1.ナトリウムとは?
ナトリウムは、体内でどのような働きをしているのでしょうか。
1-1.ミネラルの一種でもあるナトリウム
ナトリウムは、私たち人間が生きるうえでは欠かすことのできないミネラルの一種です。食べ物ではおもに食塩(塩化ナトリウム)から摂取しています。
ナトリウムはおもに細胞の外側に多く存在しており、細胞外液の浸透圧をコントロールして細胞外液の量を保つ働きを担っています。
1-2.ナトリウムの摂取目安量はどのくらい?
ナトリウムを摂りすぎると、むくみや口の渇き、高血圧などのリスクが高まることがわかっています。
日本におけるナトリウムの摂取目安量(食塩相当量として)は、成人の場合一日当たり男性は7.5g未満、女性は6.5g未満です。
これは目安量であって、高血圧予防のためには、男女とも一日6g未満の食塩相当量に摂取を抑えることが望ましいといわれています。
しかし、実際の日本人が一日に摂る食塩相当量は、成人1人一日当たり男性11g程度、女性は9g程度です。近年は減少傾向ではありますが、摂取目安量よりも高くなりやすいといえるでしょう。
ナトリウムを摂取しすぎた場合は、カリウムを摂ることでナトリウムの排泄を促進することが可能です。
カリウムは、野菜や果物、海藻類や豆類などさまざまな食品に含まれており、ゆでたり煮たりすると水に溶けだす性質があります。生野菜や生果物から効率良く摂取できます。
2.ナトリウムが不足することで起こるおもな症状
健康な人で通常の食生活を送っていれば、ナトリウム不足になることはほぼありません。
しかし、汗をかきすぎたり、激しい下痢を起こしたりしてナトリウムが欠乏すると、低ナトリウム血症に付随した症状が起こり得ます。一般的な症状としては疲労感や頭痛、嘔吐、食欲不振などが見られ、さらに悪化すると昏睡や痙攣などが起こります。
3.塩分を抑えた低ナトリウム食のおすすめレシピ
ここからは、塩分控えめの低ナトリウムレシピを3つご紹介します。
3-1.納豆チャーハン
まず紹介するレシピは、納豆の香ばしさやにらの香りが食欲をそそる「納豆チャーハン」です。
【材料】4人分
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• 納豆 小4パック(180g)
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• 卵 4個
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• にら 24茎(95g)
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• 長ねぎ 2本(180g)
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• 高菜漬け 40g
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• しょうゆ 小さじ2
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• こしょう 適量
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• サラダ油 大さじ4
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• ご飯 800g
【作り方】
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1. 長ねぎと高菜漬けはみじん切りにし、にらは5mm幅にカットします。
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2. 卵はボウルに割り入れて、ご飯と混ぜておきましょう。
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3. フライパンを強火にかけてサラダ油を熱し、納豆と長ねぎを炒めます。
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4. フライパンに卵と混ぜたご飯を加え、パラリとするまで炒めたらこしょうを入れます。鍋肌に沿ってしょうゆを加えましょう。
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5. 4に高菜漬けとにらをさっと混ぜたら火を止め、器に盛り付けて完成です。
にらの香りとこしょうの辛味が納豆に良く合い、おいしさが増す一品です。
3-2.おうち麻婆豆腐
次に、さまざまなスパイスが効いた「おうち麻婆豆腐」のレシピを紹介します。
【材料】4人分
【作り方】
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1. 干ししいたけをビニール袋に入れ、麺棒などを使って細かく砕いたあと、ボウルなどに入れて水を加えておきます。このとき、石づきの硬い部分はよけておきましょう。
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2. 豆腐はさいの目にカットし、沸かした熱湯に入れてさっとゆでます。
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3. ボウルに砂糖、酒、しょうゆ、ラー油、トマトピューレを入れて混ぜ合わせておきましょう。
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4. 中華鍋を強火にかけサラダ油を熱し、にんにくのみじん切りとしょうがのみじん切り、長ねぎみじん切りの半量を加えて炒めます。香りが出てきたら豚ひき肉も加えてさらに炒めましょう。
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5. 水で戻しておいたしいたけを4の中華鍋に水ごと加え、さらに1分ほど炒め、3の合わせ調味料を加えて混ぜ、2の豆腐も加えて炒めます。
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6. 中華鍋に水溶き片栗粉を加えて、とろみがついたら火を止めます。最後に残りの長ねぎのみじん切りと五香粉も混ぜたら完成です。
香辛料だけでなく、ねぎやにんにく、しょうがなどで香りづけをし、干ししいたけのだし汁を使うことで減塩につながるレシピです。豆板醤は塩分も含まれているため、代わりにラー油を使用しています。
3-3.お酢で焼くさっぱり鶏
最後に紹介するレシピは、酢の酸味が効いた「お酢で焼くさっぱり鶏」です。
【材料】4人分
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• 鶏もも肉 2枚(約600g)
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• にんにく(スライス) 2片分(16g)
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• 塩 4g
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• 黒こしょう 適量
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• 酢 120cc
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• はちみつ 大さじ1
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• しょうがしぼり汁 小さじ2
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• 長ねぎ 2本(80g)
【作り方】
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1. 鶏もも肉はフォークなどで皮に穴を空け、耐熱容器に入れます。スライスしたにんにくをのせて全体に黒こしょうをふり、酢をかけて塩をふっておきましょう。
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2. 1の鶏もも肉を180度のオーブンに入れて、表面がきつね色になるまで焼きます(約25分)。
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3. 長ねぎは4~5cmにカットし、フライパンを中火に熱して2分焼き、ひっくり返してもう片面も2分焼きます。
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4. 2の鶏肉が焼けたらオーブンから鶏もも肉を取り出して、残り汁を鍋に入れます。はちみつとしょうがしぼり汁を加えて、汁が半量になるまで中火にかけて煮詰めましょう。
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5. 鶏もも肉を食べやすい大きさにカットしてお皿に盛り付け、ねぎを添えて4のソースをかけたら完成です。
鶏もも肉は、皮に穴を空けておくことで香りが中まで入りやすくなります。酢や香味野菜を使うことで、塩分を控えめにしながらおいしく食べられるレシピです。
ナトリウムは摂りすぎに注意
ナトリウムは、体内で浸透圧を調整する働きを持つ重要なミネラルです。
通常の食事で不足することはほぼありませんが、不足した場合は疲労感や食欲不振などの症状が起こります。
現在の日本では、ナトリウム不足よりも過剰摂取により高血圧などのリスクが高まることが問題視されています。
ぜひ今回お伝えしたレシピも参考にして、ナトリウムを摂りすぎないような食生活を送りましょう。
監修者情報
氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。