1.血管にダメージを与える原因とは?
年齢を重ねると血管も徐々に衰え、硬くなり弾力を失っていきます。しかし、年齢以外にも血管老化に影響を与える要因として、生活習慣の乱れと塩分の摂りすぎが挙げられます。
しなやかな血管を保つためには、健康的な食生活と適度な運動習慣を身に付けることが大切です。また、血圧が高い状態も血管への負担となるため減塩を心がけましょう。
厚生労働省の推奨する一日の食塩摂取量は成人男性で8.0g未満、成人女性で7.0g未満です。しかし、日本人の平均食塩摂取量は目標値を上回っています。減塩へ取り組むためには、塩分摂取量を減らすのはもちろん、塩分を体外に排出する栄養素を摂取することも重要です。
2.血管をしなやかにする栄養・食材
しなやかな血管を目指すために摂取したい栄養素は、カリウム、タンパク質、カロテン、そしてDHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)です。ここでは、それぞれの栄養素の血管への作用と、豊富に含む食材を解説します。
2-1.カリウム
カリウムは、体内の塩分を外に排出する作用があります。カリウムが多く含まれている食品には、大豆、大豆製品、いも類、野菜(かぼちゃ、ほうれん草、モロヘイヤ、枝豆など)、海藻類、果物(リンゴ、バナナなど)が挙げられます。しなやかな血管づくりのためにも、これらの食品を積極的に摂りましょう。
2-2.タンパク質
タンパク質も強い血管づくりに役立つ栄養素です。新鮮な魚類(サンマ、アジ、マグロ、カツオなど)には、良質なタンパク質が豊富に含まれています。また、大豆や大豆製品を摂取するのもよいでしょう。納豆、豆腐、豆乳、厚揚げなどの大豆製品は余分な塩分を外に排出する手助けにもなります。
2-3.カロテン
不健康な食生活によって生じた活性酸素は、血管を内側から傷つけます。かぼちゃやトマト、モロヘイヤなどの緑黄色野菜に含まれるカロテンは、抗酸化作用を持つ栄養素です。カロテンは油に溶ける性質を持つため、調理の際は油類と一緒に摂るなど工夫しましょう。
2-4.DHA・EPA
マグロやイワシ、サバ、アジなどの青魚に含まれるDHAやEPAは、オメガ3系脂肪酸と呼ばれ、血管をしなやかに保つサポートをします。青魚のほかに、エゴマ油やアマニ油といった植物油、クルミなどにも含まれています。刺身をカルパッチョにしたり、アマニ油のドレッシングをサラダにかけたりするのもよいでしょう。
3.血管を強くする効果が期待できるおすすめのレシピ
ここでは、血管を守り、強くしなやかさをサポートする食品を使ったおすすめレシピを2つ紹介します。
3-1.さば缶とほうれん草の食べるカレースープ
DHAを含むさばと、カロテンが豊富なほうれん草を使った具だくさんのスープレシピです。さば缶の煮汁とカレー粉を使うことで、食塩の使用量を抑えています。
【材料】2人分
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・さば水煮缶 1缶
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・ほうれん草 1/2束
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・玉ねぎ 1/4個
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・水 400ml
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・カレー粉 小さじ1
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・塩 小さじ1/8
【作り方】
3-2.チーズinかぼちゃボールの豆腐クリームサラダ
カロテンたっぷりの緑黄色野菜と、良質なタンパク質で減塩もサポートしてくれる豆腐を一緒に食べられるサラダです。
【材料】2人分
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・かぼちゃ 1/8個
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・にんじん 1/4本
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・ブロッコリー 1/4個
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・プロセスチーズ 15g
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・アーモンド 15g
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・絹ごし豆腐 60g
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・プレーンヨーグルト 大さじ2
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・マヨネーズ 大さじ2
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・塩 ひとつまみ
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・こしょう 少々
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・サニーレタス 1枚
【作り方】
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1. 種とワタを取ったかぼちゃを皮ごと2cm角にカットし、耐熱容器に並べ、ぬらしたキッチンペーパー、ラップを順にかけます。電子レンジで3分ほど加熱し、かぼちゃの皮まで竹串がすっと通るようになったらラップを外して粗熱を取ります。
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2. 1cm角に切ったにんじんを、かぼちゃと同様に2分ほど電子レンジで竹串が通るようになるまで加熱します。
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3. 小房に分けたブロッコリーを、かぼちゃと同様にして1分ほど電子レンジで加熱します。
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4. アーモンドは粗く刻み、プロセスチーズはかぼちゃと同数に切り分けます。
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5. ラップにかぼちゃを載せて、手で真んなかを押して凹ませたら、チーズを置きます。チーズを包むようにラップを茶巾絞りの要領でギュッと絞り、ボールの形を作ります。
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6. ボウルに入れた絹ごし豆腐を泡だて器でつぶし、滑らかになるまで混ぜます。プレーンヨーグルトとマヨネーズを入れ、塩、こしょうで味を調えます。
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7. ボール型に成形したかぼちゃ、にんじん、ブロッコリー、アーモンドをボウルに入れて軽く混ぜ合わせ、サニーレタスを敷いたお皿に盛り付けたらできあがりです。
今回はアーモンドを使っていますが、くるみなどお好みのナッツでもお楽しみいただけます。電子レンジでかぼちゃを加熱する際は、水でぬらしたペーパータオルとラップをかけることで、水分が残りしっとりとした食感になります。
健康な血管づくりのためにも栄養バランスの良い食事を心がけましょう
強くしなやかな血管づくりのためには、健康な食生活が欠かせません。
減塩を心がけるほか、カリウムやカロテン、タンパク質、DHA・EPAを積極的に摂取するとよいでしょう。
また、適度な運動習慣も取り入れると、強くしなやかな血管につながります。
健やかな血管のためにも、今回紹介したレシピを参考に、栄養バランスの良い食生活を身に付けましょう。
監修者情報
氏名:高橋健太郎(たかはし・けんたろう)
循環器内科医として臨床に関わりながら、心血管疾患のメカニズムを解明するために基礎研究に従事。現在はアメリカで生活習慣病が心血管疾患の発症に及ぼす影響や心血管疾患の新しい治療法の開発に取り組んでいる。国内・海外での学会発表や論文報告は多数。
日本内科学会認定内科医、日本循環器学会所属。