花粉にはどれくらいの種類がある?
花粉のピーク時期も併せて紹介

だいたい4人に1人の割合で発症しているといわれるほど、日本人に多い花粉症。そのため、毎年決まった時期になると、花粉症に悩まされているという人は少なくないでしょう。

花粉症は、本来ヒトにとって有害ではない花粉に対して免疫機能が働き、体内から排出しようとする「アレルギー反応」が原因で起こります。

では、原因となる花粉にはどのくらいの種類が存在しているのでしょうか。
今回の記事では、花粉の種類や特徴、飛散の時期なども解説します。

1.花粉症の原因となる花粉の種類

花粉症の患者数について明確なデータは存在しませんが、患者数は増加していると感じている人も多いでしょう。

日本では、花粉アレルギーがおよそ60種類あり、そのなかで花粉症はおよそ50種類とされています。

花粉症患者の約7割にみられるのが、スギ花粉によって発生するスギ花粉症です。これは、スギ人工林が国内の森林面積の約18%を占めるほど、スギが多くあるためでしょう。地域によって花粉量が変わり、特に関東・東海地方で多くみられる症状です。

また、人工林が国内の森林面積の約10%を占めるヒノキは、スギとアレルギー物質が似ています。そのため、スギ花粉症はヒノキ花粉でも引き起こされます。

このほかに、花粉症のおもな原因植物としては、シラカンバ、コナラ、ケヤキ、クヌギ、カモガヤ、ブタクサ、ヨモギなどが挙げられます。

2.花粉症の原因となるおもな植物と花粉の飛散時期

ここでは、花粉の種類やそれぞれの特徴、飛散時期などを解説します。

  • スギ

    スギの花粉は雄花でつくられますが、この雄花は7~8月頃につくられていき、11月頃に成熟します。その後、気温が下がると休眠し、春に向けて開花準備を始めます。花粉の飛散時期は2月上旬~4月下旬となり、3月頃にピークを迎えます。

  • ヒノキ

    ヒノキの花粉は、枝の先端につくられる雄花から放たれます。この雄花が作られる時期は夏の始め頃です。花粉の飛散時期は3月中旬~5月中旬までとなり、ピークは3月下旬~4月頃です。

  • カモガヤ

    別名をオーチャードグラスというイネ科の植物で、草地や道端に生えています。花粉の飛散時期は、5~7月頃です。

  • ススキ

    野山や道端などでみられるイネ科の植物です。花粉の飛散時期は、9~10月頃とされています。

  • カナムグラ

    ジャパニーズホップという別名を持つ植物で、荒れ地や道端などに生えています。花粉の飛散時期は、9~10月頃です。

  • ブタクサ

    ラグウィードという別名を持つ、秋に発生する花粉症の代表的な原因植物です。東北地方よりも北の地域では少ない傾向にあるものの、国内の河原や道端で広くみられます。花粉の飛散時期は、8~9月頃です。

  • ヨモギ

    エモギやモチグサなどとも呼ばれ、国内の道や堤防などで広くみられる植物です。花粉の飛散時期は、9~10月頃です。

  • ハンノキ

    ヤチハンノキやハンと呼ばれることもある植物で、国内の湿地などで広くみられます。花粉の飛散時期は、1~4月頃です。

花粉症の自覚症状がある場合、花粉をなるべく体内に入れないために、外出中はマスクやメガネを使用するなどして対策することが大切です。そのほかに、花粉が多く飛散している日はなるべく外出を控えたり、帰宅したらすぐにうがい・洗顔をしたりするとよいでしょう。

花粉の種類やピーク時期を把握して花粉症対策を行ないましょう

花粉症は、原因となる花粉が体内に入ることで引き起こされます。そのため、自身の花粉症の原因となる花粉の種類がわかっている場合には、飛散の時期を把握しておきましょう。

日常でできる花粉症の対策として、花粉を体内に入れないようにするために、外出中のマスク・メガネの利用がおすすめです。

また、花粉症の時期もなるべく快適に過ごせるよう、花粉が飛散する前に医療機関を受診するのもよいでしょう。

監修者情報

氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医