蓄膿症(副鼻腔炎)とは?おもな症状や原因について解説

「風邪のあとにいつまでも鼻水や鼻づまりが続いている」「黄色のドロドロした鼻水が出て、においがわかりにくい」などの症状が見られる場合は、蓄膿症(副鼻腔炎)かもしれません。

蓄膿症は子どもだけではなく、大人もかかることがあります。蓄膿症のような症状が見られたら、悪化する前に治療を行なうことが大切です。

今回の記事では、蓄膿症の症状や原因について解説します。

1.蓄膿症(副鼻腔炎)とは?

「蓄膿症」は、医学的には「副鼻腔炎」と呼ばれ、副鼻腔が炎症によって腫れたり、膿が溜まったりした状態のことです。副鼻腔とは、顔の骨のなかにある空洞のことで、鼻腔とつながっています。

蓄膿症は子どもがかかることが多い病気ですが、大人でも感染症をきっかけに症状が現れる場合があるため注意しましょう。大人だと、肥満体型の方、喘息や慢性気管支炎の方、喫煙者、高齢者が蓄膿症になりやすい傾向にあります。

蓄膿症は、目の下あたりの痛みなどとともに、ネバネバした黄色っぽい鼻水が出るのが特徴です。

重症化すると、鼻の粘膜にポリープができて鼻腔をふさぎ、空気の通りが悪くなってさらに症状が悪化するおそれがあります。このような悪循環に陥らないためにも、蓄膿症が疑われる症状が出たら、専門科を受診して適切な治療を受けましょう。

2.蓄膿症(副鼻腔炎)の原因

蓄膿症は大まかに、急性副鼻腔炎と慢性副鼻腔炎の2つに分けられます。

風邪などの感染症にかかると、鼻の粘膜で増殖した細菌やウイルスによって炎症が起こり、鼻腔で起こった炎症が副鼻腔にまでおよんだものが急性副鼻腔炎です。急性副鼻腔炎は1カ月程度で治るのが一般的ですが、急性副鼻腔炎の症状が長期間続くと、慢性副鼻腔炎に進行します。

慢性副鼻腔炎では、炎症が長期間継続することによって粘膜が厚くなり、副鼻腔と鼻腔の間の穴がふさがってしまいます。すると空気が通りにくくなり、分泌物や膿がスムーズに排出できず副鼻腔内に溜まり続けてしまうのです。

先述したとおり、蓄膿症が重症化すると、鼻粘膜にポリープができることがあります。このポリープは、鼻粘膜の一部が炎症によって膨らんだものです。

ポリープが鼻腔をふさぐと、蓄膿症がさらに悪化することになりかねません。蓄膿症によってポリープができた場合は、ポリープの切除だけでなく、再発を防ぐために蓄膿症の治療を行なうことが必要です。

3.蓄膿症(副鼻腔炎)のおもな症状

蓄膿症の症状は人によって異なり、症状の重さにも個人差がありますが、おもな症状には次のようなものが挙げられます。

  • ・鼻水

  • ・鼻づまり

  • ・異臭を感じる

  • ・においがわかりにくくなる

  • ・頭痛

  • ・目の下あたりが痛む など

上記のような症状はいずれも不快に感じるため、仕事など日々の生活に影響が出る方もいるでしょう。さらに、蓄膿症は慢性中耳炎の発症リスクにもつながるなど、聴力に問題が生じるおそれもあります。

鼻水・鼻づまり・頭痛などの症状が長く続いているときは蓄膿症の疑いがあるため、早めに医療機関を受診するのがおすすめです。

蓄膿症の症状が長引くときは早めの対策を心がけましょう

蓄膿症は医学的には「副鼻腔炎」とも呼ばれ、おもに風邪などのウイルスや細菌が原因で引き起こされる、副鼻腔の炎症です。

傾向として子どもに多くみられますが、年齢に関わらず感染症のあとに症状が出ることがあります。肥満体形の方、呼吸器疾患を持つ方、喫煙者、高齢者は、蓄膿症を引き起こすリスクが高いため、特に注意が必要です。

蓄膿症が悪化すると、鼻粘膜にポリープができてしまうことがあり、さらなる悪循環を引き起こしかねません。鼻水や鼻づまり、頭痛などの症状がなかなか治らないときは、早めに医師へ相談しましょう。

監修者情報

氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医