1.炭水化物のGI値にこだわるべき理由
炭水化物は、糖質と食物繊維からできています。血糖値の上昇を抑えるために、糖質を控えるという考え方があります。しかし、糖質を極端に減らすと、エネルギー不足から筋肉量や筋力が落ち、疲れや集中力の低下が起きます。
血糖値の上がり方を示した指標を「グリセミックインデックス(GI値)」といいます。糖質の種類によって血糖値の上がり方は異なり、GI値の高い食品を選ぶと血糖値は急激に上がり、高GI食品を摂る頻度が多いと肥満や糖尿病をまねきやすいといわれています。
つまり、GI値の低い炭水化物を選べば、栄養バランスを維持しつつ、血糖値の上昇を抑えることが期待できます。
2.GI値の低い炭水化物
まず、炭水化物を多く含む食品には、ご飯やパン、麺類などの穀類、いも類などがあります。
そのなかでGI値が低いものは、スパゲッティ、日本そば、ライ麦パン、玄米、オールブラン、春雨、さつまいもなどが挙げられます。
一方、炭水化物でGI値が高い食品は、あんぱん、食パン、フランスパン、もち、精白米、うどん、じゃがいも、やまいもなどです。
先述したとおり、G1値が高い食品は肥満や糖尿病につながりやすいため、摂りすぎないように気を付けましょう。
3.GI値の低い炭水化物にプラスしたい食事の工夫
血糖値の上がり方を緩やかにすることで、「インスリン」という血糖値を下げるホルモンの分泌が抑えられます。
また、インスリンは血糖値を下げて脂肪を蓄える働きがあるため、血糖値の上がり方を緩やかにすることで、体脂肪として蓄えられるのを防ぐことが期待できます。
GI値が低い食品は血糖値の上昇を緩やかにしますが、いくつかポイントがありますので確認しましょう。
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GI値の低い食品でも食べ過ぎない
単純にGI値の低い食品ばかりを食べれば良いというわけではありません。また、低GI食品であっても、一度の摂取量が過剰であれば、血糖値が上昇しインスリンの過分泌・カロリーの過剰摂取をまねきます。
量を調整したり、穀類やいも類などの低GI食品に置き換えたりと工夫しながら血糖コントロールを目指しましょう。
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3食規則正しく食べる
たとえ一日の総摂取エネルギーが同じでも、食事の回数が少なく1食あたりの量が多くなると、血糖値が上がりやすくなります。
帰りが遅く夕食までの時間が空いてしまう場合には、間食をうまく活用し、夕食をその分減らすなどの調整をしましょう。
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野菜から食べる
野菜から食べるのもおすすめです。野菜に含まれている食物繊維は、炭水化物の吸収を緩やかにし、インスリンの過剰分泌を防ぐ働きがあります。野菜を食事の最初に食べると、炭水化物の摂りすぎ防止にもつながります。
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よく噛む
嚙む回数を増やすと、同じ食べ物でもGI値を低く抑えてくれます。
すりおろしたり、つぶしたりする調理法は吸収率を高めるため、噛みにくいなどの問題がなければ、なるべくよく噛んで食べられる料理を選ぶとよいでしょう。
GI値の低い食品を食生活にうまく取り入れよう
GI値とは、食品ごとに血糖値の上がり方を示した指標です。
GI値の高い食品を過剰に摂りすぎると、血糖値の急上昇をまねき、肥満や糖尿病の原因にもなるといわれています。
そのため、なるべくGI値の低い食品を選ぶとよいでしょう。
ただし、GI値の低い食品であっても、摂りすぎは肥満をまねきます。
健康的な食生活を送るために、糖質を適度に摂り、栄養バランスの良い食事を意識しましょう。
監修者情報
氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。