中性脂肪が高い原因は果物?摂り方を間違えないための知識を紹介

「果物を摂ると中性脂肪が増える」「果物は甘いから体に悪い」などと考えている方もいるかもしれません。

しかし、それはあくまで果物を過剰摂取した場合によるもので、適量の果物を毎日食べることは、むしろ健康に良いといえます。

今回は、中性脂肪と果物の関係や、健康的に果物を摂るための工夫について解説します。

1.適量の果物は健康に良い

果物には、ビタミンやミネラル、食物繊維が含まれています。ただし、あらゆるビタミン・ミネラルが摂れるわけではありません。果物におもに含まれるビタミンは、抗酸化作用が期待できるビタミンC、おもに含まれるミネラルは、細胞の浸透圧を調整してくれるカリウムです。

りんごやもものように、抗酸化作用が期待できる栄養素として、ポリフェノールやビタミンEが豊富に含まれる果物もあります。ビタミンCやポリフェノールなどの抗酸化物質は、老化や免疫力低下に関係する「活性酸素」の発生・働きを抑える効果が期待できます。

また、近年注目されているのが、日本のうんしゅうみかん(以下、みかん)です。みかんに多く含まれる「β-クリプトキサンチン」は、生活習慣病の予防につながる可能性が明らかにされています。

これらの理由から、適度な量の果物を食べることは健康に良いと考えられています。

2.果物を摂りすぎると中性脂肪が上がる原因に?

果物の甘さは、おもに「果糖」によるものです。

果糖を摂りすぎると、糖代謝の悪化や中性脂肪(トリグリセライド/トリグリセリド)が増加するリスクがあるため、注意しなければなりません。中性脂肪は私たちの体に欠かせないエネルギー源ですが、増えすぎると肥満を招き、生活習慣病の原因になりえます。

ただし、あくまでも過剰摂取に注意が必要なだけで、食事全体の総エネルギー摂取量が適切なら、果物を食べてもまったく問題ありません。

3.中性脂肪を上昇させず健康的に果物を摂るための工夫

健康的な食生活を目指すなら、適量の果物を毎日食べましょう。具体的な摂取目安量は、一日当たり「可食部重量で200g以上」です。可食部重量とは、基本的には食べない皮や種などを除いた重さのことです。

例えば、みかん・キウイフルーツ・バナナなら2個(本)、りんご・もも・グレープフルーツ・日本なしなら1個程度食べると、「可食部重量で200g」を達成できます。

このように、果物の種類ごとの適切な摂取量を把握し、年間を通して手に入りやすい果物や、旬の果物を中心に取り入れるとよいでしょう。果物は短時間でエネルギーになるため、朝食や昼食に食べるのがおすすめです。

なお、果物が使われているからといって、シロップ漬けの缶詰やドライフルーツのような加工品は、糖分が多いため注意が必要です。

また、「果汁100%のジュースを飲めば、果物を食べる代わりになる」というわけではありません。果汁100%でも、ジュースは2型糖尿病のリスクとなる可能性があるため、あくまで補完的なものとして飲むことが大切です。

中性脂肪が増えすぎないよう果物の摂取量は注意しましょう

ビタミン・ミネラル・食物繊維の供給源となる果物は、適切な量を食べる限り、健康に良い食べ物です。

一日当たり可食部重量200gを目安とし、手に入りやすい果物や旬の果物を摂りましょう。ただし、シロップ漬けの缶詰・ドライフルーツ・ジャムなどの加工品は糖分が多く、中性脂肪が増える原因となるため注意が必要です。

今回紹介した内容をもとに、果物を正しく摂って健康的な食生活を目指しましょう。

監修者情報

氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。