糖分(糖質)の働きとは?
不足・摂りすぎた場合の症状について解説

ダイエットのために糖分(糖質)を抜くという方法がありますが、かえってダイエットの妨げとなることをご存じでしょうか。

糖分はちょうど良い量を摂らなければ、健康を害するおそれがあります。糖分の適切な摂取量を知って、健やかな毎日に役立てましょう。

今回の記事では、体内での糖分の働きや摂取目安量、糖分を摂り過ぎたときと不足したときの症状を解説します。

1.糖分(糖質)の働きについて

糖分は、炭素と水素からなる炭水化物の一種です。糖分は生命維持に必要な栄養素で、人間の体内で重要な役割を果たしています。ここでは、糖分の働きと糖分を多く含む食品について見ていきましょう。

1-1.糖分(糖質)の働き

ブドウ糖などの単糖で構成されている化合物を、炭水化物といいます。炭水化物は消化・吸収されてエネルギー源として利用される「糖質」と、体に吸収されない「食物繊維」の2種類に大きく分けられます。なお、炭水化物は、脂質やタンパク質と並ぶ三大栄養素の一つです。

また、でんぷんやショ糖などの形で食品から摂取された糖分は消化吸収を経てブドウ糖となり、おもにエネルギー源として使われます。ブドウ糖は脳が活動するうえで唯一のエネルギー源で、生命活動に欠かせません。

炭水化物の一日の摂取目安量は、食事から摂取するエネルギーの50~65%が良いとされています。一日に摂取するエネルギーが2000kcalであれば、1000~1300kcalに相当します。炭水化物1gはおよそ4kcalのため、一日の摂取量は250~325gが適切です。

1-2.糖分(糖質)を多く含む食品

炭水化物は米やパン、めん類、イモ類などの主食、果物や菓子、砂糖などの甘いものに多く含まれています。ただし、甘いものを摂り過ぎると血糖値の急激な上昇を招いてしまいます。炭水化物を摂るには、穀類やいも類などを中心に選ぶのがよいでしょう。

2.糖分(糖質)が不足した場合のおもな症状

糖分が不足すると、次のような症状が現れます。

  • ・集中力の低下

  • ・筋肉量の低下

  • ・太りやすくなる

  • ・疲れやすくなる

糖分が分解されてできるブドウ糖は、脳の唯一のエネルギー源です。そのため、脳や神経でブドウ糖が不足すると、集中力が下がって仕事のパフォーマンス低下などを引き起こしかねません。また、エネルギー源である糖分が足りないと、疲労感を感じやすくなります。

また、慢性的に糖分が不足すると、代わりに筋肉のタンパク質を分解して利用するようになるため、筋肉量が低下して基礎代謝も下がり、太りやすい体質になってしまいます。ダイエットで食事中の糖分を抜く人もいますが、正しいダイエットのためには適切な量の糖分を摂取しましょう。

3.糖分(糖質)を摂りすぎるとどうなる?

糖分を摂りすぎると皮下脂肪や内臓脂肪として蓄積され、肥満や生活習慣病を招く原因となります。

糖分が分解されて作られるブドウ糖は、血液中では血糖として存在します。血糖値はインスリンというホルモンによってコントロールされています。しかし、ブドウ糖の量が過剰になるとインスリンによって中性脂肪に変換され、脂肪細胞に貯蔵されます。

そのため、ブドウ糖の基となる糖分の過剰摂取は、肥満や生活習慣病のリスクです。肥満を予防するには、甘いものや主食を食べすぎないように注意しましょう。

糖分(糖質)はエネルギー源として過不足なく摂取しましょう

糖分は、体や脳のエネルギー源として使われる人間が生きていくために必要不可欠な栄養素です。

糖分の摂取量は多すぎても少なすぎても、悪影響をおよぼします。

健康的な生活のためには、甘いものやご飯などの主食は食べすぎないよう、糖分を適切な量で摂ることが大切です。

監修者情報

氏名:高橋健太郎(たかはし・けんたろう)
循環器内科医として臨床に関わりながら、心血管疾患のメカニズムを解明するために基礎研究に従事。現在はアメリカで生活習慣病が心血管疾患の発症に及ぼす影響や心血管疾患の新しい治療法の開発に取り組んでいる。国内・海外での学会発表や論文報告は多数。
日本内科学会認定内科医、日本循環器学会所属。