長引く体調不良の原因とは?今日からできる不調への対処法について解説

「体調不良」とは、体の調子が良くないときに広く使われる言葉ですが、その症状や原因は人によってさまざまです。なかには、原因が見つけられず、長く体調不良と付き合っている方もいるのではないでしょうか。

今回は、体調不良の原因や、日常生活でできる対処法について細かく解説していきます。

1.多くの方が体調不良に悩んでいる

体調不良は、さまざまな要因で起こります。何らかの病気によるものも多く、原因がわかればその治療を行なうことで体調不良は改善に向かうでしょう。

しかし、疲れや食欲がない、だるいといった体調不良を感じて病院で診察や検査を受けても異常がなく原因が特定できない方もいます。こういったケースは「不定愁訴(ふていしゅうそ)」と呼ばれています。

1-1.体調不良の症状

体調不良の症状はさまざまです。一つの症状が長く続くこともあれば、複数の症状が同時に現れることもあります。

よくある身体的症状としては、以下のようなものが挙げられます。

  • ・眠りが浅い、寝付けない

  • ・身体がだるい

  • ・消化不良を起こしている

  • ・食欲がなくなっている

  • ・手足や腹、腰の周りなどの冷えがある

2.体調不良のおもな原因

体調不良は、病気以外にもさまざまな原因で起こることがあります。おもな原因としては、以下のようなものが考えられています。

2-1.冷え

体が冷えて体温低下や血行不良が起こり、不調を感じる方がいます。冷えは、冬場に起こりやすい症状ではありますが、夏場でも冷房が効いた部屋や冷たい飲み物、食べ物などによって症状が出ることがあります。

エアコンのかかった部屋に長時間いると、自律神経系のバランスが乱れて交感神経が作用し、血管が収縮します。血管の収縮による血流の悪化や、自律神経の乱れによる基礎代謝の低下などによって、体調不良を感じるようになるのです。

2-2.気温の変化

季節の変わり目になり、気温が変化すると、自律神経が反応して、体温を一定に保つようにコントロールします。

しかし、寒暖差が大きくなると、体温を維持しようと自律神経が必要以上に活発化してしまいます。それにより、エネルギーの消費が大きくなり、疲労を感じるやすくなってしまうこともあります。

2-3.気圧の変化

天気が悪くなり、低気圧が近づくとめまいやだるさ、頭痛を感じる方もいるようです。

これは、低気圧によって自律神経のバランスが崩れたり、低気圧により脳内の血管が拡張して周りの神経を圧迫したりするためだといわれています。

3.原因不明の体調不良への対処法

原因となる病気が見つけられなかった場合でも、普段の生活を見直すことで体調不良を改善することもできます。

3-1.しっかり食べる

食生活を見直すことで、胃腸の調子を整えることができます。

胃腸には、栄養素を取り込む消化吸収と老廃物を排出する排泄の働きがあり、これらがうまくいかないと便秘や下痢になるだけでなく、腸内環境の悪化から免疫力が低下して健康にも大きな影響が出てしまいます。

そのため、食事をとる際は、以下のポイントを押さえておきましょう。

  • よく噛んで食べる

    食事の際はよく噛んで食べることで、食べ物が唾液と混ざり合い、消化されやすくなるというメリットがあります。また、よく噛むと満腹感を得られるため食べ過ぎを抑えることができる、脂肪分解を促す脳内神経系を活性化させる、といった効果も期待できます。

  • 決まった時間に食べる

    食事を決まった時間にとると体内のリズムが整い、胃腸の調子が正常化しやすくなります。いつも食事の時間がバラバラで、長い時間空腹状態でいることになると、胃液の酸度が高い状態が続き胃腸障害につながりかねないのです。

    一方、食べ過ぎや間食が多くなると、胃の消化吸収力が低下して胃もたれなどの症状が出てしまいます。そのため、3食規則正しくとることを目標にしましょう。

  • 胃腸にやさしい食材を選ぶ

    体調不良の際には、体の症状に応じて効果的な食事をとるようにしましょう。以下に、症状別におすすめとされる食材の一例をまとめました。

症状 おすすめの食材 効果
胃痛 キャベツ、セロリ、レタス 胃酸分泌の抑制、胃粘膜の再生を促す
便秘 さつまいも、キノコ類 食物繊維により、便通がスムーズになる
冷え 根菜類、いも類、薬味野菜 体を温める

なお。脂肪分は消化に時間がかかり胃の負担も大きくなるため、体調不良の際には揚げ物は控えたほうがよいでしょう。香辛料なども胃を荒らす原因になります。適度な量を意識するようにしましょう。

3-2.自律神経を整える

自律神経は、体を動かすときに交感神経が働き、体を休めるときには副交感神経が働きます。真逆の働きを持つ、この2つの神経のバランスによって体の状態が保たれており、このバランスが崩れるとさまざまな不調が現れます。

  • 腹式呼吸で自律神経を整える

    意識的に腹式呼吸を行なうと自律神経が整えられ、ストレスの軽減につながることが報告されています。腹式呼吸では、鼻で吸って口からゆっくり吐いてください。最初は1日5回程度から始めて、腹式呼吸に慣れてきたら、10~20回程度行なうとよいでしょう。

3-3.睡眠の質を高める

質の良い睡眠は心身の疲労を回復する効果がありますが、睡眠時間が足りていなかったり、睡眠の質が悪かったりする方は少なくありません。

睡眠の質を高めるためには、以下のポイントに注意しましょう。

  • 就寝前の飲酒、喫煙、カフェインは避ける

    リラックスした状態でいることは、睡眠をとるうえで非常に重要です。寝られないときについ寝酒を飲む方もいますが、中途覚醒により睡眠が浅くなってしまいます。
    また、タバコに含まれるニコチンには覚醒作用があるため、睡眠の妨げになります。同じく、カフェインにも覚醒作用があるので、就寝前は避けたほうがよいでしょう。

  • 睡眠の環境を整える

    寝室の温度や湿度は睡眠の質に大きく関わります。温度が低すぎても高すぎても、体温調節がうまくいかなくなるために寝つきが悪くなります。季節に応じて、適度な温度、湿度を保つように気を付けましょう。

    また、明るい光は目を覚ます作用があります。寝室内を適度な暗さに調節することで、睡眠の質を高めることができます。

  • 体内時計のリズムを崩さない

    就寝、起床時刻を決めて規則正しく生活することも大切です。体内時計を崩さないためには、特に起床時刻をそろえることが重要だといえるでしょう。

    若年世代は、夜更かしをすることで体内時計がずれ、夜型になることが多くあります。遅くまでスマートフォンやパソコン、ゲームなどをしていると、光の刺激によって覚醒が助長されてしまい、なかなか寝付くことができず体内時計の乱れにつながります。

    体内時計は朝の太陽の光でリセットされるため、朝起きるのが遅くなるとその分時間がずれていき、結果的にその日の就寝時刻も遅れてしまいます。

  • 寝具は眠りやすいものを選ぶ

    寝具選びも、睡眠の質を上げるために重要です。枕やシーツは自分に合った心地良いものを選び、清潔な状態を保つようにしましょう。また、パジャマはゆったりしたものを選ぶと、リラックスできます。

生活習慣を見直そう

体調不良は、それ自体が大きな病気につながるものではなくても、長く続くことで日々の生活の満足度を低下させることになります。

原因がわからない症状に対しても、日々の生活を見直すことで改善する可能性もあります。自身の生活で何か改善できる点はないか考えてみましょう。

監修者情報

氏名:谷山由華(たにやま・ゆか)
防衛医科大学校医学部医学科卒。現在は内科クリニックで訪問診療を担当。内科全般・老年医療・在宅医療に携わっている。