血管をやわらかくする食べ物とは?
食べ物以外で血管をやわらかくする方法も紹介

本来、血管には柔軟性や弾力性がありますが、食生活などが原因で徐々に硬くもろくなっていきます。硬くなった血管を放置すると、重大な病気の引き金になる可能性があるため、注意が必要です。

今回は、血管をやわらかくする食べ物や、食べ物以外で血管をやわらかくする方法などを解説します。

1.食べ物で血管をやわらかくすることはできる?

血管の柔軟性や弾力性は、さまざまな原因により失われ、硬くなっていきます。その原因の一つが食生活です。

血液中の「LDLコレステロール(悪玉コレステロール)」や中性脂肪が過剰に増えると、血管の硬化が進行しやすくなります。LDLコレステロールは、肝臓で作られたコレステロールを全身に運ぶ働きがあるため、食事に含まれる脂質の摂取を控えることで、血管が硬くなるのを防ぐといわれています。

特に、脂身の多い肉やバターなどに含まれる、中性脂肪を増やす働きがある飽和脂肪酸の摂りすぎに注意しましょう。

2.血管をやわらかくする食べ物

LDLコレステロール値の正常範囲は、140mg/dL未満です。血管をやわらかくするためには、食事内容を工夫し、LDLコレステロール値を正常範囲まで下げる必要があります。
ここでは、血管をやわらかくするおもな食べ物を見ていきましょう。

2-1.食物繊維

食物繊維とは、食べ物に含まれ、人の消化酵素で消化できない物質のことです。性質の違いで、水に溶けない「不溶性食物繊維」と、水に溶ける「水溶性食物繊維」の2種に分けられます。

食物繊維は、コレステロールを含む脂質や糖などを吸着し、体外に排出してくれるため、血管をやわらかくする効果が期待できます。

食物繊維を豊富に含むおもな食べ物は、次のとおりです。

  • ・こんにゃく

  • ・きくらげ

  • ・ひじき

  • ・しいたけ

  • ・おから

  • ・わかめ

2-2.青魚

背の青い魚は、DHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)を豊富に含んでいます。DHAとEPAは不飽和脂肪酸の一種で、DHAは血液中のコレステロールや中性脂肪を減らす効果、EPAは血液を固まりにくくする効果があります。

おもな青魚は、次のとおりです。

  • ・サバ

  • ・マグロ

  • ・アジ

  • ・イワシ

  • ・サンマ

2-3.大豆製品

大豆製品に含まれる「大豆タンパク」には、LDLコレステロールを減らす働きがあります。また、「大豆イソフラボン」にも、LDLコレステロールや中性脂肪を減らす働きがあるため、積極的に摂り入れたい食べ物です。

おもな大豆製品は、次のとおりです。

  • ・納豆

  • ・豆腐

  • ・厚揚げ

  • ・豆乳

  • ・味噌

3.食べ物以外で血管をやわらかくするには運動がおすすめ

運動を行なうと、血液中の「HDLコレステロール(善玉コレステロール)」が増えます。HDLコレステロールは、血管の壁に溜まったLDLコレステロールを回収し、血管が硬くなるのを抑制します。

18~64歳の方は、中強度以上の身体活動を毎日60分程度行なうことから始め、慣れてきたら、汗をかくような運動を毎週60分程度行ないましょう。

一方、65歳以上の方は、強度を問わず身体活動を毎日40分程度行なうことが推奨されています。横になったままの生活、座ったままの生活にならないよう、少しでも体を動かすようにしてください。

運動や血管を柔らかくする食べ物を積極的に摂取しましょう

血液中のLDLコレステロールや中性脂肪が過剰に増えると、血管が硬くなります。そのため、食事に含まれる脂質の摂取を控えつつ、血管をやわらかくする食べ物を摂取することが大切です。

血管をやわらかくする食べ物には、こんにゃくやきくらげなどの食物繊維を豊富に含む食べ物、アジやマグロなどの魚類、納豆や豆腐などの大豆製品があります。

運動により血液中のHDLコレステロールを増やすのも、血管の硬化を抑制するのに効果的です。自分の年齢に合った強度・時間の運動習慣を身に付けましょう。

監修者情報

氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。