1.りんごの基礎知識と種類
まずは、りんごの歴史や、おもな種類を解説します。
1-1.基礎知識
りんごは古くから食べられてきた果物で、約4000年の歴史があるといわれています。
日本では江戸末期~明治初期に、アメリカから伝わったりんごの苗木を栽培したのが始まりです。栽培に適した気候と考えられた津軽地方や北海道、長野県などに苗木が送られました。
りんごの栽培は涼しい地域が適しているため、現在は青森県や長野県、岩手県などで栽培が盛んです。
1-2.おもな種類
りんごにはたくさんの品種があり、味はもちろん、大きさや色、香り、形など、それぞれ特徴があります。ここではおもな品種を紹介します。
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ふじ
日本で最も有名な品種の一つです。果肉はやや粗く硬めの食感で、果汁が極めて多く、蜜がたっぷり入っています。甘酸のバランスに優れた品種です。
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ジョナゴールド
アメリカで作られた品種で、ち密な果肉を持ちます。酸味があるため、ジュースなどの加工品にも利用されます。
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王林
黄緑色をしており、独特の香りがあります。果肉はやや硬く、果汁も多く甘みが強い品種です。
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つがる
果皮は真っ赤で少し縞(しま)が入っています。硬めの果肉で果汁が多く、甘みも強い品種です。
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陸奥(むつ)
大玉の品種で、袋をかけると紅色、袋をかけずに栽培すると黄緑色になります。芳香があり食味も良い品種ですが、加工にも向いています。
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シナノスイート
つがるとふじの系統で、見た目はつがるに似て縞が入ります。甘みがあり果汁も多く、味の良い品種です。
2.りんごに含まれる栄養素
りんごに含まれている代表的な栄養素には、ビタミンCや食物繊維、カリウムが挙げられます。
2-1.ビタミンC
ビタミンCは、体内でコラーゲンの生成に欠かせない物質です。骨や腱、血管、歯などを正常に保つほか、皮膚のメラニン色素を押さえ、日焼けによる炎症を防ぎます。また、鉄分の吸収を助ける働きも担っています。
近年、ビタミンCの抗酸化作用が注目されており、老化防止などの効果が期待されています。
2-2.食物繊維
食物繊維は腸内の善玉菌が増え、腸内環境が改善されます。また、整腸効果だけでなく、血糖値上昇の抑制、血液中のコレステロール濃度を低下させる役割などがあります。
2-3.カリウム
カリウムは腎臓でのナトリウムの再吸収を抑え、体外への排出を促すため、血圧を下げる効果が期待できます。塩分の摂取量を気にしている方は、積極的に摂取したい栄養素です。
3.りんごを食べるメリット
栄養価の高いりんごを食べると、さまざまなメリットがあります。
3-1.便通の改善
りんごの食物繊維が腸内にある善玉菌(ビフィズス菌)を増やし、悪玉菌を減らして便通を改善します。乳幼児の胃腸にも優しく作用し、高い整腸作用が期待できます。
3-2.貧血の予防
りんごには、鉄分の吸収を助けてくれるビタミンCが豊富に含まれています。ジュースにして飲むと胃液の分泌が高まり、より効果的です。
4.栄養豊富なりんごを使ったレシピ
ここからは、栄養豊富なりんごを使ったおすすめのレシピを紹介します。
4-1.りんごとオレンジのコンポート
コンポートとは、果物をシロップで煮るデザートです。そのまま食べるのはもちろん、ヨーグルトやアイスクリームを添えるのもおすすめです。冷蔵庫の保存で一週間程度は日持ちします。
【材料】4人分
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• りんご 1個
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• バター 10g
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• オレンジジュース 100㏄
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• 砂糖 大さじ1
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• レーズン 大さじ1
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• ラム酒 大さじ1
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• ミントの葉 適量
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• サワークリーム 適量
【作り方】
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1. りんごは皮をむいて、12等分(くし形)します。
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2. フライパンにバターを熱し、りんごを炒めましょう。しんなりしたらオレンジジュースと砂糖、レーズン、ラム酒を加え、2分程度煮詰めます。
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3. 皿に盛り、お好みでミントの葉や、サワークリームを添えたら完成です。
アレンジとしては、仕上げにコーンスターチでとろみをつけると、トロトロして食べやすくなります。
4-2.赤キャベツとりんごのバルサミコ煮
りんごの甘酸っぱさと、ぶどうから作ったバルサミコ酢の香りが楽しめる一品です。赤キャベツを使って、見た目も美しく仕上げましょう。
【材料】2人分
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• りんご 1/2個
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• 赤キャベツ 1/4玉
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• 玉ねぎ 1/4個
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• ベーコン 2枚
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• バター 大さじ1
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• バルサミコ酢 大さじ1と1/2
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• 水 大さじ1と1/2
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• 塩、こしょう 少々
【作り方】
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1. 赤キャベツは葉を1枚ずつはがし、熱湯で1分ゆでて約5cm角に切り、りんごは皮をむいて芯を取り、一口大に切ります。玉ねぎは5mm程度の薄切り、ベーコンは1cm幅にカットしましょう。
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2. 熱した鍋にバターを溶かし、玉ねぎ、ベーコン、りんごの順に炒め合わせ、一度取り出します。調理する鍋は、味付けにバルサミコ酢を使うので、アルミ製のものは避けましょう。
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3. 同じ鍋に、赤キャベツと炒めた具を交互に重ねて入れ、バルサミコ酢と水を加えてください。オーブンペーパーなどで落し蓋をしてから、さらに鍋の蓋もして、弱火で約20分煮込みます。赤キャベツがしんなりしたら、塩・こしょうで味を調えて器に盛ったら完成です。
気になる栄養素がたっぷり含まれるりんごを健康維持に役立てましょう
りんごには、腸内環境を整える食物繊維や、コラーゲンの生成を促すビタミンC、体内の塩分を排出してくれるカリウムなど、気になる栄養素がたっぷり含まれています。
今回紹介したレシピを参考に、そのまま料理してもおいしいりんごを、日々の健康管理に役立ててください。
監修者情報
氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。