腰痛を解消・改善するための運動・ストレッチ方法について解説

腰痛は高齢者に多く見られるイメージがありますが、若年層にも起こることがあるため油断はできません。腰痛は、加齢によって骨が変形したり、腰に過度な負担がかかったりして起こるものです。

では腰痛が発生した場合、どのようにして改善すればよいのでしょうか。
今回は、自宅でも簡単に行なえる、腰痛を解消・改善するためのストレッチ方法を紹介します。

1.腰痛の原因とは?

腰痛の原因にはさまざまですが、代表的なものは次のとおりです。

  • ・変形性脊椎症(へんけいせいせきついしょう)

  • ・腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)

  • ・脊椎圧迫骨折(せきついあっぱくこっせつ)

  • ・家事やデスクワークなどによる長時間の前屈みの姿勢

  • ・介護や看護などによる腰の負担

変形性脊椎症とは、年齢を重ねるにつれて椎間板や脊椎骨が変形して起こる腰痛です。朝の時間帯に強く痛み出すものの、しばらく体を動かしていると痛みが落ち着いてきます。

腰部脊柱管狭窄症も同じく加齢が原因の腰痛です。椎間板が変性したり、椎間関節が通常よりも厚くなったりすることで起こり、下半身にも痛みやしびれを生じることもあります。

脊椎圧迫骨折は、脊椎がもろくなって骨折してしまうことで、この骨折により腰痛が起きてしまいます。加齢によって起こりやすく、転倒やくしゃみなどの勢いで骨折することもあります。

高齢者以外の例では、家事やデスクワークなどが腰痛の原因としてよく見られるものです。家事やパソコンでの作業などでは姿勢が前屈みになるため、椎間板に負担がかかりやすくなります。

また、介護や看護などを日常的に行なう方で、腰痛を抱えているケースも少なくありません。

2.腰痛の解消・改善が期待できる運動・ストレッチ

症状が3カ月以上続いている慢性腰痛の方だけでなく、腰痛を予防したい方には、次の運動・ストレッチがおすすめです。

2-1.筋肉を鍛えて腰痛を予防する運動方法

次に紹介する2つの運動をそれぞれ10回1セットとし、一日2セット以上を目安に行ないましょう。

腹筋体操

  • 1. 仰向けに寝たら、あごを引いた状態でゆっくりと上半身を起こしていきます。

  • 2. 床に対して45度の位置まで上半身を起こしたら、そのまま5秒ほど姿勢をキープします。

背筋体操

  • 1. うつぶせになり、おへそよりも少し下にクッションや枕を挟みます。

  • 2. あごを引いた状態で、上半身を反らせるようにゆっくり起こします。

  • 3. 10cmほど上半身を上げたところで、約5秒間キープします。

2-2.筋肉の柔軟性を高める運動

以下の運動も、それぞれを10回1セットとし、一日2セット以上を目安に行なってください。

腰と背中のストレッチ

  • 1. 仰向けに寝たら、両手で片膝を抱えます。

  • 2. 深呼吸をしながら、膝を胸に近づけていきます。

  • 3. 10秒ほど、その姿勢をキープします。

  • 4. 次に、反対の足でも同様の手順でストレッチを行ないます。

もも裏のストレッチ

  • 1. 仰向けに寝たら、片足だけ膝が90度になるように曲げます。このとき、両手で膝の裏を支えるようにしてください。

  • 2. 膝の曲げ伸ばしを数回くり返したあと、膝をできるだけ伸ばして10秒ほどキープします。

3.腰痛解消の運動・ストレッチをする際のポイント

腰痛解消のための運動・ストレッチを行なうにあたり、いくつか注意点があります。症状の悪化を招かないためにも、次のポイントを押さえながら行なっていきましょう。

3-1.運動・ストレッチをする際のポイント

運動やストレッチを行なう際は、息を止めないように呼吸にも意識することが大切です。

また、反動をつけて体を動かすのは避けましょう。伸張反射といって、筋肉が切れるのを阻止しようとする反応が見られることがあります。この反応によって筋肉が固くなってしまうため、反動はつけずに行なうことがポイントです。

3-2.医師に相談のうえで運動を取り入れる

腰に強い痛みがある方は自己判断で運動を行なってしまうと、より症状を悪化させてしまうことも考えられます。症状の程度によって推奨される運動のセット回数も変わってくるため、医師に相談しながら運動を行なうようにするとよいでしょう。

ストレッチで腰痛を解消しよう

腰痛は加齢によって椎間板が変形したり、日常動作で腰に負担がかかったりして起こるものです。腰痛が気になる方は、腰痛と関係のある筋肉を鍛える効果や柔軟性を高める効果が期待できる、運動・ストレッチを行なってみましょう。

腰痛の程度によっては、セット回数が変わるだけでなく、そもそも運動が適していない場合もあるため、医師と相談しながら続けていくことが大切です。

監修者情報

氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医