血糖値が気になる場合はゆっくり食べるのがおすすめ?
ゆっくり食べるコツを紹介

「最近血糖値が気になるが、食事の仕方が原因かもしれない」と感じていませんか。

早食いは血糖値を急激に上昇させるため、血糖値の高さが気になる場合は、ゆっくり食べる習慣を身につけることが大切です。

今回の記事では、早食いが体におよぼす悪影響を解説するとともに、血糖値の急激な上昇を抑えるための食事のコツをご紹介します。

1.早食いが体におよぼす悪影響

早食いは、体重の増加や血糖値の上昇など、体に悪影響をおよぼします。

厚生労働省の「平成21年国民健康・栄養調査報告」では、男女ともに肥満度が高い人ほど、食べるスピードが「かなり速い」「やや速い」と回答する割合が多い結果となりました。

食事による満腹感は、脳の「満腹中枢」に情報が伝わることで得られますが、情報が伝わるには一定の時間がかかります。そのため、早食いの場合は「お腹がいっぱいになった」と感じる前に食べ過ぎてしまい、体重の増加につながりやすくなるのです。

また、早食いは血糖値を急激に上昇させるため、血糖値を調整するホルモンの「インスリン」を分泌する膵臓の機能が低下してしまい、糖尿病を発症しやすくなります。加えて、血糖値の変動幅が大きい(血糖スパイク)と全身の血管にダメージが蓄積され、血管が詰まるリスクも高まります。

2.血糖値が気になる場合はゆっくり食べるのがおすすめ

血糖値の高さが気になる場合は、血糖値の上昇を緩やかにする食事習慣を身につけることが大切です。食事の際は、1食20分を目安に、時間をかけて食べましょう。ゆっくり食べることで、炭水化物の吸収速度が緩やかになり、血糖値の急激な上昇を予防できます。

また、食べる順番を工夫するのもおすすめです。食物繊維が豊富な野菜・海藻などから食べ始め、魚・肉などのタンパク質を摂り、最後に炭水化物を多く含むごはん・パン・麺類などを食べてください。

さらに、葉野菜・ブロッコリー・春雨・玄米・日本そばなどの「低GI食品」を取り入れる方法もあります。「GI(グリセミック・インデックス)」とは、血糖値の上がりやすさを示す数値のことで、GI値が低い食品ほど血糖値の上昇が緩やかになります。

ただし、GI値は調理方法などにより変わる点に注意が必要です。

3.ゆっくり食べるコツ

ゆっくり食べるコツには、「一口につき15~20回程度噛む」「一口ごとに箸を置く」などがあります。

また、あえて「食べにくい状態」を作るのも効果的です。例えば、食材を買いに行く際には、食べるのに時間がかかる骨付きの魚・肉や、よく噛まないと飲み込めない根野菜などを積極的に選びましょう。食物繊維を多く含むきのこ・こんにゃくなどもおすすめです。
調理する際には、一つひとつの食材を大きく、厚めに切ることで、噛みごたえを残せます。

それでも早食いしてしまう場合は、汁物や野菜を先に食べ、「食べたい気持ち」を落ち着けるよう心がけてください。また、家族や友人などと一緒に、会話を楽しみながら食事をするとよいでしょう。

ゆっくり食べることで血糖値の上昇を緩やかにしましょう

早食いによる血糖値の急激な上昇は、膵臓の疲弊による糖尿病の発症や、血管へのダメージ蓄積による血管の詰まりなどのリスクを高めます。

血糖値の高さが気になる場合は、つい早食いしていないか、日々の食事習慣を振り返ってみましょう。

ゆっくり食べるには、食べるのに時間がかかる食材を選ぶ・食材の噛みごたえが残るよう調理する・食べる順番を工夫するなどのコツがあります。よく噛んでゆっくり食べることは、血糖値の上昇が緩やかになるほか、肥満予防にも有効です。ぜひできることから実践してください。

監修者情報

氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。