1.アナフィラキシーのグレードについて
アナフィラキシーは即時型アレルギー反応の一種です。食べ物や薬剤、昆虫の毒などによって引き起こされ、さまざまな臓器や全身に症状が現れます。特に、意識障害や血圧の低下をともなう場合は、アナフィラキシーショックという命の危険性が高い状態です。
ショックを起こしている場合には早急に治療が必要なため、救急車を呼ばなければなりません。
症状は重症度によってグレード1、グレード2、グレード3の3段階に分かれ、重くなるにつれて数字が大きくなっていきます。
2.アナフィラキシーの症状と重症度グレード
アナフィラキシーは、その症状によって重症度が分類されています。部位ごとの症状と重症度は以下のとおりです。
2-1.皮膚・粘膜
皮膚と粘膜では、重症度に応じて以下の症状がみられます。
2-2.消化器
消化器では、重症度に応じて以下の症状がみられます。
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グレード1(軽症)の症状
口やのどの違和感・かゆみ、単回の嘔吐・下痢、弱い腹痛、嘔気
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グレード2(中等症)の症状
のどの痛み、複数回の嘔吐・下痢、自制できる強い腹痛
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グレード3(重症)の症状
のどの痛み、嘔吐や便失禁を繰り返す、自制できない強い腹痛が持続する
2-3.呼吸器
呼吸器では、重症度に応じて以下の症状がみられます。
2-4.神経
神経では、重症度に応じて以下の症状がみられます。
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グレード1(軽症)の症状
元気がない
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グレード2(中等症)の症状
軽度の頭痛、眠気、恐怖感
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グレード3(重症)の症状
ぐったりする、不穏、意識の消失、失禁
2-5.循環器
循環器では、重症度に応じて以下の症状がみられます。
アナフィラキシーのグレードを把握し、症状に応じて早めに受診しましょう
今回は、アナフィラキシーの重症度と各器官の症状を紹介しました。
アナフィラキシーを起こすと、軽症に見えたとしても状態が変化することが多く、いきなり悪化することも珍しくありません。そのため、症状の発生から時間が経っていたとしても、引き続き症状がみられるようなら、できるだけ早く医療機関を受診しましょう。
監修者情報
氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。