1.どのような状態を便秘というのか
まずは、便秘とはどのような状態を指すのかを解説します。
1-1.便秘とは
便秘とは、体外に出さなければならない便をスムーズに排出できない、もしくは十分な量を排出できない状態を指します。
また、日常的に排便をしていたとしても「便がいつもより硬い」「便が残っている感じがする」「かなりいきまないと排便されない」などの状態があれば、便秘といえるでしょう。
1-2.便秘かどうかをチェックするときのポイント
便秘かどうかをチェックするには、以下のような状態がないかを確認しましょう。
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・便が残っている感じがときどきある
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・排便時に、強くいきまなければならないことがときどきある
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・ときどき硬い便やウサギの糞のような便が出る
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・排便が難しい感じや直腸肛門に閉塞感がときどきある
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・人の力を借りた排便(摘便や会陰部圧迫など)の必要がときどきある
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・自発的に起こる排便が週3回未満
上記の状態が当てはまる場合には、便秘が疑われます。
2.女性が便秘しやすい理由
冒頭でも触れたとおり、女性は慢性的な便秘を起こしやすいとされていますが、なぜ女性のほうが便秘になりやすいのでしょうか。以下におもな理由を挙げます。
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排便リズムの乱れ
自宅以外の場所で便意があっても、タイミングが合わなかったり、躊躇してしまったりしてつい我慢する方がいます。排便を我慢することが続くと、排便リズムが乱れて排便反射が鈍くなり、便意を感じにくくなるのです。その結果、便秘につながります。
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ダイエット
ダイエットをしたいという女性は少なくないでしょう。しかし、ダイエットのために油を摂取しなくなったり、食事を制限したりすると、便秘の要因となります。
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ホルモンの影響
プロゲステロンという女性ホルモンには、水分を体内にためこむ作用があります。この作用により、便の水分が少なくなって便が硬くなることで便秘が起こりやすくなります。
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妊娠、出産の影響
女性は妊娠などで骨盤腔が広がります。これによって腸が下垂し、腸の動きが制限されて便秘にも影響します。
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腹筋の影響
女性は基本的に腹筋の力が男性より弱いことも、便秘になりやすい原因の一つとされています。
3.便秘の対処法
ここでは、便秘を解消するための生活習慣や、トイレで注意すべきポイントを解説します。
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食物繊維を摂る
食物繊維には、便の量を増やして腸の動きを活発にし、便通を良くする働きがあるため積極的に摂りましょう。成人男性は一日21g以上、成人女性は一日18g以上を目安に食物繊維を摂ることが推奨されています。
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規則正しい食生活
便秘予防において、規則正しい食生活を意識することは大切です。特に、腸の動きを活発にして排便する習慣を身につけるために、朝食はしっかりと摂りましょう。
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水分を摂る
朝起きたときには、コップ1杯の水を飲みましょう。腸の動きが活発になり、便意を催しやすくなります。
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適度な油分を摂る
油が腸内で潤滑油としての働きをすることで、排便が促されます。便秘を解消するためには、適量の油を摂りましょう。
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適度な運動
運動によって、腸が刺激され便秘予防につながります。また、「の」の字を書くようにお腹をマッサージするのもよいでしょう。
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トイレの時間を確保する
便意を催したらトイレを我慢しないようにしましょう。ただし、肛門のためにも、排便にかける時間は一回5分までを心がけてください。
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前かがみの姿勢で排便する
洋式トイレの場合は、排便時に35度くらいの前かがみの姿勢をとるように意識しましょう。それにより、直腸から肛門までが一直線になり、便がスムーズに出やすくなります。
女性の便秘対策の第一歩として健康的な腸を目指しましょう
便秘とは、快適に排便できない状態、または十分な量の排便ができない状態のことです。
女性は、排便を我慢しやすいこと、ダイエットのために食事を制限すること、ホルモンの作用などで便秘になりやすいといわれています。
便秘を予防・解消するためには、食物繊維を多く摂ったり適度な運動をしたりして生活習慣を見直すことや、便意を我慢しないようにすることが大切です。
ぜひ、今回紹介したことを実践して便秘を予防・解消しましょう。
監修者情報
氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。