腎臓機能を高めるには?食生活・運動のポイントについて紹介

腎臓は、背中側に左右対称についている臓器です。長さは10cmほどで一つ150gくらいあり、握りこぶしと同じくらいの大きさをしています。

腎臓は血液をきれいにしたり、体内の水分量を調節したりする働きを持ち、私たちが健康に暮らしていくうえでは欠かせない存在です。

では、どのようにすれば腎臓の機能を高めることができるのでしょうか。
今回は、腎臓機能を高めるための食生活や運動について詳しく解説します。

1.腎臓とは

腎臓とは、老廃物を取り除いたり電解質のバランスを整えたりする働きを持つ臓器です。おもに、次のような働きを担っています。

  • ・血液中の老廃物を尿として排泄する

  • ・体内の水分量を調節する

  • ・電解質のバランスを整える

  • ・血圧の調整を行なう

  • ・血液を作る

  • ・カルシウムの吸収をサポートする

腎臓にある糸球体という濾過装置で血液の老廃物を取り除き、体に不要なものはそのまま尿として排泄します。

カリウムやナトリウムなどの電解質の量を調整し、体内の水分バランスを一定にするのも腎臓の大切な役割です。

血圧を上げるレニンや赤血球を作るエリスロポエチン、カルシウムの吸収を促進するビタミンDを作る働きもあります。

2.腎臓機能を高める食生活

腎臓は、血圧や血液中の成分が影響する臓器であるため、食生活の影響を大きく受けるといわれています。腎臓の機能を高めるには、以下2点に注意して食事を行なうようにしましょう。

  • ・塩分を控える

  • ・タンパク質を摂りすぎない

「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、一日あたりの食塩摂取量の目安は成人男性では7.5g未満、成人女性では6.5g未満に定められています。

高血圧の方やすでに慢性腎臓病だといわれている方は重症化を避けるため、一日あたり6.0g未満を目標としてください。

塩分の摂取量を抑えるには、塩の代わりに香辛料や香味野菜を使ったり、だしを活用したりして調理することがおすすめです。ドレッシングやソースは料理にかけるのではなく小皿に分け、必要な量だけ付けて食べるなどの工夫もすることで、減塩につながります。

また、タンパク質の摂りすぎに気をつけることも重要です。タンパク質が消化されてエネルギーとして使われたあとにできる老廃物は、腎臓によって取り除かれます。つまり、タンパク質の摂りすぎは、腎臓に負担をかけてしまうのです。

とはいえ、タンパク質は私たちの筋肉や皮膚などを作るために欠かせません。18~64歳の男性は一日65g、65歳以上の男性は一日60g、18歳以上の女性は一日50gを目安に摂取するとよいでしょう。

3.腎臓機能を高める運動

腎臓の機能を高めるには、運動も有効です。有酸素運動や筋力トレーニングを中心に、医師に相談しながら、体の負担のない範囲で行なっていきましょう。

有酸素運動として取り組みやすいのがウォーキングです。まずは一週間を目安に、普段どれくらいの歩数を歩いているのかを調べてみてください。その歩数に500~1,000歩を足したものを、毎日の目標にして歩くようにします。最終的には一日6,000~10,000歩を達成できるように少しずつ歩数を増やしてみてください。

筋力トレーニングのおすすめは、片足立ちやスクワットです。片足立ちは、椅子やテーブルにつかまって片足を少しだけ上げた状態で姿勢をキープします。1分程度経ったら、もう片方の足も同様に行なってください。

スクワットは、足を肩幅に開いてその場で立ったりしゃがんだりを繰り返すトレーニングです。約10~15回を1セットとし、一度のトレーニングで1~3セットを目安に行ないましょう。

ウォーキングや筋力トレーニングが難しいと感じる場合は、ラジオ体操から始めるのもおすすめです。

腎臓機能を高めるためにも良い生活を心がけましょう

腎臓は、老廃物を取り除いたり体内の水分バランスを保ったりする働きをする臓器です。腎臓の機能を高めるには、腎臓に負担をかけにくい生活を日頃から行なっていく必要があります。

食生活では、塩分を控えてタンパク質の摂りすぎに気をつけましょう。有酸素運動や筋力トレーニングを行なうのも効果的です。

運動は糖尿病や高血圧など生活習慣病の予防にもなるため、ぜひ毎日の日課にしてみてください。

監修者情報

氏名:高橋健太郎(たかはし・けんたろう) 循環器内科医として臨床に関わりながら、心血管疾患のメカニズムを解明するために基礎研究に従事。現在はアメリカで生活習慣病が心血管疾患の発症に及ぼす影響や心血管疾患の新しい治療法の開発に取り組んでいる。国内・海外での学会発表や論文報告は多数。 日本内科学会認定内科医、日本循環器学会所属。