緑茶(お茶)の栄養成分や期待できる健康効果について紹介

世界にはさまざまなお茶文化がありますが、日本のお茶といえば「緑茶」をイメージする方が多いかと思います。急須で淹れずとも手軽にペットボトル入りの緑茶が買えることもあり、今も愛され続けている緑茶ですが、一体どのような栄養素が含まれているのでしょうか。

今回は、緑茶に含まれる栄養成分とそのはたらき、緑茶の効果的な楽しみ方を紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

1.緑茶(お茶)について

緑茶は、江戸時代から日本人に親しまれているお茶です。飲むと心地よさが体に染み渡ります。ここでは、日本で愛され続ける緑茶の種類と栄養成分を詳しく見ていきましょう。

1-1.緑茶とは

緑茶は、茶葉を発酵させていないお茶のことです。茶葉を摘み取ってから早めに熱処理をすることで、酸化酵素のはたらきを止めています。緑茶の種類は以下のとおりです。

緑茶の種類 説明
玉露(ぎょくろ) 新芽が2~3枚ほど開いた時点で、日光を遮り育てたお茶をいいます。渋みが少なく、うまみを感じられる味わいです。
煎茶 緑茶のなかで最も飲まれているお茶です。
番茶 その年の新芽を摘み取ったお茶を「一番茶」、続いて摘み取った順に「二番茶」、「三番茶」と呼びます。
抹茶 原料のてん茶を、石うすで挽いたものです。
ほうじ茶 番茶や煎茶を強火で炒ることで、香ばしさを引き出したお茶をいいます。

参照:公益財団法人長寿科学振興財団「健康長寿ネット

1-2.緑茶(お茶)の栄養成分

緑茶に含まれるおもな栄養成分は次のようなものがあります。

  • タンニン

    緑茶の渋み成分であるタンニンは、あと味にほのかな甘味を呈したカテキン類の一種です。

    カテキンは、ポリフェノールの一つで、血圧や血糖、悪玉コレステロールの上昇を抑える作用があるので、甘いものや塩辛い味付け、こってりした食事が好きな人の健康維持に役立ちます。その他、口臭の予防や抗酸化作用もあるので、ニンニクを食べたあとや、年齢に負けずにイキイキと過ごすためにもおすすめです。
    また、空気中にさらすと、褐色になる性質があります。

  • カフェイン

    苦味があり、お湯によく溶けます。若い茶葉ほどカフェインは豊富で、「抹茶>玉露>煎茶>番茶」の順で多く含まれています。カフェインには覚醒作用があり、シャキッとしたい、やる気を出したいときにおすすめです。

  • テアニン

    緑茶特有の成分です。脳や神経細胞の興奮を抑えてリラックスする効果があることが研究で示されており、ホッと一息つきたい、穏やかに過ごしたい、前向きにいきたいときなどに役立つといわれています。

    テアニンは、直茶日光を遮って栽培された玉露や、強い日光にさらされていない新茶に多く含まれます。

  • ビタミン

    緑茶中に特に多く含まれているビタミンは、ビタミンCです。ビタミンCには、抗酸化作用があるとされています。

緑茶の種類(浸出液) 100gあたりのビタミンCの含有量(mg)
玉露 19
煎茶 6
番茶 3
ほうじ茶 Tr(微量)

参照:文部科学省「食品成分データベース

その他、ビタミンB1やビタミンB2、ニコチン酸、パントテン酸、葉酸、ビオチンを含んでいます。

玉露の場合、500mlのペットボトル1本で一日に必要なビタミンCのほとんどが摂取できます。

  • ミネラル

    緑茶の茶葉には、ミネラルの一種であるカリウムが多く含まれています。浸出液では、特に玉露に豊富です。カリウムは塩分を排出するはたらきがあるため、濃い味が好みの人や薄味の食事を心がけている人におすすめです。

    また、玉露はマグネシウムやカルシウム、リンなども豊富です。マグネシウムは、血液の巡りに関わり、カルシウムは骨や歯の材料になります。リンは、カルシウムとともに健康的な骨や歯を作る材料として欠かせない成分です。

2.緑茶(お茶)を摂取することで期待できる健康効果

有用な栄養素が豊富に含まれている緑茶は、年齢に負けず、いつまでも健康でいたい人にぴったりな飲み物です。

脂っこい食事が好きな人、甘いものが好きな人、生活習慣を見直したい人などの健康維持に役立ちます。

日本には、みんなが集まったときやホッと一息つきたいときなどにお茶を飲むという文化があります。気持ちを穏やかにするためにも、お茶は欠かせない存在です。

3.緑茶のおすすめの楽しみ方

緑茶は飲むだけに限らず、食べて楽しむこともできます。ここでは、緑茶のおすすめの楽しみ方を紹介します。

3-1.抹茶を楽しむ

抹茶は、茶葉を乾燥させて粉末状にしたもので、お茶の栄養成分を丸ごと摂取できます。抹茶をお湯に溶かして飲むのはもちろん、天ぷらの衣に混ぜたり、パスタに和えたりして使うのもおすすめです。

さまざまな抹茶を使ったデザートも販売されているため、いろいろなバリエーションでお茶の恵みを取り入れることができるでしょう。

3-2.茶殻を食べる

お湯でいれたお茶(茶液)のなかには、水溶性の成分は溶け出していますが、実はおよそ70%もの栄養成分は茶殻に残ってしまいます。茶殻には、ビタミンEやカロテン、食物繊維といった不溶性の成分が含まれているため、料理に使って食べるのがおすすめです。

茶殻をフライパンで炒って醤油やかつお節、ごまを加えて茶殻のふりかけにするとよいでしょう。

3-3.茶液を料理に使う

お茶漬けや茶粥といったお茶の茶液を使った料理も、さっぱりとしておいしいです。お茶の香りが茶碗全体に広がります。

また、茶液は生臭みを消す効果があるため、貝や魚を茶液で洗ったり、茶液に漬けたりして料理に使うとよいでしょう。茶液で小魚を煮ると骨までやわらかくなります。

緑茶は現代人の健康維持に大切な存在

日本で昔から愛されてきた緑茶は、“ストレス社会”“飽食の時代”に生きる現代人の心身の健康を保つうえで、生活と切り離せません。

緑茶は甘いもの、濃い味、脂っこい食事のお供に最適です。食事中はもちろん、ホッと心を和らげたいときに飲むとよいでしょう。

また、お茶は飲むだけでなく料理に使うのもおすすめです。有用成分がたっぷり詰まった抹茶や茶殻は、料理として味わうことで栄養を効率良く摂取できます。

ぜひ、日本のお茶文化を大切にして、心身ともに健やかな毎日をお過ごしください。

監修者情報

氏名:高橋健太郎(たかはし・けんたろう)
循環器内科医として臨床に関わりながら、心血管疾患のメカニズムを解明するために基礎研究に従事。現在はアメリカで生活習慣病が心血管疾患の発症に及ぼす影響や心血管疾患の新しい治療法の開発に取り組んでいる。国内・海外での学会発表や論文報告は多数。
日本内科学会認定内科医、日本循環器学会所属。