健康に配慮した飲酒(アルコール)の量とは?
適切なお酒の飲み方について解説

お酒を飲む場合「適切なアルコールってどのくらいの量?」「お酒は健康にどのような役割を果たすのか」と疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。

適切な量のお酒は、心身に良い影響を与えます。また、宴会や食事の際に、楽しい時間を演出することにも一役買ってくれるでしょう。

今回の記事では、お酒の種類ごとの適切なアルコール量の紹介と、健康に良いお酒の飲み方の解説を行ないます。

1.健康に良い「飲酒(アルコール)」の量とは?

適量の飲酒は、次のようなメリットをもたらします。

まずは食欲の増進効果です。
アルコールは胃の働きを良くし、食欲を高めます。

次に、ストレスを和らげる効果です。
ほろ酔いするくらいのアルコールは緊張感をほぐすのに役立ちます。さらに、おいしい食事をともに楽しむことで、人間関係をスムーズにしてくれるでしょう。

また、体内の血液の流れを良くする作用もあります。

このようなアルコールのメリットを受けるためにも、節度ある適度な量の飲酒を心がけることが大切です。厚生労働省によると「節度ある適度な飲酒量」とは、純アルコールで一日に平均して20gほどとされています。

ただし、アルコールを代謝する能力は人それぞれです。お酒に弱い人のなかには、非常に少ない量で酔ってしまうこともあります。

また、普段はお酒に強い人であっても、その日の体調によっては酔いやすくなるものです。純アルコール20gを目安として、自分に合った量でお酒を楽しみましょう。

2.純アルコール20gのお酒の量

お酒は種類によってアルコール濃度が異なるため、お酒の種類別に純アルコール20gがどのくらいに相当するかを知っておくことが大切です。純アルコール20gに相当する酒量は以下のとおりです。

  • ・ビール(5%):500ml(ロング缶1本)

  • ・日本酒: 180ml(1合)

  • ・ウィスキー:60ml(ダブル1杯)

  • ・焼酎(25度):100ml(グラス1/2杯)

  • ・ワイン:200ml(グラス2杯弱)

  • ・チューハイ(7%):350ml(缶1本)

アルコール度数が高いお酒は、低いものに比べて少量で純アルコール20gに達します。健康のためにも、自分が普段飲んでいるお酒の適量を確認しましょう。

3.適切なお酒の飲み方について

健康を維持しながらお酒を楽しむためには、正しいお酒の飲み方を知り、実践することが大切です。アルコールのメリットを得るためにも、次のようなポイントを押さえてお酒を楽しみましょう。

3-1.空腹時の飲酒はできる限り避ける

空腹状態で飲酒をすると、アルコールの吸収が早まり、悪酔いしてしまう可能性があります。さらに、アルコールによる刺激は胃の粘膜へもダメージを与えかねません。いわゆる「すきっ腹」での飲酒は避けましょう。

3-2.食事と一緒にお酒を飲む

食べ物と一緒にお酒を飲むと、アルコールによる胃粘膜の過度な刺激を減らすほか、アルコールの吸収をゆるやかにできます。

また、同時に食事を行なうことで飲酒のペースを減らし、ほど良い飲酒量にコントロールしやすくなります。酒を飲むときは食事と一緒に楽しむようにしましょう。

3-3.アルコール度数が高い場合は薄めて飲む

アルコール度数が高いお酒は、のどや胃腸への刺激が強くなることがあります。刺激を和らげるためには、チェイサー(和らぎ水)を活用しましょう。お酒を飲んだあとすぐに水を飲むと、胃や腸に与える刺激を少なくできます。

「追いかけるもの」という意味をもつチェイサーを、強めのお酒を飲む際には準備しておきましょう。

3-4.週2日程度の休肝日を設ける

お酒を休まずに続けて飲むと、肝臓や胃、腸に負担がかかってしまいます。臓器の働きを回復させるためにも、週に2日ほどの休肝日が大切です。

休肝日を設定するときは、飲酒を5日続けて2日休むのではなく、2~3日飲酒したら1日休むというスケジュールにするとよいでしょう。

健康のためにも節度をもって適量のアルコールを楽しもう

適度な量の飲酒は心や体をリラックスさせ、人間関係の円滑化に役立つなど、アルコールにはさまざまなメリットがあります。

一日の適切な純アルコール量は20gとされていますが、アルコール度数によって適切な量は変わってくるため、自分がいつも飲む種類のお酒での適量を把握することが大切です。また、食事と一緒に飲酒したり休肝日を設定したりと、飲み方を工夫しましょう。

健康的にお酒を楽しむために、節度ある適切な量のアルコールを心がけましょう。

監修者情報

氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。