましょう。

とはいえ、自己判断で降圧剤の服用を中止すると、血圧が急上昇することになりかねません。医師の指示に沿って服用することが大切です。

高齢者の高血圧には注意が必要です

高齢者は、体の症状や精神状態などがそれぞれ異なり、すべての人に降圧剤を服用が合うとは限りません。そのため、高血圧がみられる場合は、個人に合わせて対処することが大切といえるでしょう。

一般的な高血圧対策には、減塩や運動、減量などがあります。ただし、無理な食事制限や運動は健康に支障をきたすおそれもあるため、体調に気を付けて取り組みましょう。

また、血圧が高いからといって慌てて降圧剤を服用すると、降圧剤が効きすぎて低血圧症状を起こすこともあるため、注意が必要です。

血圧が気になってきた方は、今回紹介した対策を参考にしてみてください。

監修者情報

氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医