1.脂質の摂りすぎは肥満や生活習慣病の原因に
脂質は炭水化物・タンパク質と同じく、人体にとって大切なエネルギー源です。体の構成成分としても重要で、人体には水分に次いで多く含まれます。
生命維持に欠かせない栄養素ですが、食事で摂取した脂質が余ると、中性脂肪として蓄積されてしまいます。そのため、必要以上に脂質を摂りすぎると肥満につながり、生活習慣病を引き起こすことになりかねません。
さらに、脂質を摂りすぎると、血液中に含まれる中性脂肪とLDLコレステロール(悪玉コレステロール)を増やし、HDLコレステロール(善玉コレステロール)を減らします。中性脂肪、LDLコレステロール、HDLコレステロールのバランスを正常に保ち、体の健康を維持するためには、脂質を摂りすぎないように注意しましょう。
2.積極的に摂ったほうが良い脂質もある
前述したように、脂質の摂りすぎには注意したほうが良いですが、脂質は人体に重要な栄養素でもあるため適量摂取を意識するのが大切です。脂質のなかには、健康のために摂ったほうが良いものもあるため、そういったものを積極的に摂取するとよいでしょう。
脂質を大別すると、構成の違いによって飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の2種類があります。飽和脂肪酸を摂りすぎると、コレステロール値を上げて中性脂肪を増やし、不飽和脂肪酸は血中のコレステロールを抑える作用があるとされています。
不飽和脂肪酸のうち、α-リノレン酸やリノール酸は人体では作られないため、食事から摂らなければならない必須脂肪酸です。また、青魚に多いDHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)や、植物油に多いオレイン酸も、コレステロールを低下させる作用があるとして注目されています。
とはいえ、不飽和脂肪酸も脂質であるため、適量摂取を心がけましょう。
3.脂質の多い食べ物
脂質の種類や体のなかでの脂質の働きについて見てきたところで、どういった食べ物に脂質が多く含まれるのかを紹介します。食事の際の参考にしてください。
3-1.肉類
肉類のなかで脂質の多い食べ物は、次のとおりです。
食品名 |
可食部100gあたりの脂質(g) |
牛肉(リブロース) |
60.1 |
豚肉(ばら) |
43.9 |
豚肉(ばらベーコン) |
39.1 |
豚肉(とんかつ) |
35.9 |
豚肉(ウインナーソーセージ) |
32.0 |
参照:文部科学省「食品成分データベース」
3-2.魚介類
魚介類のなかで脂質の多い食べ物には、以下のものがあります。
食品名 |
可食部 100 gあたりの脂質(g) |
いわし(油漬け缶詰) |
30.7 |
まいわし(フライ) |
30.3 |
たいせいようさば(焼き) |
29.3 |
たいせいようさば(水煮) |
28.5 |
みなみまぐろ(生) |
28.3 |
参照:文部科学省「食品成分データベース」
3-3.種実類
ナッツ類で脂質が多く含まれているものは、以下のとおりです。
食品名 |
可食部 100 gあたりの脂質(g) |
マカダミアナッツ(いり・味付け) |
76.7 |
くるみ(いり) |
68.8 |
ごま(練り) |
61.0 |
ピスタチオ(いり・味付け) |
56.1 |
ごま(いり) |
54.2 |
参照:文部科学省「食品成分データベース」
3-4.乳類
乳製品で脂質が多い食品は次のとおりです。
食品名 |
可食部 100 gあたりの脂質(g) |
クリーム(乳脂肪) |
43.0 |
クリーム(植物性脂肪) |
39.5 |
コーヒーホワイトナー(粉末) |
36.2 |
ナチュラルチーズ(チェダー) |
33.8 |
ナチュラルチーズ(クリーム) |
33.0 |
参照:文部科学省「食品成分データベース」
脂質の多い食べ物は摂取量を意識しよう
脂質は、健康的に生きるうえで欠かせない栄養素ですが、摂りすぎると中性脂肪や悪玉コレステロールを増やし、善玉コレステロールを減らすおそれがあります。そのため、脂質の摂りすぎには注意が必要です。
ただし、脂質は構成の違いにより、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分かれます。不飽和脂肪酸であるDHA・EPA・オレイン酸は、コレステロールや中性脂肪を下げる作用が期待できる成分です。
食品ごとに脂質の割合はそれぞれ異なります。脂質が気になっている方は、脂質の少ない食品を選んだり、脂質の多い食べ物を食べすぎないようにしたりして気を付けましょう。
監修者情報
氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医