【細胞別】血液の働きとは?
血液を構成する細胞が不足した場合についても解説

健康診断の結果を見ると、血液の指標として赤血球や白血球、血小板と書かれていることに気付きます。

これらは血液に含まれる細胞ですが、それぞれどのような働きをしているのでしょうか。血液中の細胞の働きを知ると、血液検査の結果を見たときに自分の健康状態を把握しやすくなります。

今回の記事では、血液の概要や、赤血球・白血球・血小板の特徴、検査値が下がったときに現れる症状を解説します。

1.血液とは?

血液は血管のなかを流れており、体のすみずみに酸素や栄養素、ホルモンなど生命維持に必要な物質を運ぶ大切な役割を果たしています。

血液は、赤血球・白血球・血小板という3系統の細胞(血球)と、血しょうと呼ばれる液体でできています。

血球も血しょうも人間が生きていくために、それぞれ欠かせない働きを持つ成分です。

2.【細胞別】血液の働き

血液中には、赤血球・白血球・血小板という細胞が存在しています。それぞれの特徴や働きを見ていきましょう。

2-1.赤血球

赤血球は肺で取り込んだ酸素を、体中に運搬します。血液1μL中に存在する赤血球は男性でおよそ500万個、女性でおよそ450万個、幼児でおよそ690万個です。骨髄で作られた赤血球は120日ほど働き、最後は脾臓で分解されます。

2-2.白血球

白血球は、体内に侵入した細菌などから体を守る役目を持つ細胞です。成人では血液1μL中におよそ7500個含まれています。白血球のなかには、侵入してきた細菌や異物を食べて対処する顆粒球や、老廃物や異物を処理する単球、免疫と抗体産生に関わるリンパ球など、さまざまな細胞があります。白血球は種類によって骨髄やリンパなど作られる場所が異なり、寿命はおよそ2週間です。

2-3.血小板

血小板は血管の損傷部位に血栓を作って止血する役割を担います。また、けがをしたとき皮膚にできるかさぶたの成分も血小板です。成人では血液1μL中におよそ14~36万個含まれています。血小板の寿命はおよそ3~5日であり、体内で働く期間が最も短い血球です。

3.血液を構成する細胞が不足するとどうなる?

赤血球・白血球・血小板は、生命や健康の維持に大切な役割を担う細胞です。これらの細胞が少なくなると、人体には大きな影響が現れます。ここでは、それぞれの細胞が不足した場合の体の変化を解説します。

3-1.赤血球

赤血球が不足すると、体のさまざまな組織に十分な酸素を運べなくなります。その結果、体の臓器や組織に酸素が足りなくなり、貧血症状を引き起こします。赤血球が不足したときのおもな症状は、めまいや立ちくらみ、息切れ、動悸などです。貧血を防ぐためにも、赤血球の材料である鉄分を積極的に食事で補いましょう。なお、赤血球が不足したときは、輸血で補う場合があります。

3-2.白血球

白血球が不足すると、細菌を殺せなくなるため、感染症を引き起こしやすくなります。その結果、高熱、皮膚や粘膜の荒れなどの症状を生じます。血液1μLあたりの顆粒球が500個を下回ると重症な感染症を起こしやすくなるため、特に気を付けましょう。顆粒球が100個以下となると、命に関わる危険も増します。血液検査で白血球数の減少を指摘された場合は、医師の指示に従いましょう。

3-3.血小板

血小板が不足すると血が止まりにくくなり、歯磨きをしたときに歯茎から出血をしたり、鼻血や皮下出血が起きやすくなります。また、目には見えなくとも、体内でも出血している可能性もあるため、注意が必要です。血液1μLあたりの血小板が3万個以下になると臓器内出血を招き、さらに下がると命の危険があります。なお、血小板が不足したときは、輸血で補います。

血小板が少なくなっているときには、体をぶつけたり転倒したりしないよう気を付けましょう。その他、体を締め付ける服装を避け、皮膚を強く掻いたりしないよう心がけることも大切です。

血液中にある細胞の働きを知って健康に役立てよう

血液中には、赤血球・白血球・血小板という3系統の細胞が存在します。

赤血球は酸素運搬を担い、白血球は細菌などから体を守り、血小板は出血時の止血に関わる細胞です。それぞれ異なる働きで生命や健康を維持しており、不足すると体調を崩すだけでなく、重篤な場合は命の危険にもつながりかねません。

細胞の働きを理解しておくと、検査値から自分の健康状態を把握しやすくなります。

健康診断などで血液中の細胞の異常を指摘された場合は、すみやかに医師の指示に従って対策をとりましょう。

監修者情報

氏名:高橋健太郎(たかはし・けんたろう)
循環器内科医として臨床に関わりながら、心血管疾患のメカニズムを解明するために基礎研究に従事。現在はアメリカで生活習慣病が心血管疾患の発症に及ぼす影響や心血管疾患の新しい治療法の開発に取り組んでいる。国内・海外での学会発表や論文報告は多数。
日本内科学会認定内科医、日本循環器学会所属。