高血圧には自覚症状がない?高血圧になる理由について解説

「高血圧に自覚症状はあるのだろうか?」「どのような自覚症状があったら、高血圧に注意したら良いのだろう?」と疑問に思う人もいるかもしれません。

高血圧は、動悸や頭痛などを自覚症状として感じる人もいるといわれますが、実際にはほとんどのケースに自覚症状がありません。気付かないうちに高血圧を発症し、長年放置してしまうおそれもあるので注意が必要です。

今回は、高血圧の概要や自覚症状、高血圧になる理由について解説します。

1.そもそも高血圧とは?

高血圧とは、血圧測定を繰り返し測った際に、正常血圧よりも高い数値を示す状態を指します。高血圧の種類には、本態性高血圧と二次性高血圧があり、日本人の多くにみられるのは本態性高血圧です。

本態性高血圧は、明確な原因を特定できない高血圧のことで、食生活の乱れや肥満などの生活習慣が大きく影響しているとされています。

一方、甲状腺疾患や睡眠時無呼吸症候群など、他の疾患が原因となって引き起こされるのが二次性高血圧です。

診察室で血圧測定した際に、収縮期血圧(最高血圧)140mmHg以上、もしくは拡張期血圧(最低血圧)90mmHg以上だと高血圧とされます。

2.高血圧には自覚症状がない

通常、高血圧には自覚症状がほとんどありません。ときに動悸や頭痛、ふらつきなどの自覚症状がある人もいますが、大半のケースでは高血圧は無症状です。また、高血圧の自覚症状として頭痛が出現しているのではなく、実際には頭痛が原因で血圧が上昇しているのではないか、という考え方もあります。

自覚症状の有無で高血圧を発見するのは困難であるため、高血圧になっていることを気付かないまま放置してしまうおそれがあります。高血圧の状態が長引くと、脳や心臓など全身の血管に負担がかかってしまうので注意が必要です。

3.高血圧になるおもな理由

高血圧を引き起こす理由には、生活習慣に関連したものが少なくありません。具体的には、食生活の乱れや肥満、運動不足、喫煙や精神的なストレスなどが挙げられます。

食生活で特に問題となるのは、塩分の摂りすぎとカリウムの摂取不足です。塩分(ナトリウム)を過剰摂取すると体内に水分が溜まって血流量が増え、血圧が上がってしまいます。こういった状態を避けるには、減塩が効果的です。国民健康・栄養調査報告によると日本人の平均塩分摂取量は一日10.2gですが、厚生労働省推奨食塩摂取目標量として、一日男性8g、女性7g以下としています。また、高血圧症の場合は、一日6g未満を目標にしましょう。そして、カリウムは尿からナトリウムを排泄させるのを助けるミネラルであるため、野菜や果物からしっかり摂るようにしましょう。

肥満は血圧を上昇させ、心臓への負担にもつながるので注意が必要です。運動不足も高血圧のリスクとなるので、有酸素運動などを取り入れて高血圧予防と肥満対策に努めましょう。

喫煙では、たばこに含まれるニコチンによって血管が収縮し、血圧が上昇します。喫煙習慣があると、血管の病気によるリスクが5~10倍になるというデータもあるので、注意が必要です。

また、ストレスは自律神経のバランスを崩して交感神経を活発な状態にし、血圧上昇をもたらします。高血圧対策のためにも、自分に適したストレス解消方法を見つけて、リラックスするとよいでしょう。

自覚症状がなくても高血圧に注意しましょう

高血圧では多くの場合、自覚症状を感じません。そのため、不調の有無にかかわらず定期的に血圧を測定し、異常があれば医療機関に相談することが大切です。

サイレントキラーと呼ばれる高血圧は、無自覚のうちに進行して心臓や脳の血管に重大な影響をおよぼす危険な病気です。減塩や肥満防止など、高血圧予防に効果的な生活習慣を取り入れつつ、自分の血圧をきちんと把握する習慣をつけましょう。

監修者情報

氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医