1.摂取すべきカロリーには個人差がある
健康な生活を送るために必要なカロリーは、すべての方が一律というわけではありません。まずは、どのような要素で摂取カロリー量が決まってくるのかを解説します。
1-1.摂取カロリーは性別や年齢・身体活動量で異なる
一日に必要な摂取カロリーは、対象となる方の性別や年齢・身体活動量によって判断します。
身体活動量とは、日常的な生活スタイルや運動習慣などにより、どの程度の活動量があるかを分類したものです。つまり、摂取カロリーは性別や年齢で一律に決まるわけではなく、その方の身体活動量により個人差があります。
1-2.身体活動量の目安とは?
身体活動量は、以下のような3段階に分類され、多くの場合は、身体活動量Ⅱ(普通)かⅠ(低い)に該当します。
身体活動量 |
日常的な過ごし方 |
Ⅰ(低い) |
一日を座って過ごすことが大半の場合や、静的な活動が大半の場合が該当する。75歳以上の高齢者で、自宅にいてほとんど外出しないケースや、高齢者介護施設などに入居していて自立しているケースなども、この分類に含まれる。 |
Ⅱ(普通) |
座り仕事が中心で、通勤や買い物・家事・軽い運動(散歩など)をしている場合が該当する。75歳以上の高齢者では、自立しているケースがこの分類に含まれる。 |
Ⅲ(高い) |
立ち仕事や移動が多い仕事に従事している場合や、活発なスポーツ習慣など、余暇での活動量が多い場合に該当する。 |
2.男性の一日あたりの摂取カロリーについて
では、年齢と身体活動量に応じた摂取カロリーを、表で見ていきましょう。
区分 |
身体活動量Ⅰ (低い)※ |
身体活動量Ⅱ (普通)※ |
身体活動量Ⅲ (高い)※ |
成人男性 |
2,200±200 |
2,400~3,000 |
65歳~74歳 |
2,050 |
2,400 |
2,750 |
75歳以上 |
1,800 |
2,100 |
― |
※エネルギーの単位はキロカロリー
このように、同じ年代でも身体活動量によって必要な摂取カロリーが異なります。また、身体活動量が同じでも、加齢とともに必要な摂取カロリーは減少していきます。
3.消費カロリーを増やすには基礎代謝の向上が有効
年齢を重ねたり、身体活動量が減ったりした場合に、それまでと同じように食事していては、自然に体重は増加してしまいます。体重増加を防止し、健康を保つためには、身体活動量を上げて、消費カロリーを増やすことを考えてみましょう。
身体活動量の増加は、消費カロリーを増やすことに直接的な効果があります。また、安静時にエネルギーを消費する「基礎代謝量」を高めることも、消費カロリーを増やすことに対して有効です。
3-1.基礎代謝とは
基礎代謝とは、快適な室内などで安静にしている場合でも消費していくカロリーのことです。加齢によって筋肉量などが減少することで、一日に消費できるエネルギー量は次第に減少します。
エネルギー消費量の内訳としては、基礎代謝量(約60%)・身体活動量(約30%)・食事誘発性熱産生(約10%)となっており、実は基礎代謝量が消費カロリーの半分以上を占めています。
したがって、基礎代謝をアップさせることが、一日の消費カロリーを増加させ、体重の維持などに役立ちます。
3-2.基礎代謝向上のポイント
年齢とともに基礎代謝が落ちていくことは、おもに骨格筋の減少が原因です。したがって、筋力を維持・回復することが、基礎代謝を向上させるポイントになります。
筋繊維は加齢によって細くなることはありますが、筋繊維そのものがなくなってしまうことはありません。年齢を重ねていても、地道に鍛えることで、筋力アップは可能です。
特に、大きな筋肉が集中している下半身を鍛えると、効率的に基礎代謝を向上させることができます。
3-3.基礎代謝向上におすすめのトレーニング
どのような年齢の方でも取り組みやすいウォーキングは、基礎代謝向上に最適なトレーニングです。下半身の筋力アップに効果的で、血流や心肺機能の改善にも役立ちます。
また、運動する時間をなかなか確保できない場合は、日常生活のなかで筋力トレーニングを意識するとよいでしょう。エレベーターを使わず階段を利用したり、歩幅を大きくして歩いたりするなど、普段よりも強い刺激が筋肉に伝わるよう工夫してください。
筋力アップして基礎代謝を向上させエネルギー消費量を維持しましょう
一日に必要な摂取カロリーは性別や年齢・身体活動量によって変わりますが、基礎代謝を向上させることでカロリーの消費量が増加します。
基礎代謝をアップさせるには、筋力を回復することが重要です。ウォーキングなどの取り組みやすい運動や、日常生活のなかに筋力トレーニングを取り入れて、体重や健康の維持にお役立てください。
監修者情報
氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医