睡魔がひどい場合に考えられる原因とは?
ひどい睡魔の対策方法についても解説

「睡眠時間を確保しているはずなのに日中眠い」
「週末はしっかり寝ているのに睡魔がひどい」

健康な生活を送っていくにあたって必要不可欠な睡眠です。しかし、適切な睡眠時間が人によって違うことなどが原因で、ひどい睡魔に襲われる方も少なくないかもしれません。

今回の記事では、睡魔がひどいときに考えられる原因やその対策について解説します。

1.最近睡魔がひどい……考えられる原因とは?

まずは、睡魔の原因として考えられることについて見ていきましょう。

1-1.睡眠不足

慢性的な睡眠不足により昼間に強い眠気を感じることを、睡眠不足症候群といいます。平日の睡眠時間が3〜5時間と短く、週末にこれらの不足分を取り戻すために9〜10時間ほど眠るのが特徴です。

睡眠不足症候群になる方は、睡眠不足であることを本人が自覚していないケースが多いのが特徴です。真面目な性格の方は、仕事や家事が一区切り付くまで眠らないことで結果的に睡眠時間が削られてしまう場合が多いでしょう。

本来、私たちの睡眠のリズムは光を浴びることで体内時計が働き調整されています。
しかし、現代では強い光を浴びないはずの夜にスマートフォンやテレビの光を浴びるため、体内時計が勘違いをして夜でも眠気を感じにくくなるのです。

睡眠不足症候群の眠気以外のおもな症状は、以下のとおりです。

  • ・攻撃的になる

  • ・注意力が散漫になる

  • ・疲れやすい

  • ・意欲低下

  • ・落ち着かない

  • ・人付き合いが難しくなる

  • ・食欲不振

  • ・胃腸障害

1-2.睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)は、眠ると呼吸が止まって体が酸欠状態になるため、睡眠が中断されてしまう病気です。

病態は、肥満などにより空気の通り道が狭くなる閉塞型、呼吸を調整する脳の働きが弱くなって起こる中枢型、閉塞型と中枢型の両方が関連する混合型に分けられます。

睡眠時無呼吸症候群のおもな症状は、過眠や昼間の眠気、夜間の長時間にわたる酸欠状態による高血圧のような生活習慣病の悪化などです。

周りの方からいびきを指摘されたり、夜寝ている間に息苦しくて目が覚めたり、起きたときに頭痛や倦怠感があったりする場合は、睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。

いびきがひどい場合や睡眠時に呼吸が止まるような方は、医療機関で診てもらうことが確実です。

1-3.ナルコレプシー

ナルコレプシーは、夜間に十分な睡眠をとっていても昼間に突然眠気に襲われて居眠りしてしまう(睡眠発作が起こる)病気です。

ナルコレプシーの原因にはオレキシンという神経伝達物質が関係しています。通常、十分な量のオレキシンが働いて脳が覚醒しますが、ナルコレプシーになると何らかの理由でオレキシンが分泌されず、脳が睡眠の状態に近づいてしまいます。

睡眠発作以外のおもな症状は、以下のとおりです。

  • ・慣れた行動を眠ったまま行なう自動症

  • ・笑いや喜びなど興奮が加わったときに首や膝に脱力が起こってろれつが回らなくなる情動脱力発作

  • ・睡眠中に体が動かない睡眠麻痺

  • ・入眠時に人の声や気配を感じる入眠時幻覚

1-4.睡眠の質を低下させる環境で寝ている

睡眠中の周りの音量・光の強さ・温度・湿度・寝具など、寝るときの環境が適していない場合も、昼間の睡魔がひどくなります。

心地良く眠るために寝室では仕事をしない、余計なものは置かないといったことでリラックスできる空間づくりをしましょう。

2.日中のひどい睡魔の対策方法

睡眠不足症候群のように睡眠不足が原因の方は、週末だけでなく平日の睡眠も十分とるようにすると日中の眠気が軽減されます。

睡眠環境が整っていない方は光量や温度など、寝室の環境を見直して整備しておくことが効果的です。

睡眠時無呼吸症候群やナルコレプシーが原因で日中に睡魔に襲われる方は早めに医師の診察を受けたほうがよいでしょう。

睡眠を十分にとっても睡魔がひどい場合は要注意

睡魔のおもな原因は睡眠不足症候群、睡眠時無呼吸症候群、ナルコレプシー、睡眠時の環境などがあります。

睡眠時無呼吸症候群やナルコレプシーが原因で、日中に睡魔に襲われる方は早めに医師の診察を受けましょう。

睡眠は健康的な毎日を送るために欠かせないもの、毎日十分な睡眠を確保して楽しい毎日を過ごしましょう。

監修者情報

氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医