グレープフルーツは肝臓に良い?悪い?
食べる際の注意点やおすすめレシピを紹介

肝臓の不調は全身の老化に直結するといわれています。しかし、肝臓は“沈黙の臓器”とも呼ばれ、ダメージを受けてもなかなか症状として感じることがありません。知らぬ間に全身が老け込むことがないように、肝臓を労わってあげましょう。

世間では、「グレープフルーツが肝臓に良い」といわれることがありますが、実際のところどうなのでしょうか。

今回は、グレープフルーツに含まれる栄養素について肝臓へどのような作用があるのかを解説します。また、食べるときの注意点とおすすめレシピも3品紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

1.グレープフルーツにはビタミンが豊富に含まれている

グレープフルーツには、健康に良いといわれる栄養素がたくさん含まれています。ホワイト種とルビー種のグレープフルーツの、可食部100gあたりの成分含有量も併せて、詳しく見ていきましょう。

  • ビタミンE(α-トコフェロール)

  • ・0.3mg/ホワイト 可食部100g中

  • ・0.3㎎/ルビー  可食部100g中

ビタミンEには抗酸化作用があります。また、肝機能が低下した際にはビタミンが不足するため、ビタミンEを含んだグレープフルーツを適量摂取するとよいでしょう。

  • ビタミンB2

  • ・0.03㎎/ホワイト 可食部100g中

  • ・0.03㎎/ルビー  可食部100g中

ビタミンB2は、肝臓の働きを強めたり毒物を解毒したりする働きがあります。

  • メチオニン

  • ・5.0㎎/ホワイト 可食部100g中

  • ・8.2㎎/ルビー  可食部100g中

メチオニンは、胆汁の排泄を促して肝臓の解毒作用を活性化します。

  • シスチン

  • ・10.0㎎/ホワイト 可食部100g中

  • ・9.4㎎/ルビー  可食部100g中

シスチンも同様に、胆汁の排泄を促して肝臓の解毒作用を活性化します。

  • 食物繊維

  • ・0.6g/ホワイト 可食部100g中

  • ・0.6g/ルビー  可食部100g中

食物繊維は、人間の体内で消化吸収されないため栄養源とはなりません。しかし、「第6の栄養素」といわれるほど人体にとって欠かせない栄養素です。その理由の一つに、糖や脂質の吸収を抑えて便として排出する働きがあります。

  • カリウム

  • ・140.0㎎/ホワイト 可食部100g中

  • ・140.0㎎/ルビー  可食部100g中

肝臓を労わるには、塩分を控えることが大切です。カリウムには塩分の排出を促す働きがあります。

2.グレープフルーツを食べる際の注意点

薬を服用している場合には、グレープフルーツと薬との飲み合わせに注意が必要です。

グレープフルーツは、一部の薬に対して、薬の効果を強めることや副作用を起こしやすくすることが確認されています。これは、生のグレープフルーツの果肉やグレープフルーツジュースに含まれる「フラノクマリン類」という成分によるものです。

グレープフルーツを食べるのを避けたほうが良い薬の種類には、次のようなものがあります。

  • ・カルシウム拮抗薬(降圧薬・抗狭心症薬):ニフェジピンなど

  • ・HMGCoA還元酵素阻害薬(抗高脂血症薬):アトルバスタチンなど

  • ・抗不安剤:トリアゾラムなど

  • ・免疫抑制剤:シクロスポリンなど

なお、グレープフルーツと同じ柑橘類であるオレンジやミカンなどは、上記の薬に影響を与えないので避ける必要はありません。

3.グレープフルーツを使ったおすすめのレシピ

こちらでは、デザートとしておなじみのグレープフルーツをおかずとして楽しめるレシピを2つ紹介します。

3-1.にんじんのグレープフルーツマリネ

まず紹介するレシピは、グレープフルーツと素揚げにしたにんじんとの相性が抜群の「にんじんのグレープフルーツマリネ」です。

【材料】(2人分)

  • ・にんじん 1本

  • ・グレープフルーツ 1個

  • ・揚げ油 適量

  • ・塩 適量

  • ・砂糖 小さじ1/2~

  • ・オリーブ油 大さじ1~1.5

【作り方】

  • 1. にんじんは輪切り(大きければ半月切り)にし、160~170度の揚げ油で素揚げします。

  • 2. グレープフルーツは薄皮から果肉を取り出し、大きければ半分に切りましょう。果肉を取ったあとの薄皮に残った果汁をしっかり絞ります。

  • 3. ボウルに2の果汁・塩・砂糖・オリーブ油をよく混ぜ合わせ、1・グレープフルーツの果肉を加えて10分程度なじませたら完成です。

3-2.タコとグレープフルーツのカルパッチョ

次にご紹介するのは、ブラックペッパーとピンクペッパーがアクセントになった「タコとグレープフルーツのカルパッチョ」です。

【材料】(2人分)

  • ・ゆでタコ(生食用) 100g

  • ・グレープフルーツ 1個

<A>

  • ・白ワインビネガー 大さじ1.5

  • ・オリーブ油 大さじ1.5

  • ・塩 適量

  • ・ブラックペッパー 適量

  • ・パセリのみじん切り 適量

  • ・ピンクペッパー 適量

【作り方】

  • 1. ゆでタコは薄くそぎ切りにします。グレープフルーツは薄皮から果肉を取り出しましょう。

  • 2. <A>の調味料類を混ぜ合わせます。

  • 3. 皿に1を盛り付けて2のドレッシングをかけます。仕上げにピンクペッパーを散らして完成です。

肝臓に嬉しい成分が豊富なグレープフルーツを日頃から摂取しましょう

グレープフルーツは、ビタミン類がたくさん含まれているといわれる果物です。

しかし、服用中の薬がある場合は、グレープフルーツやグレープフルーツジュースを口にすることによって、薬の効果が強くなったり副作用が現れやすくなったりする危険性があります。心配な場合は、担当の医師や薬剤師に確認するようにしましょう。

また、グレープフルーツはそのままデザートとして食べる以外にも、おかずとしても活躍する食材です。ぜひ、今回紹介したレシピも参考に食卓に取り入れてみてはいかがでしょうか。

監修者情報

氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医