朝食を摂るメリットとは?朝食の際に摂ると良い栄養についても紹介

「朝は、ギリギリまで寝ていたい」「朝から食べる気がしない」といった理由で、朝食を食べる習慣がない人は少なくないのではないでしょうか。厚生労働省の調査によると、20代では3~4人に1人が朝食を食べていないという結果が出ています。

しかし、朝食を欠食することは、健康だけでなく学力や体力にまで負の影響をおよぼしている可能性があるのです。反対に、朝食を食べるメリットはたくさんあります。

この記事では、朝食の重要性と、朝食で摂取したい栄養素について解説しています。毎日朝食を食べて、イキイキとした毎日を送りましょう。

1.朝食を食べるメリット

朝食を食べることには、多くのメリットがあります。朝食を食べることで、もたらされる数多くのメリットを知ると、朝食を毎日食べようと考えるようになるかもしれません。

1-1.良好な生活リズム

朝食を食べることは、生活リズムを整える働きがあります。

幼児から高校生を対象にした研究によると、朝食を食べる習慣がある人は食べない人に比べて、早寝・早起きの人が多いことがわかりました。

私たちが持つ体内時計は、一日単位で体温・血圧・睡眠などを調整しています。日中は活動的に、夜は休息するように働きかけて体内リズムをつくっているのです。

生活リズムが乱れていると、体内リズムとのズレが生じてしまい、心身に強いストレスがかかって体や心に不調が現れます。

そのため、朝食を食べて生活リズムを整えることは健康への一歩になるのです。

1-2.朝食は心の健康にもつながる

多くの研究によって、朝食を食べると、心にも良い影響があることがわかっています。

例えば、小学生から大学生を対象にした研究では、朝食を食べる習慣のある人は集中力の欠如やイラつきが少なく、心の不調が少ないと示されています。

また、小学生や中学生を対象にした研究では、毎日朝食を食べる人は家族や友人に対して「大切だ」と感じる心が育まれるという結果も出ているのです。

さらに、栄養バランスの良い朝食をよく噛んで食べると、精神活動の活発化につながることもわかっています。これは、咀嚼筋を動かすことで脳の血行が良くなり、精神を安定させる働きのあるセロトニンという脳内物質が活性化するためです。

1-3.便通を良くする

朝食を食べることは、排便を促す働きもあります。これは、胃のなかに食べ物が入ってくることで大腸の動きが活発になり、腸内にある便を送り出すためです。このような腸の動きは一日に何度か生じるものですが、一日のうち朝食後が最も強く反応します。

また、朝食を食べないことが、便秘の原因になっていることも少なくありません。便秘を解消するためにも、朝食を食べて、食後にトイレに行く習慣をつけましょう。

1-4.学力や体力にも関係している

朝食を食べる習慣のある人は、食べない人に比べて体力と学力が高いという研究結果が出ています。朝食を食べると、脳のエネルギー源であるブドウ糖をチャージでき、勉強に集中しやすくなるためです。

また、朝食を食べると朝から活動的に体を動かせるので、体力強化にも良い影響をもたらします。

2.朝食の際に摂ると良い栄養素

では、朝食はどのような栄養素を意識して摂ればよいのでしょうか。具体的に見ていきましょう。

2-1.脳のエネルギー源「炭水化物」

炭水化物はエネルギーのもとになります。炭水化物が多く含まれているのは、ごはん・パン・麺などです。

ご飯ならおにぎり1~2個、パンなら食パン1~2枚程度を目安に食べましょう。

2-2.体温を上げるための「タンパク質」

タンパク質は、体温を上げる働きがある栄養素です。肉・魚・卵・乳製品・大豆製品に含まれています。

納豆なら1パック、目玉焼きなら1個分、豆腐なら半丁くらいが目安量です。

2-3.体の調子を整える「ビタミン・ミネラル」

ビタミン・ミネラルには、体の調子を整える働きがあります。ビタミンやミネラルが多く含まれているのは、野菜や果物です。

野菜は中皿一皿分くらい、果物はりんごなら1個分、みかんなら2個分を目安に食べましょう。

忙しい朝は、「ご飯と汁物だけ」「パンとコーヒーだけ」という方が多いかもしれませんが、これでは朝食として不十分です。

炭水化物だけでは栄養のバランスが悪く、血糖値を上げて太りやすくなってしまいます。ごはんやパンに加えて野菜たっぷりの卵スープを食べる、野菜やチーズなどを挟んだサンドイッチにする、具だくさんにした麺類にするといったように、栄養のバランスを意識して食材を足すとよいでしょう。

ストレス社会に負けないためにも朝食を食べましょう

朝食を食べることは、心身の健康のみならず、学力や体力にも良い影響があることがわかっています。

ストレス社会を生きる現代人は、大人だけでなく子どももストレスを抱え、心の病気を発症するケースもあります。ストレスに強い自分をつくるためにも、朝食を食べる習慣をつくりましょう。

朝食を食べる習慣のある人はイラつきが少なく、「家族や友人と一緒にいて楽しい」といった前向きな心が育まれる傾向があります。

しっかりと朝食を食べる習慣をつくり、心身ともにイキイキと過ごしましょう。

監修者情報

氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医