1.低血圧で起きやすい症状
そもそも「低血圧」には、明確な診断基準がありません。機会を変えて複数回血圧を測定してみて、収縮期血圧(最高血圧)が100mmHgよりも低いことが多い場合、一般的には低血圧と考えられるでしょう。
低血圧の状態では、めまいや立ちくらみがする、少し動くと動悸や息切れが生じる、立っているときや入浴時に気持ちが悪くなる、だるさや疲れやすさがあるなどの症状が見られます。めまい・立ちくらみがしたときや、立っているときに気持ちが悪くなったときには、倒れてしまうケースもあるでしょう。
その他、低血圧で起きやすい症状は、次のとおりです。
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・頭痛
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・頭重感
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・腹痛
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・肩こり
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・疲れ目
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・耳鳴り
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・冷や汗
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・胃もたれ
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・食欲不振
症状が強い場合は、日常生活に支障が出るかもしれません。
なお、低血圧の症状は一日のなかでも朝に強く出ることが多いため、「朝なかなか起きられない」「午前中はずっと調子が悪い」という方は、低血圧が原因の可能性があります。夜遅くまで起きている習慣があると、症状が悪化しやすくなるでしょう。
また、季節のなかでは夏に症状が出やすく、食欲不振による夏バテに注意が必要です。
2.低血圧で頭痛が起きる理由
低血圧にともなう頭痛やめまい、ふらつきなどの症状の原因にはさまざまなものがありますが、わかりやすい理由としては自律神経の障害によるものが考えられます。
自律神経の調節に障害が発生することで、急な体位変更をした際などに血液の流れが滞り、体内を循環する血液量が減ってしまい頭痛などが起こるのです。
上記の原因を踏まえた適切な対処法について、次章で見ていきましょう。
3.低血圧にともなう頭痛への対処法
低血圧にともなう頭痛などの症状を予防するには、血管内を循環する血液量を減らさないために、適度な水分を摂ることが大切です。特に、汗をかいたときは脱水に注意してください。
また、高血圧の場合は塩分の摂取量を減らすことが推奨されますが、低血圧の場合は塩分を過剰に制限しないほうがよいでしょう。
全身の血液循環を促進できる、ウォーキングなどの運動も有効です。下半身を中心に筋肉を鍛えられれば、血流をより改善しやすくなります。十分な水分補給を忘れず、無理のない範囲で運動しましょう。
ただし、運動を急にやめると、脳への血流が減少して頭痛やめまいが生じることがあるため、少しずつ力を抜いて終えるのがポイントです。
さらに、寝起きにシャワーを浴びる、入浴時に熱めの湯に肩までつかるといったことも、血流の改善に効果的です。
症状が強いと不安に感じるかもしれませんが、生活習慣を変えることで症状を軽減できる可能性があります。上記の内容をもとに、少しずつ生活習慣を改善していきましょう。
低血圧の症状を理解し、頭痛に対処しましょう
頭痛やめまいといった症状は、低血圧が原因で見られることがあります。
適度な水分を補給する、塩分を過剰に制限しない、無理のない範囲で運動する、寝起きにシャワーを浴びるなど、自分に合う方法で低血圧にともなう頭痛に対処しましょう。
ただし、頭痛にはさまざまな種類があり、低血圧以外の原因が隠れていることもあります。そのため、慢性的な頭痛に悩んでいる方は、必要に応じて専門の医師の診察を受けてみてください。
監修者情報
氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。