寝起きの貧血によるめまいや吐き気は脱水が原因?
対策方法について解説

「朝起きると、貧血のようなめまいや吐き気がする……」と、寝起きに発生する症状でお悩みの方もいるかもしれません。

めまいや吐き気などの症状は、寝起きの脱水が原因となって起きている場合があります。無自覚のうちに脱水が起こってしまうケースもあるため、脱水症状をきちんと理解して予防することが大切です。

今回は、脱水の原因や具体的な症状、脱水予防におすすめの方法について解説します。

1.寝起きの貧血によるめまい・吐き気は脱水が原因の可能性も

冒頭でも触れたように、寝起きにめまいや吐き気など貧血のような症状が出る人は、脱水を起こしている場合があるので注意しましょう。

1-1.そもそも脱水とは

脱水とは、人体の機能維持に欠かせない水分と電解質が体から失われ、不足している状態です。脱水を起こすと、貧血の症状のようにめまいや吐き気が出現することがあります。

大量の汗をかいていなくても、空気の乾燥や体調不良などが原因で、いつの間にか脱水を起こしている場合もあるため注意が必要です。

1-2.脱水のおもな原因

脱水を起こす代表的な原因として、熱中症や温度の高い室内で過ごすことが挙げられます。また、秋から冬にかけての空気の乾燥も、脱水の原因です。

さらに、就寝中は寝汗や呼吸から水分・電解質が失われるため、起床後に水を飲まずにいると水分不足で脱水を起こしやすくなります。

このほかに、発熱や下痢、嘔吐などの体調不良、ストレスによる緊張状態が引き金となって脱水状態に陥る場合も少なくありません。夜更かしや寝すぎ、二日酔い、食べ過ぎ、朝食抜きといった乱れた生活習慣も、適切な水分摂取の機会を失うなどの理由から脱水の原因になりうるので要注意です。

1-3.脱水による症状

体からどの程度の水分が失われるかによって、脱水による症状は異なります。軽度の脱水ではのどが渇いたり、尿量が減ったりするのが代表的な症状ですが、微熱や吐き気、軽度の下痢を起こす場合もあります。

中等度の脱水ではより深刻な症状が見られ、めまいや全身倦怠感、頭痛、嘔吐などが出現することが多いでしょう。血圧が下がったり、集中力・判断力が低下したりする人もいます。

さらに重度の脱水では、けいれんや昏睡、腎機能不全などを引き起こし、命に関わる危険な状態に至ります。

2.寝起きの貧血によるめまい・吐き気を予防するためにできること

寝起きに起こる貧血のようなめまいや吐き気を予防するには、脱水を避けてこまめに水分を摂取することが大切です。そのため、寝起きや寝る前には水を飲みましょう。

ヒトはのどの渇きを自覚した時点で、すでに軽度の脱水状態にあるといわれているため、のどが渇いていなくても定期的な飲水を習慣づけることが脱水予防になります。

朝食を摂ると、必要な水分や電解質を補えて脱水対策となるため、朝食は抜かないようにしてください。栄養バランスの良い食事は、健康的な体づくりにも欠かせません。部屋が高温多湿にならないようエアコンを上手に使ったり、扇風機などで換気したりするのもおすすめの方法です。

また、着脱しやすい服を選ぶと温調節しやすくなり、体に熱がこもるのを防げるでしょう。

寝起きのめまいや吐き気がある人は脱水に注意

寝起きにめまいや吐き気があると、「貧血かな?」と思う場合もあるかもしれませんが、水分不足が原因で脱水症状が起きている可能性があります。

就寝中は、寝汗や呼吸によって水分・電解質が失われます。寝起きに水分・電解質を適切に補給しないと、脱水症状が起こる場合があるので注意しましょう。

脱水を予防するためには、のどの渇きを感じなくても、就寝前や起床時など、こまめな飲水を習慣づけると安心です。朝食をしっかり食べること、室内の温度や湿度を調節することも脱水対策といえます。

適量の水分摂取を意識的に行ない、生活習慣や環境を整えて、寝起きのめまいや吐き気に対処していきましょう。

監修者情報

氏名:高橋健太郎(たかはし・けんたろう)
循環器内科医として臨床に関わりながら、心血管疾患のメカニズムを解明するために基礎研究に従事。現在はアメリカで生活習慣病が心血管疾患の発症に及ぼす影響や心血管疾患の新しい治療法の開発に取り組んでいる。国内・海外での学会発表や論文報告は多数。
日本内科学会認定内科医、日本循環器学会所属。