1.主食・主菜・副菜の考え方について
栄養のバランスが取れた食事とは、主食・主菜・副菜がそろった食事を指します。主食とは、活動するためのエネルギー源となるものです。食事のなかでは、炭水化物が主食にあたります。
主菜とは、筋肉や血液、髪の毛、爪、皮膚など体をつくるために必要な栄養素を補うものです。タンパク質や脂肪が豊富な肉・魚・卵・大豆製品を使った料理が主菜にあたります。これらの食材から作られたハムやソーセージ、かまぼこなどの加工食品がメインとなる料理も主菜です。
副菜ではビタミンやミネラル、食物繊維などを供給し、体の調子を整えます。緑黄色野菜や淡色野菜、芋、豆、きのこ、海藻などが副菜にあたります。
栄養バランスの悪い食事は、体の調子を崩す原因の一つです。
例えば、主食や主菜が2つ以上あると、摂取エネルギーが過剰になり肥満などにつながるおそれがあります。
逆に主菜がないとタンパク質が足りなくなり、やせに伴う免疫や筋力の低下、貧血を引き起こしかねません。
また、副菜がないとビタミンなどの抗酸化物質や食物繊維が不足し、体調に影響をおよぼす可能性があります。
2.主食になる食べ物とは
主食の主成分は炭水化物であり、次のような種類があります。
健康を保つために、何をどれだけ食べるべきかを一目でわかるようにしたものが、厚生労働省と農林水産省が作成した「食事バランスガイド」です。
食事バランスガイドでは、食事を主食・副菜・主菜・乳製品・果物という5つの料理グループに分類していますが、主食を一日で最も多く食べるべき料理区分に定めています。体を動かすエネルギー源となる主食は、不足するとパワーが出なくなる一方で、摂り過ぎると肥満につながりかねません。主食は適切な量をしっかり食べるのが大切です。
炭水化物約40gが「主食1つ(SV)」という基準です。主食1つ(SV)を換算すると、ごはん(精白米)100g、コンビニおにぎり1個、食パン1枚、ロールパン2個、クロワッサン2個に相当します。
一日に摂るべき主食の目安量は摂取カロリーによって変わります。一日の摂取カロリーが1800kcalくらいでは4~5つ、2200kcalくらいでは5~7つ、2600kcalくらいでは7~8つを目安に摂りましょう。
3.一汁三菜が理想の食事
主食・主菜・副菜をそろえると、栄養素をバランス良く摂ることができます。平成25年に「日本人の伝統的な食文化」としてユネスコ無形文化遺産に登録された和食は、一汁三菜(主食、汁物、主菜、副菜2品)を基本としており、栄養バランスの良い食事として注目されています。
例えば、ごはん(主食)、焼き魚(主菜)、煮物(副菜)、お浸し(副菜)に野菜や海藻が入ったみそ汁(汁物)の組み合わせは、五大栄養素を1食で摂れる理想的なバランスの食事といえるでしょう。五大栄養素とは、炭水化物・タンパク質・ビタミン・ミネラル(無機質)・脂質です。
ただし、和食はカルシウムが不足しがち、そして塩分を摂り過ぎてしまうという問題点もあります。和食のメリットを押さえつつ、不足する栄養素を補い、塩分を上手に抑えるなど工夫しましょう。
主食・主菜・副菜のバランスが取れた健康的な食生活に
エネルギー源となる主食、体をつくる主菜、体の調子を整える副菜をバランス良く摂ることは健康維持に役立つ食生活です。特に、和食の基本スタイルである一汁三菜は、健康に欠かせない栄養素をおいしく効率良く摂ることができます。主食や主菜が2つ以上、主菜がない、副菜がないといった食事は、栄養バランスが悪く体調を乱す原因です。
健康のためにも、主食・主菜・副菜のバランスの良い食生活を送るようにしましょう。
監修者情報
氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。