未病とは?未病の見つけ方・未病に気付いた場合の対策を紹介

近年、健康を考えるうえで重要なキーワードになっているのが「未病」です。

これからの超高齢化社会をイキイキと過ごすには、未病の状態にいち早く気付き、自分の体調に向き合いながら、生活習慣をあらためていく必要があります。

今回お伝えするのは、未病とは何か・未病の見つけ方・対策方法についてです。いつまでも健康で自立した生活を送るために理解を深めていきましょう。

1.未病とは?

未病とは、「まだ発病はしてはいないが、健康な状態から遠のきつつある状態」を指します。つまり、心身が健康な状態から病気になっていく間の過程のことです。

「疲れやすい」「だるい」「冷える」といった症状も、未病の一つとされています。

日本は、世界でトップクラスの長寿国です。しかし、ずっと健康な状態で過ごせているかというとそうではありません。日本人の“平均寿命”と健康な状態で生活できる“健康寿命”との間にはおよそ10年の隔たりがあるのです。

未病のうちに自分の生活習慣を見直すことは、健康寿命を延ばすことにつながります。

近年、健康のために重要視されているのが予防医学の考え方です。“病気になってから治す”ではなく“病気になる前に予防する”ことに重きが置かれています。

2020年3月に閣議決定された国の「健康・医療戦略」によっても「未病」へのアプローチの重要性について示されているのです。

2.自覚のない未病の見つけ方

未病は、自分で体の不調を感じて気付く場合もありますが、自覚症状がない人が検査値の異常によって初めて気付くこともあります。

未病は、徐々に不健康な状態に移行している段階なので、体のSOSに気付かないケースもあるのです。

そのため、年に一度の健康診断は未病を発見するうえで大切な役割を担っています。定期的に健診を受けていれば、検査値の変化で未病を発見できる場合もあるのです。

健康診断を受けただけで満足するのではなく、必ず結果を確認して、自分の健康状態に意識を向けましょう。

3.未病に気付いた場合の対策

未病を発見した場合には、自分の体と生活習慣に目を向けることが大切です。

未病のうちに対策を打つことで、病気になってから回復を目指すよりも早く健康を取り戻すことができるでしょう。未病の対策方法は、以下のとおりです。

3-1.食事を見直す

まずは、一日3食摂りましょう。主食・主菜・副菜2品・汁物をそろえた「一汁三菜」の和食中心の食事が理想的です。その他、牛乳や乳製品・果物も適度に取り入れましょう。

3-2.オーラルフレイル対策も忘れずに

高齢者の場合は、オーラルフレイルに気を付けましょう。あまり聞き慣れないかもしれませんが、「オーラルフレイル」とは、口に関するちょっとした衰えから、口の免疫機能低下・食べる機能の低下・心身の機能低下につながっていく負の連鎖のことです。

オーラルフレイルを防ぐために、以下の3つに気を付けましょう。

  • ・バランスの取れた食事を摂ること

  • ・かかりつけの歯医者で、定期的に口のなかのメンテナンスをすること

  • ・口のささいな衰えに注意すること

3-3.運動習慣を持ちましょう

適度な運動をすることで、筋肉や骨の強化・肥満の予防や改善につながります。さらに、糖尿病や高血圧といった生活習慣病の改善にも有効です。

特に、以下の検査値が高めの場合には、意識的に運動する習慣をつくりましょう。

  • ・血圧

  • ・血糖値

  • ・中性脂肪

  • ・LDLコレステロール値

  • ・BMI数値

  • ・腹囲

3-4.積極的な社会参加

健康を維持するためには、人との交流も大切です。ボランティア活動をしている人は、自立度が高いというデータもあります。趣味のサークルに参加するなど、他者との交流や社会とのつながりを持ちましょう。

未病を改善してイキイキと過ごしましょう

近年、日本は高齢者の人口割合が急激に増えており、介護や医療・福祉において多くの課題が山積みです。

中高年だけなく子どもから大人まで、それぞれのライフスタイルに応じた「未病」対策で健康をキープしていくことが求められています。

未病を改善するには「バランスの良い食事」「適度な運動」「積極的な社会参加」を心がけることが大切です。

人生100年時代に向けて、できるだけ長く健康的に過ごせるように、未病改善に努めましょう。

監修者情報

氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。