1.ブドウ糖とは?
ブドウ糖は食べ物のなかの栄養素として体内に入ったあと、人間が生きるために欠かせない働きをします。ここではブドウ糖の基本的な情報と、体のなかでどのような役割を果たしているかを解説します。
1-1.ブドウ糖の基礎知識
ブドウ糖はグルコース(glucose)とも呼ばれ、自然界に最も多く存在している単糖類です。単糖類とは、糖の最小単位のことを指します。ブドウから発見されたため、日本語ではブドウ糖と名付けられました。
食品中にはブドウ糖そのものだけでなく、ブドウ糖が形を変えたものも存在しています。ショ糖や乳糖、デンプンは、ブドウ糖が他の単糖類(果糖やガラクトース)やブドウ糖同士で結びついたものです。
1-2.ブドウ糖の働き
食べ物から摂取されたデンプンなどの糖質は、消化・吸収を経て最後はブドウ糖になりエネルギー源となります。ブドウ糖は脂質よりもすみやかに分解・吸収されることが特徴です。そのため、激しい運動で体が消耗したときにブドウ糖を摂ると、素早く吸収されて血糖値を上げられます。
また、人間のエネルギー源となる栄養素はいくつかありますが、脳のエネルギー源となるのはブドウ糖だけです。そのため、ブドウ糖は生命維持に欠かせない重要な栄養素といえます。
2.ブドウ糖を含む食べ物
ブドウ糖を多く含む食品は次のとおりです。
食品名 |
可食部 100 gあたりのブドウ糖(g) |
はちみつ |
33.2 |
干しぶどう |
28.6 |
プルーン/乾 |
24.6 |
かんぴょう/乾 |
16.3 |
バナナ/乾 |
9.0 |
ブドウ糖ははちみつのほか、果物に多く含まれています。また、同じ果物では生よりドライフルーツのほうが、100gあたりのブドウ糖量が多くなります。おやつやおつまみとしてドライフルーツを食べる習慣がある方は、食べすぎに注意しましょう。
3.ブドウ糖は摂りすぎに注意する
ブドウ糖は脳の唯一のエネルギー源であり、すみやかにエネルギー源として利用される有用な栄養素ですが、摂りすぎると体に悪影響をおよぼすことがあります。ブドウ糖の過剰摂取は肥満を招き、糖尿病を引き起こすリスクがあるため注意が必要です。
血液中では血糖として存在するブドウ糖は、インスリンと呼ばれるホルモンによって血中濃度が調節されます。血液中に存在するブドウ糖の量が増えると、インスリンが作用してブドウ糖は中性脂肪に変換されて脂肪細胞のなかに蓄えられます。そのため、ブドウ糖を摂りすぎると肥満を引き起こしてしまうのです。
また、インスリンの分泌量が減ったり、効きが悪くなったりして血糖値が高い状態が続くのが糖尿病です。血糖値が高い状態が続くと血管にダメージを与えるほか、神経や腎臓などに影響をおよぼすことがあります。
健康診断などで「血糖値が高め」と指摘された場合は、改善のために医師の指導にしたがいましょう。
ブドウ糖は重要な栄養素ですが摂取量には注意しましょう
ブドウ糖は脳の唯一のエネルギー源であり、すみやかな消化・吸収でエネルギー源として活用できる、人間にとって重要な栄養素です。
しかし、ブドウ糖の摂りすぎは肥満につながることはもちろん、血糖値が高い状態が続くと糖尿病を発症するおそれもあります。なお、ブドウ糖が多い食品の摂りすぎだけでなく、ブドウ糖のもととなる糖質の食べすぎにも注意は必要です。
健康のためにもブドウ糖の摂取は、適切な量を心がけましょう。
監修者情報
氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医