右足の親指の付け根の痛みとは?
考えられる2つの原因とリスク因子、予防方法を解説

右足の親指の付け根に、痛みを感じたことはないでしょうか。そのような症状がある場合には、痛風または外反母趾などの可能性も考えられます。

この記事では、右足の親指の付け根が痛む際に考えられる原因、痛風および外反母趾の詳細と予防方法について解説します。

1.右足の親指の付け根が痛いのは痛風?

足の親指が痛くなる要因の一つとして、「痛風」が挙げられます。ここでは痛風について見ていきましょう。

1-1.痛風について

痛風とは、関節のなかで尿酸塩が結晶化して沈着することで起こる「関節炎」をおもな症状とする疾患です。

痛風を発症すると、突然足の親指などの関節が腫れて、激痛を感じることがあります。このような症状は「痛風発作」と呼ばれ、足の親指の付け根に最も多いのが特徴です。

よく起こる発作は、ある日急激に一つの関節に痛みを感じ、半日以内には痛みがピークに達し、関節が赤く腫れ、熱を持つというものです。一度発作が起こると2~3日歩けないこともあり、治るまでに3~14日かかるといわれています。

なお、発作が起きる直前には関節に違和感を覚えるケースもあります。

1-2.リスク因子

痛風が起こる要因としては、体内でつくられる尿酸が増えすぎた状態の「高尿酸血症」があります。

血中の尿酸値が高いほど痛風の発症リスクが上がるため、健康診断の結果などを見るときは尿酸値の値に注意してみてください。

高尿酸血症は、生活習慣(特に食生活)が大きく関わっているとされています。また、体質(遺伝要素)も影響するため、近親者に痛風の人がいる場合は特に気を付けましょう。

1-3.予防方法

痛風を予防するためのポイントを、以下に挙げます。

  • 肥満を改善する

    高カロリーな食事が招く内蔵型肥満は尿酸の排出を妨げ、痛風のリスク因子となります。なるべく肥満を解消しましょう。

  • プリン体の過剰摂取をしない

    尿酸のもととなるプリン体の摂取は、なるべく控えましょう。プリン体は高カロリー食や、えび、魚の干物などに多く含まれています。

  • 水分をたっぷり摂る

    痛風発作予防のために尿酸を体外に排出するには、水分をたくさん摂ることも大切です。糖分が入っている飲みものではなく、水やお茶で水分を摂るようにしましょう。

  • 適度な運動をする

    ウォーキングなどの有酸素運動を行なうことで、尿酸値の上昇も抑え高血圧などの合併症を予防するのに有効です。肥満解消にもなるため、適度な運動を心がけましょう。

  • ストレスを溜めない

    ストレスを感じることで、尿酸値を上昇させてしまうと考えられています。そのため、うまく解消することも、痛風発作の予防には重要です。

2.右足の親指の付け根が痛いのは外反母趾の可能性も

親指の付け根が痛くなる原因には、外反母趾も考えられます。

2-1.外反母趾について

外反母趾とは、足の母趾(足の親指)が外側に曲がってしまう疾患のことです。

症状としては、足の親指が人差し指のほうに曲がり、付け根の関節の内側(突き出している部分)に痛みを感じます。突き出した部分が靴に当たることで炎症を起こし、悪化すると靴を履いていないときにも痛むようになります。

外反母趾のおもな原因は、合っていない靴を履くことです。特につま先が細くなっている靴を履くと、親指の付け根から先が圧迫されて変形しやすくなります。

また、ヒールの高い靴を履くと、付け根にかかる力が大きくなりさらに変形しやすくなるといわれています。

2-2.リスク因子

10代で外反母趾が起こる場合には、親指が人差し指よりも長かったり、生まれつき扁平足ぎみであったりするかもしれません。

中年期の場合は、靴などの履物だけでなく、肥満や筋力低下なども要因となります。

また外反母趾では、足全体として縦アーチと横アーチの低下をともなう「扁平足」を、合併して発症していることが多いといわれています。

2-3.予防方法

外反母趾の予防のためには、靴の選び方が重要です。靴先が広く、足の指の運動を妨げず、ヒールの高さは低めの靴を選んでください。親指の付け根がフィットし、先はゆったりとしているかどうかも基準にしてよいでしょう。

また、普段から足の指を意識して動かすことも、外反母趾の予防に大切です。足の指をすべて開くような体操、両足の親指に輪ゴムをかけて足先を開く体操などを行ないましょう。

右足親指の付け根に痛みがあるときは、早めの対策をとりましょう

足の親指の付け根が痛くなったときにはさまざまな原因が考えられ、痛風や外反母趾が原因となる可能性もあります。

痛風予防の場合は、健診結果で尿酸値が高くないかを注意して見ましょう。

また、外反母趾であるかどうかを確認するには、靴を履いたときに痛みがないか確認してみてください。靴の選び方に注意し、足の指の運動を行なうことが外反母趾予防のために大切です。

いずれにしても、右足の親指に痛みがある際は、早めに対策を行なうことをおすすめします。

監修者情報

氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。