1.運動が血圧に与える影響
健康づくりの一環として適度な運動を行なうと、体力・筋力の向上やストレス発散に加えて、全身の血行が良くなるという効果も期待できます。
血流がスムーズになると、血管の内側にある「内皮細胞」が活性化して、健康的な血管をつくる一酸化窒素などの物質が放出されます。すると血管が強くしなやかな状態へと変化して、血管壁が広がるため、結果として血圧が下がるのです。
また、血栓ができる可能性も低くなるので、それが原因で起こる病気にもかかりにくくなります。
なお、血圧を下げる適度な運動とは、いわゆる有酸素運動のことです。有酸素運動を行なうと、降圧作用を持つホルモンや体内物質が分泌されやすくなります。
ただし、運動習慣のない人が急に運動すると、血圧が急上昇するおそれがあるため、注意しましょう。
2.血圧改善が期待できるおすすめの運動方法
血圧改善が期待できるおすすめの運動方法について、運動強度や運動時間のことも交えながら詳しく解説します。
2-1.運動の種類
先述のとおり、血液改善には「有酸素運動」が高い効果を発揮します。
有酸素運動とは、筋肉のエネルギー源として体内の脂質・糖質および酸素を使う運動です。体にかかる負荷が小さく、息切れや筋肉痛を起こさない程度なので、長期的に継続しやすくなっています。
有酸素運動と一口にいっても種類はさまざまですが、以下のようなものが代表的です。
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・ウォーキング(速歩)
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・ジョギング(軽め)
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・サイクリング
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・球技(テニスなど)
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・ラジオ体操
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・エアロビクス
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・水泳
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・水中ウォーキング
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・アクアビクス
これらの有酸素運動を習慣化すれば、血圧改善はもちろん、体脂肪の燃焼によるダイエット効果や血糖値を下げる効果なども見込めるので、健康の維持・増進につながります。
2-2.運動の強度
血圧改善を目的とする運動は、ややきついと感じる・少し汗ばむ程度の低~中強度で行なうことが基本です。高強度の運動は継続が難しいだけではなく、かえって血圧上昇を招いてしまうので、やりすぎないよう注意する必要があります。
また、低~中強度の運動でも急に始めると体に負担がかかりやすいため、まずは掃除・選択・買い物・子供と遊ぶなど、日常生活のなかで身体活動量を増やしましょう。
2-3.運動時間
血圧を下げるためには、定期的に運動することが大切です。一日30分以上の運動をできれば毎日、少なくとも週3回以上のペースで行なう必要があります。
仕事や家事などの都合で30分以上の運動が難しい場合、10分以上の運動を3回に分けて実行して、合計30分以上とカウントしても問題ありません。
また、運動のスケジュールを考えるときは、3日以上の間隔を空けないようにしましょう。
血圧改善のために適度な運動を心がけましょう
高血圧はさまざまな病気を引き起こすので、しっかり改善する必要があります。適度な運動は血圧を下げるだけではなく、体力・筋力の向上やストレス発散、体脂肪の減少といった効果も見込めるため、日頃から意識して取り組みたいところです。
特に有酸素運動は体への負荷が小さく、運動が得意ではない人でも継続しやすいので、ぜひ実践してみてください。
監修者情報
氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医