γ-GTPとは?
数値を下げる効果が期待できる食べ物や食生活について解説

γ-GTPとは、簡単にいうと肝臓の機能を表す指標となるものです。では、γ-GTPが高いとどのような影響があるのでしょうか。

今回はγ-GTPの概要、γ-GTPの数値を下げる効果が期待できる食べ物や食生活値などを解説します。

1.γ-GTPとは?

γ-GTP(ガンマ・ジー・ティー・ピー)とは、ガンマグルタミルトランスペプチダーゼの略称です。胆管から分泌される酵素の一つで、アミノ酸を作るはたらきを持っています。胆管は肝臓と十二指腸をつなぐ部分で、お酒を飲む量が多いとγ-GTPの値も上がります。

「お酒に強い人ならγ-GTPは上昇しにくいのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、γ-GTPの上昇のしやすさとお酒の強さは関係ありません。個人によって上がりやすい方、上がりにくい方がいます。

2.γ-GTPの数値が高い場合にみられるおもな症状と病気

γ-GTPの値のみが高い場合、おもに肝臓機能の低下や膵臓の病気などが考えられます。基準範囲は50U/L以下です。次の表のように、γ-GTPの数値がどれくらい高値を指しているのかによって、考えられる病気の種類は変わります。

γ-GTPの状態 考えられる病気
軽度上昇(50~100U/L) ・急性肝炎
・慢性肝炎
・肝硬変
・脂肪肝
・胆道疾患
・肝内胆汁うっ滞 など
中度上昇(100~200U/L) ・慢性肝炎
・肝硬変
・肝障害
・肝内胆汁うっ滞
・肝外閉塞性黄疸
・腎梗塞 など
高度上昇(200U/L以上) ・肝障害
・肝内胆汁うっ滞
・肝外閉塞性黄疸
・肝外閉塞性黄疸 など


参照:徳島県医師会「γ-GTP高値を示す場合に考えられる疾患

γ-GTPの値を知ることで肝臓機能の低下を早期に発見できるため、定期的な血液検査は大切です。肝臓の機能を見る値としてはほかにGOT(グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ)やGPT(グルタミン酸ピルビン酸転移酵素)などもあり、これらの値も加味しながら詳しく検査を行なっていきます。

3.肝臓のダメージを修復する効果が期待できる栄養素と食べ物

γ-GTPの値を上昇させないためにお酒を節度ある適切な量にすることも大切ですが、次のような栄養素を摂取することで肝臓のダメージを修復することができます。

  • ・ビタミン

  • ・ミネラル

  • ・タンパク質

肝臓に負担がかかっている状態のときは、ビタミンやミネラルを備蓄しておく機能が低下するため、以下のような食べ物から補ってあげることが大切です。

  • ビタミン:きのこやうなぎ、イワシ、サンマ

  • ミネラル:えびやいか、きな粉、納豆

  • タンパク質:ささみやしらす干し、卵

4.γ-GTPを下げるための生活習慣

γ-GTPを下げるために日々の生活習慣を見直すことも重要になります。どのようなことを心がければγ-GTPを下げられるのか確認してみましょう。

4-1.節度ある適度な飲酒量を心がける

アルコールを飲む習慣がある方は、まず節度ある適度な飲酒量にしましょう。一日の量は、成人男性で1日20gのアルコールが目安です。日本酒で180ml、ビールなら500mlになります。また、週に2日はお酒を控える日を作り、肝臓を休ませるようにします。

4-2.食生活を改善する

ビタミンやミネラル、タンパク質を食事からしっかり摂取することも大切です。これらの栄養素を無理なく摂るためにも、麺類やパンだけで食事を済ませずに主食と主菜、副菜を食べるようにしましょう。

4-3.適正体重を維持するよう心がける

脂肪肝の方は、適正体重になるよう減量することも大切です。脂肪肝は、肝臓に中性脂肪が溜まっており、食べすぎや節度を超えた飲酒が原因で発症しやすくなります。

ただし、必ずしも食生活が原因になるわけではありません。使用している薬などの影響でγ-GTPが高くなることもあるため、気になる場合は医師に一度相談しましょう。

γ-GTPを下げる生活を心がけよう

γ-GTPは飲酒と関連のある指標です。値が高い場合は肝臓や膵臓に負担がかかっている可能性があります。

γ-GTPを下げるためには、肝臓のはたらきを助けるビタミンやミネラル、タンパク質を摂取することが大切です。これらの栄養素を無理なく摂るためにも、麺類やパンだけでなく、主食と主菜、副菜を食べましょう。

脂肪肝になっている方は、適正体重になるように減量を心がけましょう。

γ-GTPは、食生活を見直すことで値を改善できます。ただし、食生活以外が原因で高くなっていることもあるため、医師に相談すると安心です。

監修者情報

氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。