ダイエットに効果的な運動のタイミングはいつ?
脂肪が燃焼される仕組みについても解説

運動には体脂肪を燃焼する効果があるため、ダイエットのために運動をしようと考えている方も多いかもしれません。
せっかく運動をするなら効果的なタイミングで行ないたいものです。

では、いつ運動をするのがダイエットに良いのでしょうか。
今回は運動の効果的なタイミングや脂肪が燃焼される仕組みについて解説します。

1.運動で脂肪が燃焼される仕組み

運動で脂肪が燃焼されるのは、体を動かすためのエネルギー源として体脂肪が使われるためです。とはいえ、運動を開始してすぐに体脂肪の燃焼が始まるわけではありません。

運動を行なうと、まず血液中に含まれる糖質がエネルギー源として使われます。ただ、血液中に蓄えられている糖質の量には限りがあるため、糖質のみをエネルギー源として体を動かし続けることはできません。糖質が不足し始めると、ようやく体脂肪がエネルギー源として使われるようになります。

消費エネルギーに占める体脂肪の割合が徐々に高くなっていくのは、運動を始めて約10分経ってからです。ただし、ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動の場合はもう少し時間がかかり、約20分後から体脂肪の燃焼割合が増えていきます。

2.減量目的の運動のタイミングはいつでも良い

食事で摂取した糖を脂肪に変えたくないなら、食後の運動が良いといわれることがありますが、体重を減らすことを目的に運動を行なう場合は、食前でも食後でも効果は変わらないとされています。

どの順番で運動を行なっても、摂取カロリーと消費カロリーの差にほぼ違いは出ないことがわかっているので、自分の好きなタイミングで運動を行ないましょう。

ただし、血糖値や中性脂肪の値を下げるために運動を行なう場合は、食前よりも食後がおすすめです。食後の運動は、糖が体脂肪に変換される前にエネルギーとして使うことになるため、血糖値が上がりにくくなります。同様に中性脂肪が脂肪細胞に溜めこまれるのを防ぐことも可能です。

とはいえ、食後の運動は消化不良の原因となることがあるので、注意が必要です。体を動かすことで血液が筋肉に集まるため、胃の血流量が減って消化が進みづらくなってしまうのです。息切れをしない程度の負荷に留め、30分から1時間ほどで運動を切り上げることで胃への負担を減らせます。

3.エネルギー消費量の確保には有酸素運動がおすすめ

エネルギーの消費量を増やしたいのなら、無酸素運動よりも有酸素運動がおすすめです。無酸素運動は筋トレや短距離走などの強度が高い運動のこと、有酸素運動はウォーキングやジョギング、水泳などの運動のことを指します。有酸素運動のほうが長時間続けやすいため、エネルギーの消費量を増やしやすいのです。

ウォーキングなどは、運動を始めて約20分後から脂肪の燃焼割合が増えることがわかっています。また、続けて30分運動しても10分の運動を3回行なっても体重を減らす効果に差は出ないことがわかっています。一度に何分の運動を行なうかではなく、一日にトータルでどれくらい運動できるかが大切です。

ダイエットには適切なタイミングでの運動を心がけましょう

運動を行なうと体脂肪がエネルギー源として利用されるため、継続して行なうことで脂肪燃焼効果が期待できます。減量目的の場合、運動を行なうタイミングは食前でも食後でも効果は変わらないとされているため、自分の好きなタイミングで運動するとよいでしょう。

ただし、食後の運動は消化不良を引き起こすことがあるため、心配な方は軽い負荷の有酸素運動を短時間行なうのが無難です。一度に行なう運動の時間ではなく一日にどれだけの運動を行なえるかが大切なため、自分なりのペースで運動を習慣化してみてください。

監修者情報

氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。