水分不足で起こるおもな症状とは?
体内における水分の重要性や脱水を防ぐ方法を解説

水分は私たちの体の大部分を占めている重要なものですが、喉が渇いてから水分補給をする方も多いのではないでしょうか。

水分にはさまざまな役割があり、実際には喉が渇く前に補給しておくことが理想です。

今回の記事では、水分の重要性や水分不足が起こるとどのような症状が出るのか、また、水分不足を防ぐ方法について紹介します。

1.水分の重要性について

水分の役割は多岐にわたりますが、血液としての役割、体温調節、腎臓や尿との関係などがあり、人間の体が生命活動をしていくうえで欠かせないものとして知られています。

体内の水分の内訳は、細胞内にある細胞内液が3分の2、血液・リンパ液・細胞間液と呼ばれる細胞外液が3分の1となっています。胎児では体の約90%、子どもは約70%、成人は約60~65%、高齢者は50~55%が水分です。

水分の役割について、より具体的に見ていきましょう。

1-1.血液としての役割

水分のうち血液は、栄養・ホルモン・酸素・タンパク質などの運搬だけでなく、老廃物や不要なものを体外に出す役割を担っています。血液の半分以上を構成する血漿(けっしょう)は90%近くが水分でできており、この血漿がイオンやタンパク質、栄養や酸素を体中に運んでいます。

1-2.体温調節の役割

人は汗をかいたとき、体の表面から水分が蒸発することで熱が奪われます。運動をしたときや暑いときに汗をかくのは、体温が上がりすぎないよう調整するためです。人は体温が2度上がるだけでも体調不良が現れるため、体温調節も水分の大切な役割の一つといえます。

1-3.腎臓や尿との関係

体内の老廃物は体内を循環している血液によって集められ、腎臓で水と一緒にろ過されます。体外排泄に必要な尿の量は一日あたり1.2Lといわれており、老廃物の排泄には少なくとも0.5Lが必要といわれています。

また、尿の量は体内の水分量によって異なります。体内の水分が少ないときは尿が少なくなるように、体内の水分量が多いときは尿が多くなるように、水分量の調節も腎臓で行なわれているのです。

2.水分不足で起こるおもな症状

水分が不足すると熱中症を引き起こすことがあります。熱中症の症状は3つの段階に分かれており、軽度な場合はめまい・立ちくらみ・足がつる・お腹の筋肉が痙攣(けいれん)を起こすといった症状が見られます。その次に頭痛・嘔吐・脱力、重症のときは意識障害・全身の痙攣・高体温の症状が現れ、場合によっては命の危険につながることもあります。

熱中症にならないためには暑さを避けること以外に、水分補給が大切です。また、汗をかいているときは水分だけでなく、塩分の補給も行なうようにしましょう。

その他、頭痛・立ちくらみ・舌の乾燥・微熱・食欲低下・脱力・血圧低下などが脱水症の症状として見られるものです。

なお、高齢者は軽度の脱水症では症状が現れないこともあります。症状が出ていないからといって油断しないようにしましょう。

3.水分不足を防ぐ方法とは?

喉の渇きは体の水分が不足しているというサインなので、喉の渇きを感じる前にこまめに水分を摂っておくことが大切です。

最近ではマスクの着用時間が長いことから喉の渇きを感じにくいうえ、体内に熱が留まり脱水に近い状況になりやすいといわれています。

運動前・入浴前・睡眠前・暑い場所へ行く前などは、意識して水分補給を行なうようにしましょう。

水分補給に適した飲み物は、水や麦茶など、糖分やカフェインを含まないものです。糖分は水分の吸収率が下がること、カフェインは利尿作用があることが理由として挙げられます。

温度や量については、常温に近いものや5~15度くらいの冷たすぎないものを150~200mlずつ、7~8回に分けて一日合計1.5Lを目安にしましょう。

水分不足で起こる症状を把握し、こまめな水分補給を意識しましょう

体内の水分は血液・体温調節・腎臓や尿などと関連があり、人間が生命活動を営むうえで欠かせないものです。

それゆえに水分が不足すると熱中症や脱水症が起こる要因となり、頭痛・立ちくらみ・微熱・食欲の低下などさまざまな不調が体に現れます。

熱中症は最悪の場合、命にかかわることもあります。熱中症を予防するには暑さに注意することに加えて、日頃から水分補給をこまめに行なうことが大切です。

水分補給を行なうタイミングは、運動前・入浴前・睡眠前・暑い場所へ行く前が適しています。糖分やカフェインの含まれていない水や麦茶などを、常温に近いもので150~200ml、7~8回に分けて飲んで一日あたり合計1.5Lを目安に水分補給をしましょう。

監修者情報

氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医