1.完全食とは
完全食とは、それ一つで健康を保つために必要とする栄養素をすべて摂取できるとされている食品のことです。完全栄養食品とも呼ばれています。
代表的な完全食は、母乳や卵です。母乳は、赤ちゃんにとっての完全食として知られており、成長に必要な栄養素や、赤ちゃんの体を守る免疫物質を含んでいます。
同様に、卵にもさまざまな栄養素が含まれています。炭水化物や食物繊維はほとんど含まれていませんが、たんぱく質や鉄、カルシウムやビタミンなどがバランス良く含まれているのです。
その他に、市販されている完全食もあります。市販されている完全食は、パンやヌードル、ドリンク、グミなど調理の手間がかからないものが多く、手軽に効率良く栄養を摂取することが可能です。そのため、忙しい毎日を過ごす社会人から注目を集めつつあります。
また、市販されている完全食の多くは、一日に必要な栄養素の3分の1を含んでいることから、1食分の摂取カロリーを簡単に把握できると考えられます。食事の際にカロリーを逐一計算する必要がないため、一日の摂取カロリーを抑えたい方にも適しているでしょう。
2.完全食に含まれるおもな栄養素
先述したとおり、市販されている完全食には、パンやドリンクなどさまざまなタイプがあります。食事を楽しみながら栄養素をとりたい方はパンやヌードル、さっと食事を済ませたい方はドリンク、といった選び方が可能です。
これらの市販の完全食には、どのような栄養素が含まれているのでしょうか。
おもな栄養素として挙げられるのは、以下です。
おもな栄養素 |
たんぱく質、必須脂肪酸、必須アミノ酸、炭水化物、食物繊維、ビタミンB1、ビタミンB2、 ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンE、葉酸、ミネラル |
完全食の種類によっても異なりますが、このように完全食には、一日に必要な栄養素がバランス良く含まれています。
3.完全食の活用方法
完全食は、必要な栄養素をしっかりととりたい方はもちろん、手軽に食事を終えたい方やカロリーをコントロールしたい方など、さまざまな方に広く利用されています。
具体的にどのような場面で活用されているのか、見ていきましょう。
3-1.スポーツ選手やボディービルダーのカロリーコントロール
カロリーをしっかりコントロールしたい方、スポーツ選手やボディービルダーといった方にも完全食は人気です。
自炊や外食だと、カロリー計算は簡単に行なえないでしょう。厳密なカロリーコントロールが必要な場合は、料理に使ったわずかな調味料のカロリーまで計算しなければならないこともあります。
しかし、完全食なら1食あたり何キロカロリーあるかが明確なため、面倒な計算は不要です。カロリーコントロールをしながらも、必要な栄養素はしっかりととることができるため、体作りが重要な方に活用されています。
3-2.食品ロスの削減
完全食は、食品ロスの削減にも有効です。日本では、年間570万トンもの食品がまだ食べられるにもかかわらず捨てられています(2019年度推計値)。これは、1人あたり約45キログラムの食品を捨てている計算です。
食品ロスを防ぐためには、買い物の際に手前から商品を取ったり、賞味期限が近いセール品を買ったりする意識が大切だといわれています。もちろん、食品ロスを出さないように、家庭内でうまく消費していくことも重要です。
しかし、実際にはなかなか難しいこともあるでしょう。そこで完全食が活躍します。
必要な栄養素をとろうとすると、さまざまな食材を準備する必要がありますが、完全食なら1食で多くの栄養素が摂取できます。長期保存ができるように開発されているものもあるため、食品ロスの削減にも貢献できます。
完全食は多くの場面で活用可能
完全食とは、たんぱく質・必須脂肪酸・必須アミノ酸・ビタミン・ミネラルなど、一日に必要な栄養素をバランス良く含んでいる食品のことです。市販されている完全食には、パン・ヌードル・ドリンクなど、さまざまなタイプのものがあります。
完全食は、日々の健康のサポートはもちろん、スポーツ選手やボディービルダーのカロリーコントロール、食品ロスの削減など、多くの場面で活用できる可能性のある食品といえるでしょう。
監修者情報
氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医