男性の腹囲の基準とは?正しい腹囲の測り方を解説

健康診断で「メタボリックシンドローム」を指摘され、腹囲が気になり始めた方もいるのではないでしょうか。メタボリックシンドローム判定の第一ステップとして、腹囲の測定が行なわれていることは、多くの方がご存じのとおりです。

では、男性の腹囲はどの程度であれば、肥満やメタボリックシンドロームの基準から外れるのでしょうか。

この記事では、男性の腹囲の基準値や、正しい腹囲の測り方に加え、腹囲の数値が関わってくるメタボリックシンドロームについて解説します。

1.男性の腹囲の基準について

最初に、メタボリックシンドロームなどに関わる、男性の腹囲の基準について解説します。

1-1.男性の腹囲の基準

男性の腹囲において、内臓脂肪の蓄積度を測る際の基準になる数値は、85cm以上と定められています。

この数値は、メタボリックシンドロームやその他の生活習慣病など、健康上の異常の有無を判定する際に参考にされます。

1-2.腹囲の基準が85cmの理由

腹囲の測定は、内臓脂肪がどの程度蓄積しているかを判定するために実施されます。

もともと皮下脂肪型の肥満よりも、内臓脂肪型の肥満のほうが、生活習慣病につながりやすいことが知られていました。さらに近年の研究で、内臓脂肪から分泌される生理活性物質(アディポサイトカイン)が、さまざまな生活習慣病の発症に関わっていることが判明しています。

また、内臓脂肪面積が100cm2以上になると、合併する疾患が50%増加することがわかりました。そのため、100cm2以上という数値が、過剰に内臓脂肪が蓄積されているかどうかの基準になったのです。

そして、この内臓脂肪の面積を判定する際に参考にされるのが、腹囲の数値です。腹囲と内臓脂肪面積には相関があるとされ、男性の場合はへその高さの腹囲が85cm以上あれば、内臓脂肪面積が100cm2以上あると判定されます。

これが、男性の腹囲の基準は85cmと定められている理由です。なお、他の国ではこのような内臓脂肪の判定方法を採用していないため、日本独自の判定方法といえるでしょう。

2.腹囲の正しい測り方

内臓脂肪の蓄積を判定するためには、腹囲を正確に測ることが大切です。正しい測り方は、以下の手順で行なってください。

  • 1. 腕を体の横に自然に下げ、両足はそろえたまま、お腹に力を入れないようにして立ちます。

  • 2. 巻き尺をへその高さで、背中や腰の部分にたるみ・ゆがみがないよう注意しながら、水平に巻きます。

  • 3. 自然な呼吸を行ない、息を吐きだしたときの目盛りを読み取ります。

  • 4. お腹に脂肪が付いてへその位置が下がっている場合は、肋骨と骨盤の出っ張りの中間点の高さで測定してください。

なお、より正確に判定するために、下着を着けない状態で測定しましょう。

3.腹囲とメタボリックシンドロームの関係について

メタボリックシンドロームとは、腹囲が基準値以上で内臓脂肪の蓄積があることに加え、血圧・血糖・脂質のうち2項目が基準値から外れた状態を指します。

前述したように、内臓脂肪の蓄積が生活習慣病の原因になることから、メタボリックシンドロームの診断では、腹囲の数値が必須項目となっています。

メタボリックシンドロームの診断に必要な項目と、具体的な診断基準は以下のとおりです。

必須項目 腹囲(内臓脂肪面積が100cm2以上) 男性85cm以上
女性90cm以上
選択項目
※3項目のうち2項目以上
1. 高トリグリセライド血症
かつ/または
低HDLコレステロール血症
中性脂肪が150mg/dL以上
HDLコレステロールが40mg/dL未満
2. 収縮期(最大)血圧
かつ/または
拡張期(最小)血圧
最大血圧が130mmHg以上
最小血圧が85mmHg以上
3. 空腹時高血糖 血糖値110mg/dL以上

腹囲の正しい測り方と基準値を知って生活習慣病の予防に役立てましょう

腹囲の数値は、内臓脂肪の蓄積度を判断するための重要な情報です。内臓脂肪型肥満の予防が生活習慣病の予防につながるため、メタボリックシンドロームの判定では、内臓脂肪の蓄積度が主要な項目として取り扱われています。

今回ご紹介した腹囲の正しい測り方と基準値を参考にして、生活習慣病の予防にお役立てください。

監修者情報

氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医