1.常食とは
常食とは、特別な制限がない健康な方が食べている食事のことで、炭水化物や脂質、タンパク質をバランス良く含んでいます。炭水化物は主食であるごはんやパン、麺類から摂ることが多いでしょう。
多くの常食は、栄養バランスを良くするために主食にプラスして主菜や副菜などがついています。主菜とは魚や肉、卵など、副菜は野菜などを使った料理のことです。一般に、嚥下機能や胃腸の働きに問題がない方向けに提供されます。
2.常食(一般食)以外の食事形態について
食事形態には、常食以外にもさまざまな種類があります。誤嚥しやすい方、固いものが噛めない方などは、食べやすいように工夫をした食事に調整しなければなりません。
ここでは、常食以外のおもな食事形態を5つ見ていきましょう。
2-1.軟飯(菜)食
軟飯食とは、全体的にやわらかめに作った食事のことです。軟菜食とも呼ばれます。舌や歯ぐきでつぶせるくらいの固さに調整しており、食事のメニュー自体は常食とほとんど変わりません。
義歯を使っている方、胃腸が悪い方、手がうまく動かせずお箸が使いづらい方などに向いている食事です。ごはんは七分粥や五分粥などにしてやわらかくし、野菜は繊維が細かくなるように下処理します。
2-2.きざみ食
きざみ食とは、食べ物を小さく刻んで食べやすくした食事のことです。5mm~1cmほどの大きさに刻むことが一般的でしょう。咀嚼機能が低下している方でも食べやすい食事です。
2-3.ミキサー食
ミキサー食は、名前のとおり食事をミキサーにかけることでペースト状や液体状にしています。噛んだり飲み込んだりする機能が落ちている方向けの食事です。
食事をミキサーにかけるだけだと水分量が多く誤嚥しやすいため、とろみをつけて安全に食べやすいようにします。
すべての食事をミキサーにかけるため、人によっては見た目が悪いと感じて食欲が出なくなることもあるので注意しましょう。そのため、彩りよく盛り付けたり、味にメリハリをつけて食べやすくしたりなどの工夫が必要です。
2-4.流動食
流動食とは、スープや果汁、乳製品などを使った食事のことを指します。お粥の上澄みや具なしの汁物などを使っており、噛まずにそのまま食べられることが特徴です。高熱や手術後などで胃腸が弱っている方向けに出されます。
2-5.ソフト食
ソフト食とは、舌で押しつぶせるくらいの固さに作ったやわらかめの食事のことです。見た目は常食と大きくは変わりません。お肉は繊維を切り、叩いてやわらかくします。
魚介類は脂がのっているものを選び、皮や骨は取り除きましょう。野菜は繊維を断つように切ると食べやすくなります。すべりが良く、飲み込みやすいため、幅広い方の食事に利用できることが特徴です。
一人ひとりの健康状態に合わせた食事を摂りましょう
食事は、私たちが生きていくうえで欠かせないものです。ただ単に栄養素を補うだけでなく、視覚や味覚を刺激し、楽しく食事を摂りましょう。
口から食べ物を摂取することで、全身の機能を維持することにつながりますが、病気を患ったり、高齢になったりすると咀嚼機能や消化機能の低下により普通の食事が摂れないこともあります。安心しておいしい食事を摂るためにも、一人ひとりの健康状態に合わせてミキサー食や流動食などにして食べやすい食事の形態にすることが大切です。
監修者情報
氏名:高橋健太郎(たかはし・けんたろう)
循環器内科医として臨床に関わりながら、心血管疾患のメカニズムを解明するために基礎研究に従事。現在はアメリカで生活習慣病が心血管疾患の発症に及ぼす影響や心血管疾患の新しい治療法の開発に取り組んでいる。国内・海外での学会発表や論文報告は多数。
日本内科学会認定内科医、日本循環器学会所属。