1.大根おろし(大根)の栄養について
大根は、栄養価が高い野菜です。ビタミンCが豊富で、皮には中心部のおよそ2倍も含まれています。ビタミンCは、イライラや疲れ対策にもなりますし、風邪予防に効果的ともいわれています。
また、大根には消化酵素も豊富に含まれています。酵素は、体内で消化・吸収など代謝に関わっていますが、加熱されると機能を失ってしまいやすいです。そのため、胃腸の調子が悪いときには、大根おろしなど合わせて食べることで消化を助けてくれます。
大根の葉には、ビタミンCをはじめ、ビタミンEやβカロテン、カリウム、カルシウムなども豊富です。
2.大根おろし(大根)には血圧を下げる働きがある
大根おろし(大根)は、高血圧の方におすすめです。その秘密は、大根に含まれる「カリウム」という成分にあります。さっそくカリウムの働きと大根のカリウム含有量について見てみましょう。
2-1.カリウムの働き
カリウムは、人間の生命維持に欠かすことができないミネラルの一種です。塩分に多く含まれるナトリウムを体外に排出する働きがあります。塩分の摂り過ぎによって起こる「高血圧」を防ぐために重要です。
【大根(可食部100gあたり)に含まれるカリウム量】
大根の部位・状態 |
カリウム量(mg) |
切り干し大根(乾) |
3,500 |
大根葉(生) |
400 |
大根(根・皮つき・生) |
230 |
大根(根・皮なし・生) |
230 |
大根(根・皮つき・ゆで) |
210 |
大根(根・皮なし・ゆで) |
210 |
大根おろし(根・皮なし・生) |
190 |
大根葉(ゆで) |
180 |
大根おろし(根・皮なし・生・水洗い) |
170 |
大根おろしの汁(根・皮なし・生) |
140 |
参照:文部科学省「食品成分データベース」
切り干し大根にはカリウムが凝縮されていますが、カリウムは水に溶け出す性質があるため、ゆでたり水にさらしたりすると減ってしまうのです。
そのため、大根の調理工程でカリウムの消失を抑えて効率良く摂取したい場合は、水でさらしたりゆでたりせず、生野菜や大根おろしにして食べるとよいでしょう。
3.大根おろしを使った料理レシピ
ここからは、大根おろしを使ったレシピを3つ紹介します。
3-1.鶏肉の甘辛揚げ おろし載せ
まず紹介するレシピは、甘辛いタレがよく絡まった「鶏肉の甘辛揚げ おろし載せ」です。
【材料】2人分
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・鶏胸肉 1枚
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・大根 5cm
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・片栗粉 適量
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・サラダ油 適量
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・刻みねぎ 適量
【A】
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・おろしにんにく 1/2片
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・酒 大さじ1
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・しょうゆ 大さじ1
【B】
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・砂糖 大さじ1
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・みりん 大さじ2
-
・しょうゆ 大さじ2
-
・酒 大さじ2
【作り方】
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1. 鶏胸肉は皮を取り除き、縦半分に切ったら、それぞれを1cm幅のそぎ切りにします。大根はおろして軽く水気をカットしておきましょう。
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2. 1の鶏肉を【A】に20分ほど漬け込み、サッと汁気をカットして片栗粉をまぶします。
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3. 1cmほどのサラダ油を熱したフライパンで、2を揚げ焼きにしましょう。
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4. 鶏肉を揚げている間、別の鍋に【B】を入れて火にかけ、煮立ったら火を止めます。
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5. 揚げたての3を4に加えて、全体にタレを絡めましょう。
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6. 皿に5を盛り付け、大根おろしと刻みねぎを載せたら完成です。
3-2.揚げ餅のみぞれあえ~三つ葉を添えて~
次に紹介するのは、お酒のおつまみにピッタリな「揚げ餅のみぞれあえ~三つ葉を添えて~」です。
【材料】2人分
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・餅 3個
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・小麦粉 大さじ1/2
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・揚げ油 適量
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・大根 3cm
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・三つ葉 適量
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・めんつゆ 大さじ1
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・水 大さじ2
【作り方】
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1. 1cm角にカットした餅を、小麦粉をまぶしておきます。
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2. 揚げ油を170度に熱し、1の餅を揚げましょう。
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3. 皮をむいた大根をすりおろして水気をカットし、三つ葉は1cm幅に切りましょう。
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4. 3、めんつゆ、水を入れたボウルに、さらに2の揚げた餅を加え、さっくりと和えたらできあがりです。
3-3.さばのおろし煮
最後に紹介するのは、大根おろしの甘みと辛みが楽しめる「さばのおろし煮」です。
【材料】2人分
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・さば 2切れ
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・塩 適量
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・小麦粉 適量
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・サラダ油 小さじ2
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・大根おろし 150g
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・大葉 5枚
【A】
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・水 3/4カップ
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・酒 1/4カップ
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・しょうゆ 大さじ1.5
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・みりん 大さじ1.5
【作り方】
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1. さばは塩を振って常温で15~20分ほど置きます。さっと水洗いをしたら、水分を十分に拭き取っておきましょう。
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2. 大葉は千切りにします。
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3. 1のさばに、小麦粉をまぶしましょう。
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4. サラダ油を熱した鍋で、3を焼きます。両面に焼き色が付いたら、キッチンペーパーなどで余分な油を取り除きます。【A】と半量の大根を加え、中火で煮ましょう。
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5. さばに火が通ったら、器に盛り付けます。残り半量の大根おろしと大葉を飾ったら完成です。
大根の健康パワーで体を労わりましょう
大根は、昔から栄養豊富な野菜として人々の健康を支えてきた食材といわれています。
ビタミンCが豊富で、風邪の予防効果が期待できます。根の部分だけでなく、皮や葉にも栄養が詰まっているため、捨てずに丸ごと食べるのがおすすめです。
大根にはカリウムも多く含まれており、摂り過ぎた塩分を排出して、血圧を下げる効果が期待できます。また、消化を助ける酵素も豊富です。しかし、加熱をすると働きが失われるため、胃腸の調子が悪いときには、大根おろしなど生で食べるのがよいでしょう。
ぜひ、今回紹介したレシピを参考に、大根おろし料理を楽しんでみてください。
監修者情報
氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。