バリウム検査はなぜ必要?
検査前日・当日の注意点についても解説

健康診断や人間ドックで、「おいしくないバリウムを飲むのがつらい」「バリウム検査を受ける必要はあるのか」などと感じていませんか?

バリウム検査では、X線を吸収する性質を持つバリウムの使用により、病気を早期発見することが期待されます。

今回は、バリウム検査が必要な理由や、バリウム検査を受けるうえで注意すべき点について解説します。

1.バリウム検査はなぜ必要?

バリウム検査とは、バリウムという造影剤を飲んだあとに、食道・胃・十二指腸のレントゲン撮影を行なう検査のことです。

ここでは、バリウム検査が必要な理由を、バリウムの概要とともに解説します。

1-1.そもそもバリウムとはなにか?

バリウムとは、X線を吸収する性質を持つ「重晶石」を砕いて粉末状にし、そこに飲みやすくしたり、水に溶けやすくしたりするための添加物を加えたものです。バリウム検査では、この粉末を水に溶かしたものを飲みます。

バリウムは性質的に腸液や胃液に溶けることがなく、消化器官から体内には吸収されません。便として排出されるため、バリウムを飲んでも基本的に体への害はないといえます。

1-2.バリウム検査が必要な理由

バリウム検査の目的は、胃炎や十二指腸潰瘍などの病気を早い段階で見つけることにあります。

X線を多く吸収するバリウムと、X線をあまり吸収しない炭酸ガスを利用した濃淡画像により、胃粘膜の状態や胃炎の有無などの確認が可能です。

2.バリウム検査ができない人もいる

先ほど、バリウムを飲んでも基本的に害はないとしましたが、以下に当てはまる場合は安全性が保てないため、バリウム検査を受けられません。

  • • バリウムによりアレルギー症状が出たことがある人

  • • 過去1年以内に開腹手術や整形外科の手術をした人

  • • 過去2カ月以内に大腸ポリープを切除した人

  • • 胃や腸の病気で治療中または経過観察中の人

  • • 人工透析治療中などで水分制限がある人

  • • 検査当日まで3日間排便がないようなひどい便秘の人

  • • 普段から飲食時にむせやすい人

  • • 妊娠中または妊娠の可能性がある人

  • • 授乳中で下剤服用後24時間以内の授乳を避けられない人

また、頭痛・腹痛・発熱・倦怠感・吐き気など、検査当日の体調が優れない場合は、バリウム検査を延期する必要があります。

3.バリウム検査の前日までの注意点

バリウム検査を受ける場合、検査日の2日ほど前からは、アルコール類の摂取を控えましょう。

検査前日は、夜に消化の悪い食べ物を摂らないようにし、20~22時頃までに食べ終えてください。また、水やお茶は、就寝前までなら飲んでも問題ありません。

バリウム検査の際に、胃に食べ物が残っていると検査を中止することになります。

4.バリウム検査当日の注意点

胃の粘膜にバリウムがつきにくくなるため、バリウム検査当日はガムや飴なども含め、絶食する必要があります。食事をしてしまった場合は、検査を受けられないこともあるため注意しましょう。

ただし、検査の2時間前までに、200ml(コップ1杯)程度の水を飲むことは可能です。

普段から服用している薬がある場合は起床後にすぐ飲み、検査前に服用した旨を申し出ましょう。食事をせずに糖尿病の薬を服用すると、低血糖発作で危険な状態に陥りかねないため、糖尿病の薬は服用しないでください。

また、たばこを吸う方は、バリウム検査が終わるまでは禁煙しましょう。

バリウム検査で病変を早期発見しよう

バリウム検査は、胃炎や十二指腸潰瘍などの病気を早い段階で発見する目的で行なわれるものです。

ただし、バリウムによりアレルギー症状が出たことがある人など、条件によってはバリウム検査を受けられない場合があります。

精度の高いバリウム検査を受けられるように、検査前日までと検査当日の注意点をそれぞれ守りましょう。

監修者情報

氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医