1.摂取カロリーの目安は個人によって異なる
自分に合ったダイエットをするために、まずは自分の摂取カロリーの目安量を把握しましょう。
1-1.摂取カロリー(エネルギー)の目安の違いについて
一日に必要なエネルギー量は、それぞれの性別・年齢・身体活動レベルによって異なります。
1-2.身体活動レベルについて
身体活動レベルは、個人の活動レベルを「Ⅰ.低い」「Ⅱ.ふつう」「Ⅲ.高い」の3つの段階で示しています。自分の該当する身体活動レベルを把握しましょう。
身体活動レベル |
一日の過ごし方 |
Ⅰ.低い |
・生活の大部分を座って過ごしている ・自宅にいてほとんど外出しない ・高齢者施設で自立に近い状態で過ごしている |
Ⅱ.ふつう |
・座位中心の仕事だが、職場内の移動や立位の作業がある ・接客業をしている ・家事・通勤・買い物・軽いスポーツなどをしている ・75歳以上で自立している |
Ⅲ.高い |
・移動や立位での作業が多い ・活発にスポーツなどをしている |
参照:公益財団法人長寿科学振興財団「健康長寿ネット」
2.摂取カロリーの目安
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、推定エネルギー必要量が示されています。以下の表を参考にして、自分が一日に摂取すべきカロリーの目安量を把握しましょう。
【摂取カロリーの目安量(推定エネルギー必要量)】(kcal/日)
性別 |
男性 |
女性 |
身体活動レベル |
Ⅰ.低い |
Ⅱ.ふつう |
Ⅲ.高い |
Ⅰ.低い |
Ⅱ.ふつう |
Ⅲ.高い |
15~17歳 |
2,500 |
2,800 |
3,150 |
2,050 |
2,300 |
2,550 |
18~29歳 |
2,300 |
2,650 |
3,050 |
1,700 |
2,000 |
2,300 |
30~49歳 |
2,300 |
2,700 |
3,050 |
1,750 |
2,050 |
2,350 |
50~64歳 |
2,200 |
2,600 |
2,950 |
1,650 |
1,950 |
2,250 |
65~74歳 |
2,050 |
2,400 |
2,750 |
1,550 |
1,850 |
2,100 |
75歳以上 |
1,800 |
2,100 |
- |
1,400 |
1,650 |
- |
妊婦(付加量)初期 中期 後期 |
- - - |
- - - |
- - - |
+50 +250 +450 |
+50 +250 +450 |
+50 +250 +450 |
授乳婦 (付加量) |
- |
- |
- |
+350 |
+350 |
+350 |
※1歳未満は目安量
※目安量:推定平均必要量・推奨量を算定するのに十分な科学的根拠が得られない場合に、ある性・年齢階級に属する人々が、良好な栄養状態を維持するのに十分な量
引用:厚生労働省「日本人の食事摂取基準」策定検討会「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
3.摂取カロリーを抑えるためのポイント
一日の摂取カロリーが消費カロリーを超えてしまうと、肥満につながるおそれがあります。ダイエットをしている場合は、摂取カロリーが消費カロリーを超えないように、食事をコントロールすることが大切です。
ここでは、摂取カロリーを抑えるためのポイントを紹介します。
3-1.調理法を工夫する
同じ食材であっても、調理法によってカロリーを抑えることができます。油や調味料(砂糖など)を多く使うと、カロリーが高くなるため、なるべく油や調味料を控えるのがポイントです。
揚げるよりも焼く、焼くよりも煮る・蒸す・ゆでるといった調理法がよいでしょう。揚げ物の場合は、「キッチンペーパーで油を取る・油揚げなどは油抜きをする」といった工夫をすれば、カロリーダウンすることができます。
3-2.間食を控える
一般的な間食の目安カロリーは、一日およそ200kcalとされています。一日の摂取カロリーを抑えたい場合は、目安カロリーを超えないよう、食事や間食の摂取量を調整しましょう。しかし、間食は気分転換や生活に潤いを与える楽しみにつながります。どうしても摂りたい場合は、不足しがちな栄養素を補う摂り方をするとよいでしょう。
3-3.タンパク質・ビタミン・ミネラルは十分に摂る
カロリーを控えるために単純に食事量を減らしてしまうと、必要な栄養素が不足してしまいがちです。体は栄養不足になると、かえって太りやすくなったり、健康に悪影響をおよぼしたりします。
-
タンパク質が不足すると
タンパク質が不足すると、肌荒れや髪の傷み、血管の弾力の欠如、ホルモンバランスの乱れ、筋肉量減少といった不調が現れます。また、筋肉量が減少すると、基礎代謝が低下するため、脂肪が燃えにくく太りやすくなるのです。
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ビタミンが不足すると
多くのビタミンは、体の中で作ることができないため、食べ物から摂る必要があります。また、食事で摂った糖質や脂質をエネルギーに変換するには、ビタミンB群が必要です。ビタミンB群が不足すると、摂取した栄養をエネルギーとして消費できないため、体脂肪が増えやすくなります。
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ミネラルが不足すると
ミネラルは、体の中で作り出せないため、食べ物から補給する必要があります。ミネラルのなかでもカルシウムは、歯や骨を作る主要な成分です。不足するともろくなってしまうため、注意が必要です。
摂取カロリーを意識しつつ栄養素もしっかり摂取しましょう
ダイエットや健康維持では、自分に合った摂取カロリーを知り、食事をコントロールすることが大切です。
ただ単に、食事量を減らすと体が必要とする栄養素が不足し、肌や髪の毛がボロボロになったり、筋肉量が減って太りやすい体質になったりするなど、健康にも害をおよぼします。
自分の一日に必要な摂取カロリーを把握し、タンパク質・ビタミン・ミネラルといった栄養素が不足しないように注意しましょう。
食事の管理が難しい場合は、サプリメントでこれらの栄養素を補給するのも良い方法です。ぜひ、自分のライフスタイルに合った方法で、ダイエットや健康維持に努めましょう。
監修者情報
氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医