1.にんじんの基礎知識
にんじんはセリ科ニンジン属の野菜で、アフガニスタン付近で生まれました。その場所を中心に東西に分かれて広がり、にんじんの種類は大きく「西洋にんじん」と「東洋にんじん」の2つに分かれます。
東洋にんじんは赤色で細長く、西洋にんじんはオレンジ色で太くて短いのが特徴です。現在、おもにスーパーなどで見かけるにんじんは、西洋系のものです。
にんじんは気温の低い場所での栽培が適しているため、日本では北海道で最も多く生産されています。東京や大阪などの都市で8~10月ごろに出回っているのは、おもに北海道産のにんじんです。
2.にんじんに含まれる栄養素
にんじんにはβ-カロテンが豊富に含まれていますが、この栄養素がにんじんが持つオレンジ色のもとです。β-カロテンには抗酸化作用があり、シミや日焼けの予防も期待できるといわれています。
また、β-カロテンは小腸の上皮細胞で、摂取量のおよそ半分がビタミンAに変換されます。ビタミンAにはおもに、目や気管支、胃腸などの粘膜を正常に保ち、皮膚の状態を整える作用などがあります。
このほかにも、コラーゲンの合成に必要なビタミンCや、ヘモグロビンの材料となる鉄、歯・骨の材料となるカルシウムなども、にんじんには豊富に含まれています。
3.にんじんを使ったおすすめレシピ
ここからは、にんじんを使ってできるレシピを紹介します。あらゆる料理に使いやすいにんじんですが、メインとして使えるレシピを知りたい方はぜひ参考にしてください。
3-1.にんじんのロースト クミンの香り
まずは、クミンの香りが効いた「にんじんのロースト クミンの香り」のレシピを紹介します。ビールやハイボールに合うため、おつまみとして楽しむのもよいでしょう。
【材料】※作りやすい分量
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• にんじん 2本
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• 塩 小さじ0.5
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• クミンシード 小さじ1
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• こしょう 適量
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• オリーブ油 大さじ2
【作り方】
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1. にんじんをよく洗い、皮が付いたまま縦に8等分します。
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2. ポリ袋やボウルなどに、にんじん・塩・クミンシード・こしょう・オリーブ油を入れ、しっかりと混ぜます。
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3. オーブンを200度に予熱したら、オーブンシートを天板に敷き、2を載せて広げます。30~35分ほど焼いたら完成です。
3-2.にんじんの粒マスタードサラダ
次に、粒マスタードの風味が食欲をそそる「にんじんの粒マスタードサラダ」のレシピを紹介します。粒マスタードを使用するため、塩は控えめで構いません。
【材料】※作りやすい分量
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• にんじん 150g
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• グレープフルーツ 1個
(A)
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• 粒マスタード 小さじ1
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• オリーブ油 小さじ1
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• 塩 少々
【作り方】
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1. にんじんはできるだけ細く切ります。
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2. グレープフルーツは皮や薄皮を取り除いて小房に分け、半分にカットします。この段階で出てくる果汁はのちほど使うため、ボウルなどに入れてとっておきます。
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3. グレープフルーツの果肉と果汁をボウルやポリ袋に入れ、(A)の調味料とよく混ぜます。
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4. にんじんを3に加えて混ぜ合わせてしばらく置き、味がなじんだら完成です。
3-3.にんじんのグレープフルーツマリネ
最後に、グレープフルーツのさっぱりとした味わいが楽しめる「にんじんのグレープフルーツマリネ」のレシピを紹介します。オリーブ油の分量は、グレープフルーツの果汁量に合わせて調整するのがポイントです。
【材料】2人分
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• にんじん 1本
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• グレープフルーツ 1個
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• 揚げ油 適量
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• 塩 適量
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• 砂糖 小さじ1/2~
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• オリーブ油 大さじ1~1.5
【作り方】
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1. にんじんを輪切りにしていき、大きければ半月切りにします。
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2. 揚げ油を160~170度に熱し、1のにんじんを素揚げします。
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3. グレープフルーツは皮と薄皮を取り除き、サイズが大きければ半分にカットします。このとき、果肉を取ったあとの薄皮をしっかり絞って、果汁をとっておきます。
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4. グレープフルーツの果汁・塩・砂糖・オリーブ油をボウルに入れて混ぜ、2のにんじんと3の果肉を加え、10分ほど味をなじませたら完成です。
栄養素が豊富なにんじんを食卓に取り入れよう
にんじんは、大きく西洋にんじんと東洋にんじんの2種類に分かれますが、スーパーなどでおもに取り扱われているのは西洋系のにんじんです。
にんじんには、体内でおよそ半量がビタミンAに変換する、β-カロテンが多く含まれています。さらには、ビタミンCや鉄、カルシウムなども多く含む、栄養豊富な緑黄色野菜です。
今回紹介したレシピを参考にするなどして、栄養豊富なにんじんを日々の食事に取り入れていきましょう。
監修者情報
氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。