血糖値とは?
高すぎても低すぎても良くない理由や基準値について解説

健康診断で「血糖値が高めです」と指摘されたことはありませんか?
高血糖状態が続くと、全身にさまざまな症状が起こる可能性があるため、自覚症状がないからと放置してしまうのは危険です。
また、血糖値が低すぎても体にとっては良くありません。

今回は、血糖値の概要と高血糖・低血糖のリスク、血糖値の基準値について解説します。

1.血糖値とは?

血糖値は、血液中のブドウ糖の濃度を表します。ブドウ糖は、人間が生きていくために欠かせないエネルギーです。

米やパンなどの穀物に含まれる炭水化物を口から摂取すると食道と胃を通り、小腸でブドウ糖に分解されて血液中に運ばれます。

そのため、健康な方でも食事の前と食事のあとで血糖値は変動するものの、必要以上に低すぎると低血糖、高すぎると高血糖を引き起こします。

2.血糖値は高すぎても低すぎても良くない

高血糖や低血糖の場合、私たちの体にはどのような影響があるのでしょうか。

2-1.血糖値が高すぎると?

血糖値が高すぎると、糖尿病を引き起こす原因となります。糖尿病とは、インスリンというホルモンの働きが不足することでブドウ糖が細胞内で有効に使われず、高血糖状態が続く状態です。

インスリンは膵臓で作られるホルモンです。血液中のブドウ糖濃度が上がると、インスリンが血管内に分泌され、血中のブドウ糖を取り入れます。

しかし、インスリンの分泌が少なかったり、働きが低下していたりすると、血糖値が下がらない状態が続いて糖尿病をまねきます。

糖尿病になると、自覚症状がないまま重篤な合併症を発症するおそれがあるため、早めの対策が大切です。

また、高血糖状態が続くと、血管が傷ついたり、血圧が上がりやすかったりするなどのリスクもあります。

2-2.血糖値が低すぎると?

血糖値が低すぎると全身がエネルギー不足となり、血糖を上げようとする交感神経刺激ホルモンの影響で、動機やふるえ、冷や汗、顔面蒼白、頭痛などの症状が起こります。

重篤な場合は、昏睡など危険な状態となる可能性もあるため、低血糖になったときはできるだけ速やかな対応が必要です。

3.血糖値の基準について

ここでは、血糖値の基準について解説します。

3-1.空腹時血糖値

糖とは血液中のブドウ糖のことで、数値が高い場合は糖尿病が疑われます。健康診断において、空腹時血糖値の基準値は以下のとおりです。

  • 基準値:100mg/dL未満

  • 要注意:100~125mg/dL

  • 異常:126mg/dL以上

3-2.HbA1c(ヘモグロビン・エーワン・シー)

HbA1c(ヘモグロビン・エーワン・シー)は、過去1~2カ月の血糖の平均的な状態を反映した、糖尿病のコントロールの状態がわかる指標となります。健康診断において、HbA1cの基準値は以下のとおりです。

  • 基準値:5.5% 以下

  • 要注意:5.6~6.4%

  • 異常:6.5% 以上

健康診断で血糖値が高めと指摘された場合は、そのまま放置せずに食事内容に気を付け、血糖値の急上昇を抑えることが大切です。

血糖値は適切な数値を保つよう心がけましょう

血糖値が高い状態が続くと、糖尿病のリスクが上がってしまいます。血糖値が低すぎてもさまざまな症状を引き起こすため、食事に気を付けて適切な血糖値を保つことが大切です。

食事の際にはよく噛んで食べたり、おかずや野菜を最初に食べたりすると、炭水化物の吸収がゆるやかになり、血糖値の急上昇を防ぐことができます。

また、空腹時間が長い状態で食事をすると血糖値の急上昇をまねくため、欠食しないようにしましょう。

食後には、適度な運動を心がけることも血糖値のコントロールに役立ちます。

健康診断で血糖値の異常を指摘されたら放置せずに生活習慣を見直して、健康を維持しましょう。

監修者情報

氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。