栄養機能食品とは?
該当する栄養成分と機能を解説

不足しがちな栄養を補給できるサプリメントは、種類が豊富で購入できる機会も増えています。

さまざまなサプリメントがあるなかで、栄養機能食品と表示されている商品を目にしたことはあるでしょう。

栄養機能食品は、サプリメント以外の加工食品や生鮮食品などにも記載されていることがあります。しかし、実際にどのような食品なのか疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。

そこで今回は、栄養機能食品の意味や機能などについて解説します。

1.栄養機能食品とは?

栄養機能食品は、亜鉛やカルシウムなど定められた栄養成分を摂取するために利用され、栄養成分が持つ機能を表示できる食品です。

消費庁では、それぞれの栄養成分について、一日の摂取目安量として上限値と下限値の基準値を定めています。

栄養機能食品は自己認証制度のため、それぞれで許可申請が不要です。国の定めるこの基準値に当てはまっていれば、国への届出や許可申請なしで、該当成分の機能表示ができます。

栄養機能食品は、サプリメント類だけではなく、一般消費者を対象にした加工食品や生鮮食品も含まれます。例えば、野菜や魚などでも栄養機能食品として販売できるため、特定の栄養成分の機能が記載できるのです。

なお、栄養機能食品として、これらの商品を販売するときは、必要な表示事項を記載した包装容器に入れて販売しなければなりません。

2.機能表示できる栄養成分

ここでは、栄養機能食品で機能表示できる栄養成分について解説しましょう。

2018年2月においては、以下の20種類の栄養成分が機能表示できます。

  • ・脂肪酸(1種類):n-3系脂肪酸

  • ・ミネラル(6種類):亜鉛・カリウム・カルシウム・鉄・銅・マグネシウム

  • ・ビタミン類(13種類):ナイアシン・パントテン酸・ビオチン・ビタミンA・ビタミンB1・ビタミンB2・ビタミンB6・ビタミンB12・ビタミンC・ビタミンD・ビタミンE・ビタミンK・葉酸

続いて、どのような機能表示が可能なのか、以下に3つの例を紹介しましょう。

n-3系脂肪酸の場合は、「n-3系脂肪酸は、皮膚の健康維持を助ける栄養素です。」と表示できます。カルシウムの場合は、「カルシウムは、骨や歯の形成に必要な栄養素です。」と表示が可能です。ビタミンCであれば「ビタミンCは、皮膚や粘膜の健康維持を助けるとともに、抗酸化作用を持つ栄養素です。」と記載できます。

それぞれの栄養成分に機能性が定められており、摂取するうえで必要な注意事項の記載をしなければなりません。正しく栄養機能食品を摂取するために、必ずチェックしましょう。一日あたりの目安摂取量も記載されているため、目安量を守ってください。

栄養機能食品は、不足した栄養素を補給することが目的の食品です。多く摂取しても、病気の治療やより健康になることはありません。そのため、普段の食事のバランスを整えることが大切です。

3.栄養成分の機能と注意事項

ここでは、栄養機能食品で機能表示できる栄養成分20種類の機能と注意事項を紹介します。

栄養成分 機能表示 注意事項
n-3系脂肪酸 n-3系脂肪酸は、皮膚の健康維持を助ける栄養素です。 多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。一日の摂取目安量を守ってください。
亜鉛 亜鉛は、味覚を正常に保つのに必要な栄養素です。
亜鉛は、皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です。
亜鉛は、たんぱく質・核酸の代謝に関与して、健康の維持に役立つ栄養素です。
多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。亜鉛の摂り過ぎは、銅の吸収を阻害するおそれがありますので、過剰摂取にならないよう注意してください。
一日の摂取目安量を守ってください。乳幼児・小児は本品の摂取を避けてください。
カリウム カリウムは、正常な血圧を保つのに必要な栄養素です。 多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。一日の摂取目安量を守ってください。
腎機能が低下している方は本品の摂取を避けてください。
カルシウム カルシウムは、骨や歯の形成に必要な栄養素です。 多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。一日の摂取目安量を守ってください。
鉄は、赤血球を作るのに必要な栄養素です。 多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。一日の摂取目安量を守ってください。
銅は、赤血球の形成を助ける栄養素です。
銅は、多くの体内酵素の正常な働きと骨の形成を助ける栄養素です。
多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。一日の摂取目安量を守ってください。乳幼児・小児は本品の摂取を避けてください。
マグネシウム マグネシウムは、骨や歯の形成に必要な栄養素です。
マグネシウムは、多くの体内酵素の正常な働きとエネルギー産生を助けるとともに、血液循環を正常に保つのに必要な栄養素です。
多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。多量に摂取すると軟便(下痢)になることがあります。一日の摂取目安量を守ってください。乳幼児・小児は本品の摂取を避けてください。
ナイアシン ナイアシンは、皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です。 多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。一日の摂取目安量を守ってください。
パントテン酸 パントテン酸は、皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です。 多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。一日の摂取目安量を守ってください。
ビオチン ビオチンは、皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です。 多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。一日の摂取目安量を守ってください。
ビタミンA ビタミンAは、夜間の視力の維持を助ける栄養素です。
ビタミンAは、皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です。
多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。一日の摂取目安量を守ってください。
妊娠3カ月以内または妊娠を希望する女性は過剰摂取にならないよう注意してください。
ビタミンB1 ビタミンB1は、炭水化物からのエネルギー産生と皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です。 多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。一日の摂取目安量を守ってください。
ビタミンB2 ビタミンB2は、皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です。 多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。一日の摂取目安量を守ってください。
ビタミンB6 ビタミンB6は、たんぱく質からのエネルギーの産生と皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です。 多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。一日の摂取目安量を守ってください。
ビタミンB12 ビタミンB12は、赤血球の形成を助ける栄養素です。 多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。一日の摂取目安量を守ってください。
ビタミンC ビタミンCは、皮膚や粘膜の健康維持を助けるとともに、抗酸化作用を持つ栄養素です。 多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。一日の摂取目安量を守ってください。
ビタミンD ビタミンDは、腸管でのカルシウムの吸収を促進し、骨の形成を助ける栄養素です。 多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。一日の摂取目安量を守ってください。
ビタミンE ビタミンEは、抗酸化作用により、体内の脂質を酸化から守り、細胞の健康維持を助ける栄養素です。 多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。一日の摂取目安量を守ってください。
ビタミンK ビタミンKは、正常な血液凝固能を維持する栄養素です。 多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。一日の摂取目安量を守ってください。
血液凝固阻止薬を服用している方は本品の摂取を避けてください。
葉酸 葉酸は、赤血球の形成を助ける栄養素です。
葉酸は、胎児の正常な発育に寄与する栄養素です。
多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。一日の摂取目安量を守ってください。
葉酸は、胎児の正常な発育に寄与する栄養素ですが、多量摂取により胎児の発育がよくなるものではありません。

引用:消費者庁「栄養機能食品に関するリーフレット

このように、それぞれの栄養成分で表示できる機能や摂取するときの注意事項が定められています。

栄養機能食品をうまく活用しましょう

栄養機能食品は、不足している特定の栄養を補給することが目的です。そのため、バランスの取れた食事を意識しながら、栄養機能食品で足りない栄養素を補給しましょう。

栄養機能食品には、サプリメント以外にも加工食品や生鮮食品などがあるため、栄養不足が気になる方は、ぜひチェックしてみてください。

栄養機能食品をうまく活用して、健康的な毎日を送れるようにしましょう。

監修者情報

氏名:高橋健太郎(たかはし・けんたろう)
循環器内科医として臨床に関わりながら、心血管疾患のメカニズムを解明するために基礎研究に従事。現在はアメリカで生活習慣病が心血管疾患の発症に及ぼす影響や心血管疾患の新しい治療法の開発に取り組んでいる。国内・海外での学会発表や論文報告は多数。
日本内科学会認定内科医、日本循環器学会所属。