かかとが痛いのは痛風?
症状を予防する食生活について解説

痛風は、風が吹いても痛いと表現されるほど、強い痛みを感じるのが特徴です。痛みは次第に治まりますが、治療せずにそのままにしていると何度も繰り返し悪化します。

痛風の原因には、偏った食事や生活習慣などが関連しているため、日頃の生活を見直すことが大切です。

そこで今回は、痛風の症状や予防方法について解説します。

1.かかとが痛い……痛風の症状が現れやすい部位

痛風の症状は、手足の関節に出やすいのが特徴です。例えば、次の部位に症状を感じやすいでしょう。

  • ・かかと

  • ・足の親指

  • ・くるぶし

  • ・足関節

  • ・足の甲

  • ・アキレス腱のつけ根

  • ・膝関節

  • ・手関節

さらに尿路結石や耳に痛風結節などができ、痛むこともあります。

2.そもそも痛風とは?

そもそも痛風とは、どのような状態なのか確認しましょう。

痛風は、尿酸が体中に溜まって結晶になり、ひどい関節炎を起こしている状態です。風が吹いても痛いといわれるほど、わずかな刺激でも痛みを感じます。

血液に含まれている尿酸値が高い状態は、高尿酸血症と呼ばれ、腎臓機能の低下を引き起こすおそれがあります。

痛風の症状は発作的に出るため痛風発作と呼ばれ、7~10日ほどで徐々に治まるのが特徴です。治療せずに放置すると、発作を繰り返し腎臓の機能が悪くなる可能性もあります。

さらに尿酸値が高い状態は、糖尿病や脂質異常症、高血圧などを合併しやすいです。このような健康リスクが組み合わさると、重篤な病気の引き金にもなります。

3.痛風の原因

痛風の原因は、プリン体が分解されることで作られる尿酸が溜まりすぎることです。

老廃物である尿酸は、通常体内からうまく排出され、一定の量にキープされています。しかし、血中の尿酸値が一定量よりも高まると、関節内部に尿酸塩結晶が作られるのです。

そして尿酸塩結晶に白血球が反応する際に、痛みをともなう痛風発作(急性関節炎)が発生します。

尿酸値の上昇には、ストレス・暴飲暴食・肥満・激しい運動など、さまざまな原因が考えられるでしょう。

4.痛風を予防する食生活とは?

痛風を予防するためには、食生活を改善することが大切です。
まず食べ過ぎに注意して、プリン体の多い食品を避けましょう。プリン体が多いおもな食品は、次のとおりです。

  • ・車エビやタコ

  • ・牛肉や豚肉

  • ・イワシやアジなどの干物類

  • ・ビールや日本酒など

一方で、プリン体が少ない食品には次のようなものがあります。

  • ・米やパン、そばなど

  • ・野菜や果物など

  • ・豆腐

  • ・焼酎やウイスキーなど

菜食をメインにした食事を意識して、尿酸ができにくい食生活にすると痛風予防になります。

次に、水分を多く摂ることも重要です。水分補給には、甘いジュースなどではなく水やお茶が適しています。さらに、運動で汗をかくと尿酸値が一時的に高まるため、水分をしっかり補給しましょう。

最後にストレスを解消し、適度な運動をすることも必要です。しかし、すでに痛風や高尿酸血症を発症している方は、運動することで痛風発作が起こる可能性があるので、運動する際には注意してください。

食生活を改善して痛風を予防しよう

痛風を予防するためには、尿酸を体に溜めないような生活を意識することが大切です。尿酸を溜めないためには、尿酸を作り出すプリン体の摂取量に注意しましょう。

プリン体を多く含む食品を避け、食生活を見直すことで痛風は改善できます。また、激しい運動によって尿酸値は一時的に上昇するため、運動する際はこまめな水分補給が大切です。

痛風は、放置していると悪化して重大な健康リスクにつながるため、普段から食生活などの改善を意識して予防することが大切です。

監修者情報

氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。