チョコレートで血圧は下がる?
カカオに期待される健康効果と摂取時の注意点

チョコレートは甘くておいしいお菓子ですが、健康に良い効果をもたらすという点でも注目されています。特に、血圧低下の効果はメディアでも取り上げられていますが、本当に血圧が下がるのか、疑問を感じている人も多いのではないでしょうか。

今回の記事では、チョコレートと血圧の関連性を踏まえつつ、おもな健康効果や摂取時の注意点について解説します。

1.チョコレートで本当に血圧が下がるのか?

チョコレートで血圧が下がることは事実ですが、その理由は「カカオポリフェノール」にあります。

カカオポリフェノールとは、カカオ豆(チョコレートの原料)に含まれているポリフェノールのことです。抗酸化作用や抗炎症作用を持ち、血管を拡張して炎症を抑える働きがあります。

チョコレートを食べると、カカオポリフェノールの作用によって血管が広がり、血流もスムーズになるため、結果として血圧が下がるというメカニズムです。

2.チョコレートがもたらす健康効果とは?

チョコレートには、血圧を下げること以外にも、次のような健康効果があります。

2-1.抗酸化作用

抗酸化物質の一つであるポリフェノールは、カカオに多く含まれているため、チョコレートには抗酸化作用が期待できます。抗酸化作用とは、老化や病気の原因となる「活性酸素」を抑制・除去することです。

微量のうちであれば、活性酸素は体にとって重要な働きを持つものですが、体内で過剰に発生すると除去しきれなくなり、酸化ストレスが溜まってしまいます。

酸化ストレスが溜まると、細胞の損傷によって老化が早まったり、脂質が酸化されて血管が狭くなったりするなど、さまざまな悪影響を生じさせるのです。

2-2.便秘の予防

チョコレートに食物繊維は豊富に含まれているため、便秘の解消・予防につながります。

2-3.免疫力の向上

カカオポリフェノールは、ファイトケミカルの一種とされています。

ファイトケミカルとは、植物が自身を守るために作り出す色素や香りといった成分のことです。これを食材から摂取すると、抗酸化作用によって免疫力の向上が期待できます。

また、チョコレートを食べると、ナチュラルキラー細胞という免疫細胞の活性化につながることもポイントです。結果として免疫力が向上し、インフルエンザなどの感染症を予防する効果も期待できます。

2-4.カテキンによる健康効果

カカオには、緑茶と同類のカテキンも多く含まれているため、摂取することにより以下のような健康効果を期待できます。

  • ・抗酸化作用

  • ・抗ウイルス作用

  • ・殺菌・抗菌作用

  • ・コレステロールの低下

  • ・血糖値の抑制

  • ・肥満の予防

  • ・虫歯の予防

カテキンを継続的に摂取すれば、病気のリスク低減も期待できるでしょう。

3.健康目的でチョコレートを食べるときの注意点

チョコレートを食べるときは、以下のポイントに注意しましょう。

3-1.高カカオのチョコレートを選ぶ

血圧低下などの健康目的でチョコレートを食べる場合は、カカオの成分が70%以上である高カカオの商品を選びましょう。

また、カカオポリフェノールが含まれているのは、カカオマスが使用されているチョコレートです。そのため、カカオマスが使われていないホワイトチョコには、カカオポリフェノールは含まれません。

チョコレートであれば何でも良いというわけではないので、注意しましょう。

3-2.脂質が多いため食べ過ぎない

チョコレートは、おもにカカオマス・ココアバター・砂糖・乳製品から作られています。ココアバターとは、カカオ豆に含まれる脂肪分です。

特に、カカオ成分を多く含む高カカオチョコレートは、以下のように脂質が多くカロリーも高くなっています。

  • ・高カカオチョコレート 脂質:52.5g、カロリー:645kcal

  • ・普通のチョコレート 脂質:34.2g、カロリー:562 kcal

※上記は100gあたりの数値

高カカオチョコレートは食べ過ぎると、太ってしまう可能性もあるため、注意が必要です。一日あたり25g程度を目安として、食べるとよいでしょう。

チョコレートは血圧低下が期待できるお菓子

チョコレートには、抗酸化作用・抗炎症作用を持つカカオポリフェノールが含まれています。このカカオポリフェノールの作用により血管が広がり、血流の改善や血圧の低下が期待できるでしょう。

このほかにも、チョコレートには便秘改善や免疫力の向上といった効果も期待できます。食べ過ぎには注意しつつ、おやつや食後のデザートに取り入れてみてはいかがでしょうか。

監修者情報

氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医