65歳の平均体温はどれくらい?
体温が低くなる理由と体への影響も解説

65歳を超えると、以前よりも平均体温が低くなることをご存じですか?

自分では気付かない変化かもしれませんが、体温低下は免疫力や基礎代謝に影響をおよぼす原因です。健康な暮らしのためにも、体温の維持を意識しましょう。

今回は、65歳の平均体温を紹介するとともに、加齢で体温が低くなる原因と体温を上げるための対処法を解説します。

1.65歳の平均体温はどれくらい?

人間の体温は、脳や心臓など重要な臓器のはたらきを保つために、安定しています。体温を測定できる部位はいくつかありますが、一般的には測りやすく体への負担が少ない脇や口、耳などで測定します。

日本人の10~50歳の男女では、脇で測った平均体温は36.89度±0.34度です。一方、65歳以上の男女では36.66度±0.42度であり、10~50歳に比べるとおよそ0.2度低い平均体温になります。

2.体温が低くなる理由

65歳以上の人が若者よりも体温が低くなるのは、次の2つの理由が考えられます。

2-1.基礎代謝の低下

まず1つ目の理由として、基礎代謝の低下が挙げられます。

年を重ねると、一般的に筋力低下にともなって基礎代謝が低下します。基礎代謝だけでなく、食事や活動にともなうエネルギー消費量も低下するため、24時間あたりの総エネルギー消費量も、加齢によって低下する傾向にあります。

2-2.体温調節機能の低下

2つ目の理由としては、体温調節機能の低下があります。

65歳を超えると加齢によって環境の変化に対する適応能力が弱まるほか、冷暖房の普及によって外気の気温に合わせた体温調節機能が衰えます。

これらの原因から、65歳を超えると以前よりも体温が低くなる傾向にあると考えられています。

3.体温が下がると体にどのような影響があるのか

体温が1度下がると、体に次のような影響が現れ始めます。

  • 免疫力が約30~40%低下

  • 免疫力が下がると、風邪や病気にかかりやすく、治りにくくなる可能性があります。

  • 基礎代謝約10%低下

  • 基礎代謝が低下すると、同じカロリーの食事を摂っていても体重が増えやすくなります。

  • 体内の酵素のはたらきが約50%低下

  • 酵素の活性が弱まると栄養を消化するはたらきだけでなく、体内でエネルギーを作り出す力も低下します。

健康的な毎日を続けるには、以下を参考にしながら、体温を適温に保ちましょう。

3-1.対策1.継続的な軽い運動

体温を上げるには、体を温めるほか代謝アップが効果的です。ウォーキングやスクワットといった軽めの運動を続けることで、筋肉の代謝が良くなり体温が上がります。体温は朝が最も低い状態になるので、この時間帯に体を動かすとよいでしょう。

3-2.対策2.体を温める食材を摂取する

食事では、ショウガや発酵食品、根菜類などの体を温める食材を取り入れましょう。冷え性改善には、必要な量のタンパク質を摂取し、ビタミンB1・B2・C・Eなど栄養バランスの整った食事を心がけます。

玄米やみそ汁、納豆、焼き魚といった和食中心の食生活は体温を上げたい方におすすめです。

平均体温が下がりがちな65歳以上の方は日頃から対策を行ないましょう

65歳になると、若い頃と比べて平均体温が下がりやすくなります。体温が下がる原因は筋力減少などにともなう基礎代謝の低下や、体温調節機能が弱まることが考えられます。

体温が下がると免疫力低下による病気発症や、基礎代謝低下による肥満、酵素の活性低下による消化機能やエネルギーを作り出す機能の衰えにつながりかねません。

体温を維持するためには、適度な運動を行ない、栄養バランスの良い食事を摂りましょう。また、体を冷やさないためにエアコンの使い方を意識し、防寒具を活用しましょう。

65歳という節目を迎えたら、健やかな毎日のためにも自分の体温にも目を向けてみましょう。

監修者情報

氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。